趣味は人それぞれ
―――美川の衝撃発言があった放課後、俺は一人で黙々と帰路についていた。
しかし頭の中ではめちゃめちゃ独り言を言っていた。美川がなぜあんな残念な女の子になったのか、朝から気になって現在まで引きずって考えているのである。
(どうして美川はあんな下品な女の子になったのだろうか...う~ん...わからん!
そういや、美川に一体どうしてそんな性格になったのか聞こうと思ってたのに、終礼が終わった瞬間いつの間にかいなかったなぁ...あの一瞬でどこに行ったんだ...?)
と、前方に見覚えのある後ろ姿が見えた。
しかし、現在俺がいる所からはそこそこ遠いので、よく見えない。
そこで俺は小走りで対象に近づいた―――
―――現在、俺がラノベやら漫画をよく買いにくる書店のラノベコーナーにいる。
なぜならそこで美川がラノベを物色中だからだ。
(あいつもラノベ読むんだなぁ~明日にでもラノベの話でもしてみるか)
ちなみに今何のラノベを手に取っているのか気になったので、俺は気づかれないように覗きに行った。
(どれどれ、どんなのを見て.........!!)
美川が手に取っていたそれは、BLだった! しかもややハードなやつだ!
(おおぉ......見事に腐ってますな...って!おい美川よ、そんな顔で表紙を見て妄想すんじゃない!周りの人が気味悪がってんじゃないか!!
お?美川がレジに向かった)
「あの...これ...ください...!」
(おいおいおい美川よ、少しは興奮を抑えてからレジ行けよ!店員さんが怖がってるしすごくひいてるじゃないか!おい...そんなレジ変わってほしそうな目で俺を見てくるのやめてくれ...)
店員さん、頑張れ! と心の中で言っておこう...ははは...
ちなみに俺もちょうどほしかったラノベをもってレジへの列に並んでいた。それも美川の後ろに。なぜこんなに近くまで来たかというと、美川が気づかないので面白がって接近してみたのである。
案外とばれないものなんだなと、俺は少しわくわくしていた。
美川が会計をすませたのでレジまで進むと、店員さんが俺を恨むような目で見てくる。しかたないだろーーー
書店から出てからだが、美川はどこにも寄ることなくまっすぐ家に帰っていった。
今日後をつけて分かったことは、美川とはラノベの話をしたりしたら延々とえぐい話をされそうだということだった―――