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第三十八話・毛皮着物宝石絵画買え

 いわゆるマルチ商法にひっかかった知人から高級品の購入をお願いされたことがあります。月々の負担は少ないローンでいきましょうと提案もされました。でも私には高級品を買う必要性とお金がないので買いません。今回はその話です。

 ある日のこと、職場で知り合ったOオーさんからイベントに誘われました。私の知っている医師と一緒に仕事をしていたという経歴があってほかの仕事仲間とはちょっと違った親しみをもっていました。

 で、連れていかれたところはいわゆるソレ。私とは縁のない分厚い毛皮がいっぱい並んでいます。私とOさんが会場に入ると満面の笑顔の女性がさっと横につきました。後ろにも数人笑顔でついてきます。私はそこで違和感を感じました。「いらっしゃいませ~♡」「よくいらしてくれました」 もうこんな感じで慣れ慣れしいです。

「いろいろと安いのよ」 とOさんも笑顔でいいます。私は高級品には興味がありませんので困った顔になったと思います。Oさんも空気を読む人なので小声で「見るだけでいいのでつきあって」 といいました。Oさんはこの会場で毛皮をローンで購入したようです。しかし私は二桁から三桁万円のコートなぞ昔から現在に至るまで一度も購入したことはありません。こんな豪華な毛皮を着て出勤できません。職場のロッカーは縦に長いタイプですし入らない。よそゆきにしても、着ていくところはない。こんな私を誘うなんて間違っています。お客さんは女性ばかりで、店員は若い人ばかり。お客さんを数人で囲っている状態です。

 着てみない? 温かいよ~と親切にしていただいたのですが、「いらない」「試着もしたくない」「毛皮嫌い」 で通しました。Oさんからは後日ごめんなさい、と謝られました。一名でいいので連れてきてほしいと担当者に請われてそれで誘ったといいました。もし私が購入したら、Oさんにも少しの紹介料のようなものが入ったようです。でも私は怒らなかったです。Oさんの仕事は真面目そのものですし、何より誰に対しても親切で病棟での人気者です。医療従事者は仕事熱心であるほど、お金もたまるし、世俗にまみれてない人も多いので良いお客さんだったのではないでしょうか。マルチ商法で別の人で高価な絵画を購入した人もいるので、書きました。

 私も繁華街で展示即売会のチラシを受け取り、好きな画家だったので眺めていたらローンでの購入をすすめられました。しかも「買え買え買え買え」 としつこい。負けてあげる、ローンだと安いなど。いつのまにか男性数人に囲まれる私。でもきっぱりと「家が狭いので飾るところがないし、私は衝動買いしない」 というとあきらめてくれました。妙に迷う風をみせると脈ありと見られてしまうのでお互いの時間の無駄です。毅然とした態度も必要かと思います。


 別の知人は着物でひっかかりました。買ってくれるまで部屋を出してもらえないという状況に陥って仕方なく購入しました。お値段二桁万円。仕立てあがった着物を母親に見せたら、黙って衣裳部屋に連れていかれたそうです。

 油単ゆたんをあげ桐箪笥を次々に開けていきます。そして以下のセリフをいって謝られたそうです。

「本物の着物はどういうものか、見てさわりなさい。あなたの買ったその着物は数千円の値打ちしかないのがわかるから……娘に着物の良し悪しを教えていなかった私が一番悪かった」 

 このお母さん、偉かったですね。旧家の人でしたので、恥じたのでしょう。この話を実家の母にしたら母も着物好きなので「着物に無知な人間をそうしてカモにするお商売は悪人だ」 と怒りました。母は家に訪問する呉服屋を利用していたので、着物にあこがれを持つ若い世代を対象にした呉服屋さんを下目にみているところがありました。でも昔の話。その母も足腰を痛めてから着物は着れなくなりました。私は着物は好きだが着物姿に自信がなく持っているだけです。いつか颯爽と着こなしたいものです。

 今回の話は着物業界のマルチ商法版。ごく一部だと思います。日本人女性ならばいつか和服を着こなしたいと思う気持ちをもてあそぶ店舗は頭にきます。真否眼や知識のない女性を対象に心理的圧迫感を与えてローンで買わせるお商売もいまだにあるのは事実。これは早くすたれてほしい。現在は中古の着物でも安く買えるリサイクル業界が発展しているので、そこから入っていける。古い着物も無駄になりません。私はその風潮を喜ばしく思います。

 

 


着物に関してはいろいろトラブルエピソードが多い。私自身も店頭で激安だった着物の小物を買おうとしたら、奥に連れていかれそうになったことがあります。反物はいらないといったら、だったら売れませんと言われたこともあります。客寄せにしても強引すぎます。巡回タイプの移動店舗のイベントでの話でしたが、こういうお店は本当に早くつぶれてほしいです。



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