第五十二話・態度急変
先日、私は母のある出来事の代理人になりました。私は嫁いでいるので結婚後の姓は違います。ここまで前提です。
そして私はある人、Uさんとします。Uさんの紹介である士業の人と連絡を取りました。するとまず感じの良い受付の人が出られ、秘書さんにつないでくださいました。私はその秘書さんに用件を言って先生とコンタクトを取ろうとしました。するとその秘書さんが高圧的な調子で言いました。
「私どもの先生はお忙しいですよ。現在も出張中です。今後も時間が取れるかどうかわかりませんよ」
私はその口調に驚きつつも「いや、Uさんの紹介でそちらの先生を知ったのですが……」 と返事した瞬間、秘書さんの声が急に優しくなりました。
「U先生のご紹介っ! なるほど。いつもお世話になっております。はい、某某さんですね、娘さんとは知らず失礼しました。いつ頃面会をご希望ですか、すぐに調整させていただきます」
Uさんの名前、恐るべし。私も最初から母の名前を先に告げ、それから母の代理人だと言えばよかった。それにしても、ものすごい変わりようです。著名人や有力者の名前を聞いたとたんに人の態度が変わるという良い例です。
そして電話を切って五分もしないうちに当の士業の人からの挨拶の電話がありました。この人には文句ありません。誠実な対応をしていただきました。しかしこの秘書さんの第一印象が悪くて紹介してくださったUさんの顔を一度はたてたものの、再依頼とまではいきませんでした。これも縁のものだと思っています。
こういうことがあるので、人は皆、社会的地位の高い人、お金持ちの人のところに群がってよい扱いをされたり甘い汁を吸おうとするのかなと思います。いや人生観の違いだから私が言うことでもないですね。私の方がバカ……に見られるでしょうね。
私は小さいところだけど、無名で貧乏で飛び込みで来た私でもそれなりに相手をしてくださった事務所さんを見つけて今でも付き合いをしています。大きいところは有能な秘書さんや事務員さんがいるけど、大きい分、いろいろな客がいるせいで私のような小口は相手にしなくなっちゃう。ブランド化というか大きな組織になるとそうなってしまうのでしょう。
私のこういう性格が、人生のババをひいちゃうのかもしれませんが、もうどうでもいいや。イラクサのブーケまだまだ続きます。




