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第七十八話・エステ

 できるならば美しい自分でありたい、永遠に若い自分でありたい……男女に限らず皆が共通して望むもの。若さ。永遠の若さは無理でも老化は引き伸ばしたい遅らせたい……今回はそれにつけこんで儲けるお商売の話。その会社が購買層や使用層が望むものを納得の上使用してもらえばいいのですが、なかなかそうはいきません。

 今回は私がひっかかったエステの話です。そこは駅に置いてある無料のグルメやエステ、美容院のクーポンなどを置いて新規客の開拓をしていますので名前がわからぬように「L」 と仮定します。そこで悪徳とはいえぬまでも、断ろうと思ったら断りにくい……ちょっと困る、ということを経験しまして、今回はその話。

 私はそのLに体験メニューを予約して行きましたが、エステ嬢の操作の不手際により、私はちょっとした擦り傷を負いました。故意ではないし謝罪の上、患部を消毒してもらいましたがこの件で入会はしないことにしました。また、そのエステ体験後の着替え室で「ここはお金ばかり取られる」 という正規の客の愚痴を聞いたからでもあります。その人は三十万円ほどのコースを組んだのに、レトルトの健康的メニューの食事パックやサプリを定期的にすすめられるといいます。私はそんな話は聞いておらず、また広告にも書いていない。入口にいろいろな器具やサプリ見本が美しく展示されてるのは気になっていましたので、いざ入会するとアレらを購入させられると思いました。

 生口コミほど強いものはありません。私服に着替えて身構えていったら、案の定笑顔いっぱいのエステ嬢の入会のすすめとコース選択の説明をする。

 すでにヤル気がなくなっていた私は断りました。私を囲んだエステ嬢たちは笑顔こそ絶やしませんでしたが目つきが鋭くなってくる。おまけに別の部屋から応援? がきてエステ嬢に取り囲まれる私。

「こりゃ来たな……」 

 私はさきほど聞いたばかりの会員さんの愚痴を出さずにこう言いました。

「ネットの口コミを見ていたら、入会してもいろいろと売りつけられるみたいなのでやめます」 

 すっぱりと言い切るのは珍しいらしく、あぜんとした顔をされましたが私はもうおばさんだから全然平気。

 若い世間知らずの学生さん、気の弱い人は押し切れないと思う。私はとりあえず、無料体験で短い時間とはいえ、接してくださったエステ担当の人にはありがとう、とは言いましたが彼女は「じゃあ一緒にきれいになりましょうよ」 という。顔は笑顔でも目は笑ってない。コワイよ、あんた。体験しにきた客には絶対に入会しないといけない血の掟でもあるのか。

 Lは都心他数店舗をもつ中堅のエステチェーン店です。私としてはホームページなどのつくりがよく、電話応対も感じよく、またなかなか体験予約も取れなかったというのも好感触だったが、それでもコレでした。私はこういった美的なものにはとことん縁がない女だと思えばよいが、Lって若いエステ嬢でもノルマがあるのか、契約を断る客に対してあんな高圧的な態度をとれるのだなと思うのがイラクサなので書きました。だって彼女たちは契約しない私に向かってこう言ったのですよ。

「ほんとにそのままでいいのですか? お客様?」

 こういうことを平気でいう女たちに向かって一体どういう断り方をすれば、納得してもらえるのか。笑顔のままで「さようなら」 といってくれるのか。そして入会しない私は「そのまま」 だとダメなのか……汚いのか……でも、あんたたちの手でキレイになりたくないですよ、と心の中で毒づきながら帰途につきました。

 

 エステに関するトラブルは全国の消費生活センターが受けているが、それをまとめた情報が独立行政法人、国民生活センターから何度か注意喚起が正式に発令されている。一番大きいのは契約トラブル、多額の入会金やチケットを一括で購入したが、予約が取りにくいなどで退会を申し出たら返金に応じてくれないというもの。ついで健康被害トラブル。健康被害というのはかぶれや湿疹ができたというものから、エステでC型肝炎に罹患してしまい、出産後赤ちゃんにまで母子感染を起こしてしまったという深刻なものまで多岐にわたる。

 保健衛生に無頓着なところもエステを続けるだけではわからない。お客さんをより美しく若くすることに熱意を持つちゃんとしたエステもあるだろうが、お金儲け重視のところは避けて通るが吉だとつくづく思う。


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