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発端。というか原因? いや、元凶

おはようございます。よろしくお願いします

 ことの起こりは、いまさら語るのも面倒なテンプレである。


 簡潔に述べれば、「少々(どころでなく)優秀ではない王太子が、とても(どころでない)優秀な婚約者に嫉妬し虐げ、頭もお股もユルユルな男爵令嬢(ビッチ)に籠絡され一緒にお花畑の住人と化し、婚約者に婚約破棄を申し渡した」である。


 長いな。


 まぁ、そんなわけで国を揺るがす慰謝料が発生したわけだ。なにせ婚約破棄の慰謝料に、虐げられた精神的苦痛の慰謝料、王太子が婚約者のツケでした借金の返済、エトセトラえとせとら。


 ちなみに男爵家は慰謝料が払いきれずに没落、払えるだけ払ったものの中には屋敷と男爵位まであった。ま、当然の結果だろう。なんせ相手は公爵家。


 婚姻はできたふたりだが、借金返済完了まで、貧乏生活が決まっていた。なんせ国家予算一年分近くの支払いがある。マジか。


 理解していなかったのは王太子妃だけである。ちなみにツケの内容はほぼ彼女の散財で、ドレスにアクセサリーに靴に消えた。着飾った姿はとてもじゃないがセンスが良いとは言えなかったため、売り払っても大した金額にはならなかった。残念。


 そんな王太子妃なので、多分王妃のドレスの方が品があり質もいいはず。目利きができないから、薦められるまま買う。結果粗悪品が増える悪循環。


 商人には、王太子妃に売るべからずの王命が出されている。支払いできないからね!

 カモにされるのがわかっていて放置はできない。実際王命が出る前は悪徳業者が列を成していた。


 そんな理由から、王太子宮は極貧生活を余儀なくされている。使用人も最低限、てか下働き(料理人と掃除人と洗濯婦)しかいない。女官も侍女もメイドも給金が高いので。


 王太子は借金返済のために働き詰めなのを、一番理解しているはずの妻がこの有り様。王太子の苦労は絶えない。


「まぁ、自業自得ですけど」


 部下の正論に反論できないくらいには、王太子はお花畑からは遠ざかっていた。


 元婚約者と婚姻していたらこんなことにはなっていないと、しみじみ納得するくらいにはマトモになっていたのだ。遅いけど。


 飾らない笑顔がキラキラ眩しかった。口を開けて笑い、スカートを翻して走り、勢いよく抱きつかれて、王太子は落ちた。チョロいと言うなかれ。周りにいなかったタイプの上、好みどストライクだったのだ。


「で? だから? そんなんで王命に背いて許されるとでも?」

「いや、そんなこと、は……」


 思ってた。ガッツリ思ってたよこの人。王子の自分が望めばそれは叶うのだと。


 その結果がこのザマである。


「だからなんで私の好き勝手にできないのよぉ!! 私王太子妃なのよ!?」

「だからです」


 やっぱり理解出来ない王太子妃にも、部下は容赦なかった。


「ああ、殿下。言い忘れてましたが、自分あと十日で城仕え辞めますので、それまでにひとりで仕事できるようになってください」


 なにせ予算不足。王太子の側近雇用もままならない。


「え? や、え? ……ぇぇえぇ!?」

「煩いです」


 部下はいつでも通常運行である。



地雷は自分で埋めてタイミング良く遠隔爆破タイプな部下。

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