第三十六話・男性にタカル女性の話
私は生物学上は女性なので、女性視点からしか書けないです。男女平等ですが重い荷物は力のある男性が持ってくださるとうれしいわ、的なそこらにいる女だと思っています。
男性は美人に相当に弱い生き物です。本能からくる行動とはいえ、あまりの扱いの落差に若い時は哀しい思いもしていましたが、年を取ると逆に美人ゆえの苦労も知ってかわいそうに思ったりします。どうでもいい男にチヤホヤされても苦痛なだけ。水商売の人はそれを逆手にお金を稼ぐのであっぱれだと思っています。
さて今回はごく普通のお嬢さんが見合いをきっかけに母娘ともども人格が変わってしまった話です。相手はいわゆる金持ちの長男。その男性をMさんとします。
Mさんの相手の女性をLさんとします。Lさんは見合いがうまくいってお付き合いをすることになって、舞い上がりました。お金で人格が豹変する人がいますがその母娘もそうでした。
見合いして数月後、「私はMの婚約者です」 といって某宝石店で宝石を買い込み、請求書をMさんにまわしてきました。でもLはまだ婚約にいたっていません。お見合いをして数回デートをしただけです。それが金額三桁万円。一方的に請求されたMさんはびっくりします。私は確認も取らずに売った宝石店も悪いと思うのだがMさんの名前を言っただけで通ってしまったらしい。金持ちは庶民には通じない常識がどうもあるようです。
しかし三桁万円はMにとってもはした金かもしれぬが、知り合ったばかりのLが勝手に購入したものを、黙って払わないといけないのかと思うのは当然です。請求書を前にM親子は語り合います。
「お前、Lさんに好きなだけ宝石を買いなさいといったのか?」
「お父さん、いいえ。ボク、そんなこと言いません」
見合いを数回しただけで……というわけで、昔からの経営者仲間としての知己であったLの父親と、見合いをセッティングしたNさんに連絡をしました。Lの父親もNさんも常識はあるので申し訳ないと詫びを入れてきました。婚約はしてないが、この調子では困る、というわけで破談です。しかしLはホテルに行ったではないか、女性としてはあれで結婚が決まったと思うのは当然と主張する。
寝たのは一回だけといえども事実は事実。しかしながら……男性側にしてみれば、正式な婚約はまだでもこれで結婚決定と思って、Mさんの名前で嬉々として高額な買い物をするというのは恐ろしいと思う。
このLさん、ごく普通のお嬢さんですよ……宝石店に突撃して、一緒にはっちゃけてしまう母親の方も凄い。男性側にしてみれば、そんな女を家庭内に入れると破産しちゃいます。
破談にした際、娘を傷物にされたと母親が騒いだため、お金を包んだと聞きました。ホテルに行ったのは事実で賠償問題にされると女性有利になる。この場合、社会的な名声の問題もあって男性の負けです。M家はそれでも厄介払いができたのでよかったと思われています。この話、個人的にはコワい話だと思っています。
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この話は、お金を自由に使えると思いこんで性格が変わってしまうというパターンですが、寄生虫体質としかいいようがありません。この話をなぜ書くかというと、ある知人の子供さんがその極小版の女性とつきあっていたからです。義務教育中の話で初めてのデートで女の子のほうから、「記念に何か買って」 と頼まれたそうです。それが判明したのは、子供が以下の通りのことを言ったから。
「お母さん、女の子と付き合うのってお金かかるね」
知人は驚いて詳細を聞きました。男の子は女の子に言われて「そういうものなのか」 と買ってあげそうです。初デート記念で記念品を相手に買わせるという発想が凄いと思うのですが、本人は初めの異性とのデートでのぼせており、嫌われたくないと思っているのでいう通りのものを買ってあげる。
知人は相応の小遣いしかあげていませんので、それで大半が持っていかれたのでしょう。食事はファーストフードの安いセットになったそうですが、彼女はそれも奢らせたそうです。女性のデートの費用は男性がすべて負担すべきという家訓があるご家庭の娘さんでしょう。男の子はお小遣い(注:知人が稼いだお金)で相手を幸せにしてあげた、よい思い出になったと機嫌がよいし、聞かされた母たる知人も思い出に残る初デートを汚したくなかったので黙っていました。しかし内心は「わが子はこれからオンナを見る目を養わないといけない」 と思っていました。
数か月後に無事? ケンカ別れしたらしいですが、原因は女の子の好きなものを買えなかったそうで「それでよかった」 と言っておりました。
恋愛は損得でするのもではないと思いますよ。特に学生のうちは。
私にも男の子がいます。私も子供にたくさんお金をあげられないので、その類の寄生虫は寄り付かないとは思うが……まだ十代前半なのにLのような娘もいるんだとびっくりしたので書きました。