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ホテル
わたしは
ホテルの窓から下を眺めた
ハイウェイを走る車のヘッドライトが
雨に反射して川を流れているようだ
シャワーの音が聞こえている
みだれたシーツが目にはいる
ベッドの脇には
ルブタンのハイヒールが
無造作に 脱ぎ捨ててある
あなたの事を思うと
身体の芯が疼く
あなたに抱かれたばかりなのに
心は寂しい
あなたのぬくもりが欲しい
なぜ
しあわせなはずなのに
心は満たされない
シャワーの音が止まった
わたしは 顔に微笑みの仮面をつけた
「お腹すいたね、何か美味しいものご馳走して。」