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第四十七話・音痴

 残念ながら私は音痴です。でも音楽は好き。歌えないけど歌も好き。でも音痴はいじめられます。嘲笑もされますね……ほかの音痴の人は知りませんが、私個人に関してはそうでした。今回はその話。

 学生時代の音楽の時間は悲惨でした。周囲の人に音痴はいなかったので余計に目立ちました。隣の人からは、歌いにくいじゃないの、音程がわからないのだったら口だけ動かしてほしいと怒られて以来ずっとその通りにしていました。

 怒られるまでは家でもどこでも歌っていました。でも、通りすがりの人から急に笑われたりしたので、だんだんと歌わなくなりました。長じて歌は歌ってはいけない人間だという思い込みをするようになりました。認知の歪みでの分析パターンだって、これは仕方がないです。音楽が好きで正確に歌いたい人にとっては、音痴は憎むべき人種なのでしょう。音痴の人に一緒に楽しいから歌いましょうとは誰も言いませんものね。そうでしょう?

 中高校生になってもそうしていたのですが、女学生は変に他人に厳しい人もいて、逆にズルいといわれました。ズルいの? じゃあ、歌いましょうと、歌うとズルいと指摘した人とは別人が、私の机の上を指文字で「オンチ」 と書きました。その後、凄い目で睨みつけられました。

 その人は歌が上手な人です。近くに音痴がいると、そんな人殺しを見るような目で睨みたくなるほど、イラつくのだということを初めて知りました。これは申し訳なかったです。でも私のせいではないです。私は音痴をすごく恥じていて、声楽の先生にも通いました。しかし、凄腕の先生なれども、どうにもなりませんでした。

 実は感音性難聴があったせいですね。音痴には大なり小なり難聴に原因がある場合が多いのですが、こればかりはどうしようもないです。ピアノを弾いていてもシャープやフラットがあって難なくこなせても、音の違いがわかりません。ピアノもバッハまでいったのですが、音感ゼロに加えて手が小さいせいもあって断念しました。ピアノの先生の「あなたはここまでね」 という態度もすごくコタえたのです。これも運命だったとしかいいようがありませんね。

 でも音痴の人だって歌が好きな人いますよ。歌が上手な人も音痴を敵視しないでもう少し心に余裕をもては、きっとファンも増えるのにと思いますよ……と、このエッセイで吐き出すしかない私です。


 いきなり話を変えますが、ドラえもんに出てくるジャイアンは、歌手を目指しています。でも、音痴。漫画ではジャイアンの歌は音符が壊れた状態で表現されます。作者は多分音痴ではない。そして、音痴の歌う歌は漫画ではこうなる……音符記号が震え、棒部分が折れ……しかも大きい。耳に手をあてて聞こえないようにしているのに、聞こえてしまって苦しむ聴衆、いや、ドラえもんたち……そんなに苦しいのか……音痴側の私は胸がつぶれますね。ジャイアンはそれでも音痴の認識はなく、言いなりになる手下を集めて音楽会をしますよね。ドラえもんたちは非常に迷惑に思っているがジャイアンはそれを全く感じない。作者は音痴ではないので、これを面白い漫画にできる。通常の音痴は人の感情を察知しますよ。作者は意図しているかどうかは不明ですが、ジャイアンはやっぱり相当なAD/HDだなと思います。自己正当型AD/HDというか……私には音楽会なんて到底無理ですよ。


 音痴トラブルは解決しようがないです。

 本物の音楽の道もすごく厳しいので……。

 世界トップのオペラ歌手さんに取材するとしたら、音痴という存在をどう感じているかと聞いてみたいところです。底辺の歌好きは音痴を攻撃するのは身に染みてわかってるから聞かないけど。



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