八つ裂きループ令嬢は累計人生百年目に、初めての恋をした。
おかげさまで書籍化が決まりました。書籍版では10万字の書き下ろしを加えた長い物語になります。
私、リディア・メイフィスはつい先日、二十歳の誕生日を迎えた。
この国の婚姻可能年齢は二十歳。私もついにお嫁に行く歳になってしまった。
今日は実家で過ごす最後の日だ。
いよいよ明日、嫁ぎ先の家に入って正式な婚姻を取り結ぶ。
私のこの長い金髪も青い瞳も、体も、自由も、明日からは全てお相手のものになるのだ。
婚約者はもうずっと昔に決まっている。
私がまだ幼いうちに、父が取り交わした婚約があったので。
婚約者は子爵家の中年男だ。通称は『女狂いの遊び人』。
私は彼の元に、妻という名の都合の良い玩具になりに行くのだ。
残念ながら幸せな結婚とは言い難いものである。
でも私にとっては、もはやそんなことはどうでも良いことなのであった。
――なぜなら私は、もうこのすぐ後死んでしまうから。
それも悪魔に八つ裂きにされるという、悲惨な最期を迎える運命なのだ。
私は自分の不幸をもう嫌というほどよく知っている……
私は屋敷の自室で侍女に髪をとかされながら、ぼんやりと窓の外を見た。
(……曇ってきたわね……もう少ししたら空一面が黒雲に覆われて、まるで夕方のように暗くなるのよねぇ……何度見ても、気味の悪い天気だこと……)
何度、というか、もう五度目だ。
この不気味な空模様を眺めるのも五度目。
二十歳の誕生日を迎えたのも五度目。
女狂いの遊び人と婚約をしたのも五度目。
……そして、このすぐ後に迎える死も、五度目になる。
私は曇り空を眺めながら、ため息をついた。
(神様……私はあと何度、人生を繰り返せば良いのでしょう……)
――そう。私、リディア・メイフィスは、もう五回ほど人生を繰り返しているのだ。
信じられない話だろうけれど。
二十歳で悪魔に襲われ、惨たらしい死を迎えては、赤子に戻ってまた人生をやり直す。
そんなループ人生も今年で累計百年目。
(……悪魔に八つ裂きにされるの、痛いから嫌なのよね……もう本当に勘弁してほしいわ……もう少しこう、楽になんとかならないものかしら……)
これっぽっちも、おめでたくない節目の年。
もはや麻痺してきた思考を垂れ流しながら、私はただただ遠い目で曇り空を仰いでいた。
思えば不幸の始まりは、いつも『女狂いの遊び人』との婚約からだった。
この国において、貴族たちが縁を結び始めるのは、だいたい十五歳を過ぎた頃からだ。
早々に婚約相手を決める王族であっても、十歳頃からである。
なのに、父がお相手と婚約を取り交わしたのは、なんと私が三歳の時だった。
婚約というより、父は実質、私のことを売ったのだ。
婚約者は金回りの良い子爵家の長男で、我が家は落ち目の男爵家。
単純に金に目がくらんだのだろう。
婚約者は当時すでに三十代。
この先年老いて、もし遊ぶ女がいなくなっても、若い娘の体を自由に堪能できるようにと、三歳の私を手に入れたようだ。
色男な彼の女遊びの激しさは、界隈では有名らしい。
顔だけは良いので、女性を虜にするのはお手の物だそうで。
まるで子供が新しい玩具を欲しがるように、次から次へと女を手に入れ、捨てていくのだそう。
彼の遊びに本気になって、泣いた女も数知れず。
『あの男の妻にでもなろうものなら、奴が今まで捨ててきた女たちから、祟りを買うに違いない』
そんな噂がささやかれるほどであった。
――そして結果的にその通りになった。
彼に捨てられ泣かされた女たちは、歪んだ恋心やら嫉妬心やらから、『悪魔』を生んでしまったらしい。
悪魔とは、人の負の心から生まれる怪物である。
黒く大きな体に翼を持ち、人と熊を足したような恐ろしい怪物だ。
婚約者の女遊びが原因で生じた悪魔は、婚姻直前の私に襲い掛かってきたのだった。
悪魔は毎度の人生で、ぬかりなく私を惨殺してきた。
数回ループを繰り返した時、襲来は避けられぬ運命なのだと悟った。
何せ、元凶たる遊び人との婚約は、まだ物心もついていない三歳の頃に決まってしまうのだ。避けようがない。
父はいつだって大喜びで、幼い私を遊び人子爵に売ったのだった。
私の今回五度目の人生も、ラストは嫉妬の悪魔の八つ裂きだろう。
きっと六回目も、七回目も、この先ずっと――……
暗い気持ちで考え事をしながら、ぼうっと窓の外を見る。
そんな私をよそに、侍女はせっせと髪を結い始めた。
悪魔が襲来するのは、侍女に髪を整えてもらった後だ。
まだ今世の八つ裂きまで時間には余裕がある。
(――なんて、きっと誰に言っても信じてはもらえないでしょうけれど……。今となっては未来のことなど何も知らなかった、最初の人生が懐かしいわ……)
髪を結い上げられながら、手持ち無沙汰な私はもうしばらくぼんやりと、これまでの人生に思いをめぐらせることにした。
累計百年と少しの、私の人生に――……
■
――と言っても最初の人生の記憶は、もう随分と遠いものになってしまったけれど。
確か私は屋敷の中庭にある花園が好きで、よく通っていたのだった。
結婚の歳が近づくにつれ、憂鬱さの気晴らしに、ほとんど毎日と言っていいほど足を向けていた。
中庭には庭師の青年がいた。
どんな人だったかは覚えていないが、いつも会釈だけしてくる、もの静かな人だった気がする。
けれど、二十歳の誕生日を迎えて数日たったある日。
明日、婚約者の家に入るという、私にとっては実家で過ごす最後の日。
薄暗い曇り空の下、庭師の青年に、思いがけず話しかけられたのだった。
『――――――。』
庭師の青年が何を言ったのかは、もう記憶にない。
何かとてもくすぐったいことを言われて、妙な心地になった気がするのだけれど。
花を差し出され、私はそれを受け取ろうとしていたような……
このあたりの記憶は特に朧気だ。
何しろこの直後に、私の体はバラバラにされてしまったので。
――それは、庭師から花を受け取ろうとした瞬間だった。
突然、頭上に悪魔が飛来したのだ。
確か庭師は私を、腕の中に庇ってくれた。
間近に真っ黒な姿を認めた直後、全身に焼けるような熱さを感じ、次の瞬間にはもう私の体は四散していた。
悲鳴すら上げることなどできなかった。
最後に見た景色は、真っ赤に染まった中庭の石床と、真っ黒な悪魔の姿と、私と同じように散った庭師の姿だった気がする。
■
――そんな初回の人生を終えた後。神が不遇を憐れみでもしたのか、私の身には妙なことが起こりだした。
なんと前世の記憶を引き継いだまま、二度目の人生が始まったのだ。
二度目、というより、『最初に戻った』と言ったほうが正しいのかもしれない。
リディア・メイフィスの人生が再び始まってしまったのだ。
私は当然、大いに混乱した。
前世の記憶は、私に物心がついてくるのに伴って、じわじわ蘇ってきたのだった。
赤子の時期を経るせいか、その内容は遠い昔の思い出のように、なんともフワッとしたものだ。
しかしぼやけた記憶の中でも、悪魔の真っ黒な姿だけは異様に鮮明で……
中庭で悪魔に八つ裂きにされた記憶はとても恐ろしく、私は二度目の人生で、常に怯えて屋敷に引き籠っていたのだった。
この人生では一度も、花園へは足を運ばなかった気がする。
二十歳の誕生日を迎えた後は、恐怖心も最高潮だった。
一度目の人生では、結婚に対して憂鬱な気持ちになっていたのだが、二度目の人生ではそんなことどうでも良く思えるほど、ひたすら悪魔が怖かった。
そうして誕生日から数日後、前回と同じような、曇りの日が来た。
その日、私は一番背の高い屋敷護衛の背後に、ピッタリと張り付くように隠れていた。
今だから思うが、きっと張り付き虫の私は相当邪魔だったことだろう。
確か私は、護衛にこんな言い訳をしたのだった。
『なんだか曇り空が不気味で恐ろしいので、側にいさせてほしい』
曖昧な記憶だが、護衛は私を邪険にせず、真摯に対応してくれた気がする。
空を覆う雲はいよいよ厚みを増し、外が薄暗くなった。
護衛の後ろに隠れながら、チラリと窓の外を確認した瞬間――……
――バリン! と屋敷の窓をぶち破り、悪魔が中に飛び込んできた。
「キャアッ!!」
私は思わず悲鳴を上げた。
護衛は私を背に庇い、即座に腰の剣を抜く。
が、剣は悪魔の腕をかすっただけで、首には全く届かなかった。
護衛は敗れ、私は悪魔に二度目の八つ裂きをくらうことになった。
二度目の人生で最後に見た景色は、血しぶきの散った屋敷の廊下と、真っ黒な悪魔の姿と、背の高い護衛の折れた剣だった。
■
――という、末路をたどった二度目の人生を鑑みて、三度目の人生では、引き籠り場所を変えることにした。
変えた先は王城である。
王城には聖騎士隊がいるのだ。
彼らは悪魔を切り払うための訓練を受けている。いわば対悪魔戦闘のプロだ。
前世では屋敷護衛を巻き込み、大変に申し訳ないことをした。
今世はプロの元で、どうにかやり過ごすことにする。
私は物心がついていくのと同時に、ひたすら教養を身につけた。
その努力のかいあって、落ち目の男爵家出身とは言わせないほどの淑女となり、十五歳で王城に勤めることが叶った。
(今度の人生、住み込みの侍女になれたことだし、もしかしてこのまま遊び人子爵とは破談、なんてことにならないかしら……!)
――そんなことも考えたが、どうやら運命はまだ私を離してはくれないようだった。
二十歳の誕生日を王城で迎えた翌日、父から怒りの手紙が届いた。
『仕事を辞めて今すぐ帰ってこい。さもなくば、無理やり連れ帰る』
手紙には、こういった内容がつづられていた。
ずっと実家に帰らず働いて、婚約が流れてしまうことを期待していたのだけれど……
父はどうしたって私を売りたいらしい。
女狂いの遊び人と縁が切れていないとなると、やはり悪魔はやってくるだろう。
私は覚悟を決めた。
――その数日後、曇りの日。
なんと悪魔より先に、父が来てしまった。
なにやら城門の前で私の名を呼び、怒鳴り散らしているとのことだ。
私は侍女頭から「なんとかしてきなさい!」などと命を受け、すぐさま現場へと送り出された。
城門を出て大きな橋を渡った先に、馬車と父の姿が見えた。
顔を真っ赤にして怒っていた父は、確かこんなことを言っていた。
『いいから早く馬車に乗れ! このまま帰るぞ!』
『子爵には明日から奉仕させると約束してあるのだ! 違えることはできん!』
『お前の給金など、たかが知れている! 子爵家からの支援のほうが大事に決まっているだろう! 本当に分別のない女だな!』
馬車の中へ力ずくで押し込もうとする父に、私は必死に抵抗した。
だって今、王城を出てしまったら、この人生がまるっと無駄になるのだ。
泣きわめきながら無茶苦茶な抵抗をする私と、怒声を上げてこれまた無茶苦茶な力技を繰り出す父。
その様子を困惑しながら見守っていた門兵のひとりが、ふいに大声を上げた。
『あれは悪魔じゃないか!?』
私はハッとして空を見上げ、思い切り悲鳴を上げた。
「ギャアアアアア!! 何で今来るのよ――っ!!」
思わず文句のような叫びを発してしまった。
なんというタイミングで来るのだ。この悪魔め……
と、同時に、私は門の内へ向かって駆け出した。
城門の中には聖騎士隊がいる。彼らの側にいれば、私の安全は保障されるのだ。
……保障されるはず、だったのに。
駆け出した私の手は、即座に父の手に捕まった。
門とは反対方向の、馬車の方へと乱暴に引き戻される。
近づいてくる悪魔に門兵たちが騒ごうとも、父はおかまいなし。どこまでも他人事のようだった。
きっと悪魔の狙いが私だなんて、これっぽっちも考えていないのだろう。
そしてその原因に、自分が関わっているなんてことも。
私は父に最後の抵抗をしつつ、半ば諦めの境地で悪魔の姿を仰ぎ見る。
もうあと数回呼吸する間に、悪魔の爪は私に届いてしまうだろう。
(……三度目はここまでね……あぁ、無念……)
――そう思った時だった。
私を八つ裂こうとする悪魔の腕は、どす黒い液体をまき散らしながら、派手に千切れ飛んだ。
私は思わず目を見開く。
なんと悪魔の懐に、ひとりの騎士が飛び込んでいた。
黒髪を炎のように揺らした勇ましい騎士は、鎧をまとい、光を放つ長剣を振るっている。
光魔法を使った剣技――彼は聖騎士だ。
騒ぎを聞きつけ、駆けつけてくれたようだ。
父は襲い掛かってきた悪魔に驚き、地を這いながら逃げ出した。
私は咄嗟に馬車の後ろに隠れ、戦う聖騎士の背中に釘付けになっていた。
騎士は悪魔の両腕を、鮮やかに切り落としてみせた。
悪魔は恐ろしい金切り声を上げ、翼をはためかせて空へと舞い上がる。
ふと後ろを見ると、門の奥の方から後続の騎士たちが走って来るのが見えた。
私は三度目の人生にして、初めて気持ちが浮き立つのを感じた。
(やったわ!! この人数で戦えば勝てる――……)
――なんて調子づいたことを、直後に後悔したのだった。
空に舞い上がった悪魔は、落下の勢いを使って、その巨体で黒髪の騎士をひねりつぶした。
私はあまりに惨い光景に、ショックで息が止まってしまった。
が、その後すぐに、そのままの意味で、私の息は止まった。
矛先をこちらに変えた悪魔に、私はまた八つ裂きにされたのだった。
三度目の人生で最後に見た景色は、血に染まった城門橋と、真っ黒な悪魔の姿と、黒髪の騎士の砕けた鎧だった。
■
――なんて、衝撃的な三度目の人生で得た教訓を、活かした結果。
私は四度目の人生で、聖騎士になっていた。
前回の戦いでは、きっと後続が間に合っていれば、あの悪魔にだって勝てていたはずなのだ。
皆で戦えば、黒髪の騎士が一人で命を散らすことには、ならなかったはずだ……
(ならば私自身が聖騎士になって、常に聖騎士隊の中に身を置いていればいいのよ……!)
そう考えた結果、私は物心ついた瞬間から体づくりを開始した。
自室で筋トレをしつつ、屋敷を抜け出しては、剣術の心得のある者に教えを乞う日々。
そうして十七歳にしてようやく、私は聖騎士隊への入隊を果たしたのだった。
隊には女性騎士が少なく、隙を見せればすぐに男たちが絡んできた。
売り手市場とはこのことだろうか。
彼らを手玉に取って遊ぶという、強かな女性騎士もいたけれど、私には色恋にかまける余裕などなかった。
ひたすらに鍛錬に心血を注いでいたので。
友達の女性騎士に、こんなことを言われたことがある。
「一度きりの人生なのだから、もう少し楽しんだらどう? 恋人の一人や二人、作ってみたらいいのに」
確か、打ち合いの自主練をした後の雑談だった。
その言葉を聞き、私は遠い目でため息をついた。
(恋人の一人や二人、ねぇ……。恋人をうん十人と作って、散々遊んできた色男が婚約者なせいで、私の人生は毎度めちゃめちゃになってしまっているのよ……とてもじゃないけれど、恋なんてする気になれないわ……)
四度目の今回も私はしっかりと、女狂いの遊び人の、婚約者の立場に据えられていた。
私は暗い目で彼女へ言葉を返した。
「恋は諸悪の根源よ……恋こそ悪……絶対に、私は、恋などしないわ……!」
トゲトゲしい私の言葉に、女性騎士は苦笑をもらした。
そして隣で剣を磨いていた、緑の瞳の男性騎士へと話を振った。
「ねぇ、聞いた? リディアは恋などしないのですって。もったいないと思わない? あなたからも何か言ってやってよ」
話を振られた男性騎士は、なんとも複雑な表情を浮かべていた気がする。
緑の瞳をスッとそらし、会話には加わらない、といった様子だった。
聞くところによると、彼は私とは真逆の、恋に生きる派の人間だそうで。
私と意見を衝突させないために、話題を避けたのかもしれない。
彼の気遣いに少し申し訳なさを感じた。
……私には残念ながら、恋の素晴らしさというものがまるでわからない。
恋に振り回された女たちの心のなれの果てが、悪魔となって私を惨殺するということしか、わからないのだ。
それを回避するために、今回の人生もものすごく努力をしたのだった。
聖騎士隊に入隊してからは、これまで以上に死ぬ気で体を鍛え上げ、死ぬ気で剣技を磨き、死ぬ気で光魔法を習得した。
そう、まさに死ぬ気だ。
だってそうしないと、本当に私は八つ裂きにされて死ぬ運命なので。
――そうして迎えた、四度目の二十歳の誕生日から、数日。
毎度馴染みとなってしまった、どんよりとした曇り空の下。
私は友人二人と城門前にいた。
三度目の人生に同じく、父が怒りと共に城へ乗り込んできてしまったので……
城門前で粗相をする父を放っておくこともできず、対応することとなった。
でも今回は、侍女だった前回とは違う。
対応にあたったのは私と、聖騎士の友人たちだ。
軽口をたたき合える女性騎士と、緑の瞳の男性騎士。
「癇癪持ちの父が来たので、一緒になだめてほしい」と頼んだところ、二人は快く引き受けてくれた。
私を含めた騎士三人で、怒鳴り散らす父をなだめる。
その間にどんどん雲は厚みを増し、いよいよあたりが薄暗くなってきた。
――そして黒雲の隙間から、悪魔は再び飛来した。
「あれは悪魔じゃないか!?」
門兵が前回と同じように、大声を上げた。
父を放って、私は即座に腰の長剣を抜く。
前回は何もできず、ただ馬車の影から見ていただけの戦いに、今回は勢いよく身を投じた。
私は剣に光魔法をたぎらせ、叫び声を上げた。
「おりゃあああああああっ!! 八つ裂きにしてやるわっ!!」
人生を重ねるごとに叫び声がおかしくなっていくことには、目をつぶってもらいたい。
悪魔を前にして、私はこれっぽっちも怯まなかった。
なにせ今回は過去にないほどの戦力なのだ。
隊への所属年数的に、上級光魔法の習得には届かなかったものの、若手聖騎士としては精鋭の域に達していると自負している。
ここにいる三人とも、皆同じくらいの実力だ。
十分勝てる見込みがある。
私は気合の叫びと共に、悪魔の片腕をザックリと切り落とした。
腕は門の方へ大きく飛んでいき、黒いベトベトした液体が飛び散る。
間髪入れず、男性騎士が悪魔の背に飛び掛かった。彼は勢いのまま、真っ黒な翼を思い切り叩き切る。
飛べなくなった悪魔は、地をのたうった。
女性騎士が足を落としたのと同時に、私は悪魔のもう片腕を切り裂いた。
身をひるがえした男性騎士が、ひと際強い光魔法を剣に込める。
彼は足を無くしてバランスを崩した悪魔の首に、光り輝く長剣を力一杯振り下ろした。
ドッ、とも、グチャア、ともつかぬ、質量のある音を立てて、悪魔の大きな首は地面へと転がった。
周囲は飛び散った悪魔の体液で真っ黒に染まり、酷い有様だ。
一見すると恐ろしい光景だが、その中に、人間の血の色はない。
その様を見て、私は込み上げる歓喜に打ち震えた。
「やった……! やったわ倒した……!! 悪魔め、ざまぁないわ――……」
……なんと、そこで私の四度目の人生は終わった。
興奮のままに、少々口汚い言葉を発してしまった罰だろうか……
地面に転がっていた悪魔の首が、牙をむき出しにして、私めがけて飛んできたのだ。
私は首だけの悪魔に胴体を噛み砕かれ、息絶えた。
(……や、八つ裂きは……回避したわ…………)
薄れゆく意識で、そんなことを思ってしまった。
四度目の人生で最後に見たものは、とめどなく水をこぼす、緑色の瞳だった。
■
これが私の今までの人生だ。
そして今が五度目の人生。
つい先日、また二十歳の誕生日を迎えた。
これまでの四度の人生で得た経験を活かし、私は今度の人生では――……
――何も、しないことにしたのだった。
なんだかぽっきりと、心が折れてしまったのだ。
前回四度目の人生は、これまでにないほど仕上がっていたというのに、結果的に運命からは逃れられなかった。
そのことが尾を引き、五度目の人生では頑張る気力がしぼんでしまったのだ。
どれだけ足掻いたところで、結果は決まっている……
今世の私はすっかり、後ろ向きな考えに取りつかれてしまった。
そんな暗い思考に拍車をかけたのが、『悪魔を倒したその後』の想像だった。
悪魔を倒したところで私に待っているのは、遊び人の中年子爵に玩具にされる未来なのだ。
無残な死をひたすら怖がっていた最初の頃は、あまり考える余裕もなかったのだが、ここにきてようやくそこまで思い至るようになった。
悪魔がいてもいなくても、どのみち私に幸福な未来などはない。
そう考えると、どうしようもなく無気力になってしまった。
そういうわけで、私は五度目の人生では、何も行動を起こしていない。
何も知らなかった初回の人生をなぞるように、淡々と日々を過ごしていた。
気晴らしに屋敷の中庭へ足を運び、花を楽しみ、ただただ終わりの日を待つ毎日。
そうして二十歳の誕生日を迎え、数日たった今日。
明日婚約者の家に入るという、実家で過ごす最後の日。
私は曇り空を眺めながら、ただぼんやりと、侍女に髪を結われているのであった。
侍女は髪を整え終えると、私にそっと声をかけた。
「リディアお嬢様、終わりましたよ。今日は雨が降りそうですから、お屋敷の中で過ごされてはいかがですか。明日のお仕度もありますし……」
言いづらそうにしている侍女に、私は苦笑をもらした。
おそらく父から、私の支度を手伝うように言いつけられているのだろう。
(ごめんなさいね……私は嫁入り支度なんて、しなくても平気なのよ。だってそんな未来、来ないのだから……)
心の中で、侍女に返事を返す。
私はこの後、どうせ死ぬのだ。何度も繰り返しているから、よく知っている。
――なんて、おかしな話はできないので、私は無難な言葉を返した。
「そうね……でも雨が降る前に、少しだけ中庭を歩いてくるわ。今、花園が満開で見事なのよ。雨でへたってしまう前に、花にお別れの挨拶をしてくるわ」
言い終わってから、ふと気付いた。
そういえば、初回の人生でも私は、侍女に同じことを言った気がする。
侍女は私に同情を帯びた眼差しを向けた。
「かしこまりました。どうか、雨にはお気を付けくださいませ。お風邪を召されては大変ですので」
この言葉も、確か初回に聞いたものと同じだ。
私は侍女に見送られながら、部屋を出た。
屋敷を出て、中庭の花園へと歩を進めながら考える。
――今世が初回の人生をなぞっているのなら、もしかしてこの後、庭師に花を差し出されるのでは……?
そう思い至り、私の心は妙に浮き立った。
(……あの時確か、花と一緒に、何かとてもくすぐったいことを言われたのよねぇ)
初回の人生では、中庭で庭師に花を差し出され、くすぐったいことを言われ、そして悪魔に惨殺された。
八つ裂きがあまりにも衝撃的で、花前後の記憶は酷く曖昧だ。
もう一度流れをなぞって、記憶をしっかり補整し直す、というのも良いかもしれない。
朧気ではあるけれど、なんとなくあの時、素敵な出来事が起きたような覚えがあるのだ。
今まで、ひたすら憂鬱な百年を送ってきたのだから、少しくらい心浮き立つ出来事を享受しても良いだろう。
私ははやる気持ちのまま、花園へと足を進めた。
中庭の花園はこんな曇りの日でも、ため息が出るような美しさを保っていた。
鮮やかな緑と色とりどりの花に囲まれた、石床の小道。
蔦と白い花のアーチを潜り抜けると、小さく開けた場所へ出る。
少し背の高い草花と、低木に囲まれた小さな広場は、周りの世界から隔絶された部屋のような空間だ。
私はこの場所が大のお気に入りだった。
広場へ歩を進め、あたりを見回す。
庭師の青年が草木の間にしゃがみこみ、いつものように手入れをしていた。
大きなハサミからパシパシと鳴る音が、耳に心地良い。
庭師は私に気付くと、静かに会釈をした。
(そうそう、彼のこの会釈……懐かしいわぁ……)
思い出にひたりつつ、私も庭師に笑顔を返す。
すると彼はおもむろに立ち上がり、私の前へと歩み出た。
こうして正面で向かい合うと、私は彼を見上げる形になる。
この庭師の高い背丈は、木を刈り込む時に役立ちそうだ。
庭師の青年は、少し日に焼けた精悍な顔を空へと向ける。
低い静かな声で、私に言葉をかけてきた。
「リディアお嬢様。この空模様だと、じきに雨が降りますよ」
「ええ。降り出す前にと思って、急ぎ、花を見に来たのです。この見事な花園も、もう今日で見納めになってしまうので」
私は目を伏せ、微笑んだ。
そうだった。初回の人生でも、庭師とこういう会話をしたのだった。
そして私は雨に降られる前に、曇り空の下で死を迎えるのだ。
庭師は空に向けていた目を私へと移し、それから花園を見回した。
近くに咲き乱れている、薄紫色の花にハサミを入れる。
草の茎で器用に束ね、花束にして私に差し出してきた。
薄紫の小花はスターチスの花だった。
花束はまるで、夜空に散る星々を集めたかのようで、私はその美しさに感嘆の声を上げた。
「わぁ、なんと綺麗な……まるで星空のようですね……!」
「お嬢様のために手入れをしてきた花です。差し上げます。……あなたの魅力の前では、かすんでしまうような花ですが」
(――き、来たわ……! くすぐったくなってきた……!)
庭師の返しに、私は思わず頬の内側を噛んだ。そうだ。確かここから、怒涛のくすぐったさが始まるのだ。
私はソワソワする気持ちを抑えつつ、彼に言葉を返した。
「あまりからかわないでくださいませ。照れてしまいます」
「からかいなどではありません。本心から、そう思っております。……――リディアお嬢様、」
言いながら、彼は石床に片膝をついた。
動きに合わせ、サラリと黒髪が揺れる。
庭師は少しためらいがちに、語り始めた。
「……無礼を承知で申し上げます。私はお嬢様のことを、ずっと恋い慕っておりました。身分をわきまえない愚かしさは、重々承知しております。……ですが、中庭でお姿をお見かけするたび、どうしようもなく気持ちを募らせてしまい……」
私は身じろぎもせず、庭師の言葉を心に受け止める。
「今日この瞬間が、あなたにお会いできる最後かと思うと、どうしても気持ちをお伝えしたく……愚かな庭師の男を、お許しください」
言い終えると、庭師は私を見上げ、そっと花束を掲げた。
彼の緑色の瞳が、美しく揺れている。
私は静かに微笑みをこぼした。
思い出した……。
初回の人生で庭師からもたらされた、くすぐったい言葉は、愛の告白だったのだ。
当時の私は顔に熱をのぼらせ、大いに焦ってしまったのだった。
しかし五度目の人生、今の私の心には、風が吹くような寂しさが広がっていた。
(……この素敵な告白は、実を結ぶことなく、どこかへ流れていってしまうのね……)
彼の告白はこの後すぐに、悪魔によって無に帰されてしまう。
それに、例え悪魔がいなくとも、婚約者のいる男爵家の令嬢と庭師の関係では、叶うことなどないのだ。
私は深く息をつく。
そろそろ悪魔が、雲の間から姿を現す頃だろう。
もしかしたらもう、真上に迫っているのかもしれない。
私が花に手を伸ばした瞬間に、バラバラにされて、この人生は終わるのだ。
――ならば……
どうせ終わってしまうのなら――……
確か初回の人生では、照れたまま無言で花を受け取ろうとしてしまった。
けれど、どうせ終わってしまうのなら、今回は少しばかり思い切ったことをしてみようか。
ふいに私の中で、人生に対する後ろ向きな気持ちが、一周まわって変な方向へ行き、おかしな前向きさに転じた。
この感覚は人によっては、『やけくそ』とも言うのかもしれない。
私は彼の目を見つめ返す。
そしてめいっぱいの、笑顔を向けた。
「あなたのお気持ち、とても嬉しく思います。あなたは、こんなに綺麗な花をお育てになるお方ですから、きっと素敵な人なのでしょうね。……もし私に自由になる未来があったなら、あなたのようなお方と、花に囲まれ、暮らしてみたいものです。――ねぇ、あなた、私をさらってくださらない?」
我ながら、なかなか茶目っ気のあることを言えた。と、思う。
鬱々とした人生でも、百年も生きれば冗談の一つくらいは、言えるようになるらしい。
庭師の青年は驚いたのか、無言をつらぬいている。
よく感情の読み取れない、なんとも複雑な表情をしていた。
そんな彼を前にして、私は一人、さて、と気持ちを切り替える。
もう時間だ。全てが終わる瞬間が来る。
このやりとりも、無に帰るのだ。
私は一歩、後ろに下がった。
花束へは、手を伸ばさない。
受け取らない。
初回の人生では、私が近くにいたばかりに、この庭師を巻き込んでしまったのだ。
二度目の人生でも、三度目の人生でも、私は他人を巻き込んでしまった。
せめて今後の人生では、一人でサクッと、八つ裂きにされよう。
五回目の人生が始まった時、私はそう心に決めていた。
(……だから、ごめんなさいね。あなたの花に触れることはできないわ。この先もずっと。あなたに何度、花を差し出されようと……)
私は目を閉じ、一歩、もう一歩と、後ろへ下がった。
少しずつ、庭師との距離が開いていく。
そろそろ悪魔の爪が届くだろう――……
――そう思った、瞬間。
庭師が腰に下げていた大きなハサミを、力一杯、空へとぶん投げた。
「へっ……!?」
私は思わず、呆けた声を上げた。
初回の人生で彼、こんなことしたかしら……!?
ハサミの飛んで行った方を見て、私は目を見開いた。
悪魔の額にグッサリと、白い光を帯びたハサミが刺さっていた。
あの光には見覚えがある。あれは――
(――聖騎士の、光魔法じゃない……!?)
前世と、前々世でお世話になった、悪魔を払う聖騎士の光魔法だ。
もっとも、聖騎士は長剣に魔法を込めるのだけれど。今輝きを放っているのは、園芸用のハサミである。
庭師は悪魔を睨み上げ、なにやら短く呪文を唱えた。
――その瞬間、刺さったハサミは強烈な閃光を放ち、悪魔とともに大きく爆ぜた。
ドーン! という、雷が落ちたかのような、音と光。
これは、この威力は……
(……――四度目の人生で習得し損ねた、上級光魔法だわ……)
私はいつの間にか庭師に庇われ、その腕の中に収まっていた。
しばらくして、庭師はそっと、私の体から身を引いた。
視界が開け、私は今起きた事態を理解する。
美しかった花園には、一面にどす黒いベトベトした液体が飛び散っていた。
花と緑はしおしおに枯れ、気味の悪い、悲惨な景色が広がっている。
――どうやら悪魔は、木っ端みじんに散ったようだ。
そんな惨状の中、庭師の青年は改めて、その手に握りしめたままになっていた花束を差し出してきた。
彼は申し訳なさそうな表情を浮かべ、ポツリと独り言のような小声をこぼした。
「……あなたに花を渡すのに、百年かかってしまった……毎度なかなか守り切れずに、不甲斐ない」
「百年……?」
私はポカンとしたまま、まじまじと彼を見る。
目の前に立つ庭師は、黒髪に緑の瞳。背が高くて、もの静かな雰囲気の青年だ――……
――あれ? 私はこの姿を、どこかで何度か見かけたような……
思い至った瞬間、今までの人生の記憶が急激に鮮明になっていくのを感じた。
人生最後の日、私の側で悪魔に立ち向かってくれたのは、いつも同じ人ではなかったか。
どうして今まで、気が付かなかったのだろう……!
(――と、いうか、もしかしてこの人もループを……!?)
唇を震わせて立ち尽くす私に、庭師は慌てて言いつくろった。
「あぁ、申し訳ございません。おかしなことを言ってしまい……お忘れください。――それで、ええと、この黒いドロドロは……その、なんと説明すれば良いものか……」
「いえ! あ、あの……!」
しどろもどろな庭師に、私もしどろもどろに言葉を返す。
「ええと、お花、ありがとうございます……! 人生百年目の今日、ようやく受け取ることができて、心から嬉しく思います! ……恥ずかしながら、私ったら自分のことしか見えておらず……! 今まで本当に申し訳ございませんでした……そして、ありがとうございました、庭師様……いえ、屋敷護衛さん? あぁ、ええと、騎士様とお呼びした方が良かったかしら。それとも、戦友……?」
「えっ、リディアお嬢様……まさか、あなたも?」
私の言葉に、今度は青年がポカンとした顔をした。
驚き固まった彼の手から、スターチスの花束が落っこちそうになる。私は慌てて、花束を受け取った。
アワアワしつつ、星空のような薄紫の花を抱える。
百年目にして手にした花は、どんなに見事な宝石よりも美しく輝いて見えた。
――と、花を眺めていると、ふいに頭の中に、先ほどの自分のセリフが蘇ってきた。
茶目っ気を込めた、あの悪戯めいたセリフが……
(……待ってちょうだい……私さっき、なんてことを言ってしまったの……! 「さらってくださらない?」なんて、小っ恥ずかしい恋愛小説のようなセリフを……! やだ消えたい恥ずかしい……っ!!)
無に帰ると思っていたからこそ、言えたセリフだ。まさか続きを迎えることになろうとは……
私はのぼってきた熱に顔を火照らせながら、庭師にごにょごにょと言葉をもらした。
「……その……先ほどの私の言葉は、お忘れください……さらってほしいなどと、おかしなことを……」
私のぼやきを聞くや、庭師は我に返ったかのように、真面目な顔になる。
そして私をまっすぐに見つめ、耳に心地良い、低く落ち着いた声音で話し始めた。
「私で良ければ、さらって差し上げましょう。幸いなことに、私には五度に渡る豊富な人生経験と、四度目の人生を費やして極めた、上級光魔法がありますから、あなたを路頭に迷わせてしまうことはないかと。そしてなにより、」
言葉を止め、彼は私に手を差し出す。
穏やかながらも、どこか勇ましい笑みを浮かべた。
「私はあなたのことを心から愛しています。この先何が起きようと、何度でも運命を切り開き、必ずあなたを幸せにします。例え六度目、七度目を迎えようとも、この愛を胸に、あなたの元へ馳せ参じてみせましょう」
彼の凛とした言葉と眼差しを真正面から受け、私の胸には、不思議な心地の熱が湧き上がった。
フワフワするような、クラクラするような、心地良いのに苦しいような、例えがたい感覚が心を満たしていく。
おかしな魔法にでもかかったかのように、彼の瞳から目が離せない。なんだかどうしようもなく、幸せな心地がする……
この気持ちは、きっと……
この気持ちこそが、恋、というものなのだろう。
私は弾むような心のままに、彼の手を取った。
庭師で、屋敷護衛で、聖騎士で、戦友で――……
――たった今、私の胸に恋心を咲かせてくれた、初恋の相手の手を。
空からポツポツ雨粒が落ちだす中、二人は手を取り合い、笑いながら花園を駆け出した。
私は長く、思い違いをしていたようだ。
恋とは、私が思うより、ずっと素敵なものだった――。
その年、とある男爵家の令嬢が、雨とともに姿を消したという話が、社交界の話のタネに加わった。
人さらいにあったか、駆け落ちでもしたのだろうと呆れる者もいたが、多くの人々は、この話の別の説へと興味を向けたのだった。
その説とは、『消えた令嬢は、悪魔に襲われて木っ端みじんに、跡形もなく引き裂かれてしまったのだ』というものだ。
なにしろ男爵家の中庭の花園は、気味の悪い真っ黒な液体にまみれ、酷い有様だったそうで。
後処理に関わった者たちから噂が広がり、世間では悪魔説のほうが定着したようだ。
――そちらのほうが話的にもおもしろい、ということもあるのだろうけれど。
そして人々の噂の波にもまれるうちに、男爵家当主と令嬢の婚約者は、心を病んでいったそう。
不遇な令嬢と、残忍な悪魔の話を繰り返し聞くうちに、恐ろしさに精神が参ってしまったのだろう。
彼らには、悪魔の発生源に関して、何やら思い当たるふしがあったようで。
『自分も悪魔に目をつけられ、八つ裂きにされるかもしれない……』
なんてことをブツブツと呟きながら、日がな一日、震えて過ごしているそうだ。
――そんな彼らが『隣国にいる、妙に悪魔払いに通じた庭師の夫婦』の噂を聞きつけて、私財を投げ打ち、救いを求めて泣きすがりに来るのは、もう少し先の話だ。
庭師の夫がハサミをぶん投げて追い払うのも、もう少し先の話――。
スターチスの花言葉は『変わらぬ心、途絶えぬ記憶』
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