第16 話 領地に行く(2)
前話はお楽しみ頂けましたでしょうか? 、本話もお楽しみ頂けるように書きたいと思いますので、是非お楽しみ下さい。
まずは、公的機関が金を市中にばら撒き公共事業を発注し、それを民間に請け負わせ、どんどん民間を潤わせていかなければならない。これが経済を回す基本であると俺は考えている。俺は経済学は学んでいないが、国が金を発行するんだから、その国が金を世の中にばら撒かないと経済が回るわけがない。
俺は領主だから金を発行できないが、それは国に無心をし援助してもらうつもりでいる。国も嫌とは言わないだろう…と願いたい。
さすがに公爵一行が自領に向けて旅立つので大行列となる。兵士の数、騎馬の数、かなりのものとなる。
通常の領主一行が自領に戻る時は大体50〜70人前後らしい。今回は100の騎馬兵と500人の歩兵隊一行である。当然、宿場町全てを借り切ることになる。これは途中にある男爵や準男爵、騎士爵のところに金を落とすためだ。これも高位貴族の勤めらしい。王都に近いところから順に領地が下位貴族からだんだん高位貴族に上がっていくらしい。
何故なら、他国と接するところほど兵隊の数が必要で、そうすると必然伯爵クラスが領地として治める事になる。経済力が強くないと、たくさんの兵を雇うことができないからだ。しかし一方、国としては管理がしづらくなるので、ある力をつけた伯爵たちが反旗を翻すことがあり得るからである。
そのおかげで…と言うのも変だが、そのせいで俺は公爵になれたのだ。以前もそのようなことがあったらしい。そこで国は一計を案じ各伯爵料の間に親戚たちである、子や兄弟である公爵または叔父叔母、従兄弟など親戚たちである候爵を配置することにしたのである。
但し調査の上、信頼の出来るものしか配置はしていないが。
当然、人数が少ないので伯爵や子爵を配置することもあり得る。先日はその中の2人が裏切ったのである。当然、こちらも相手方に裏切りをさせるように、たくさんの間者を送り込んでいる。ただほとんどが情報収集と言う形になっているが。俺はそんな面倒くさい事はせず、隣国の領都を力ずくで攻め、こちら側に寝返らせようと思っている。
そんな事をしていいのかと思うかもしれないが、俺は今までビビリで慎重な性格だった。だから今生ではもっと大胆に生きていこうと思っていたのだが、なかなかビビリで慎重な性格が抜け切らない。でもここで変えていかないとダメだと思うので、思い切ってやりたい事をやってみようと思う。神様もそう言っていたしな。
俺たち一行は最初の騎士爵領に着いた。
その少し前、俺たちはパリブルクの森へ向かおうとしていた時に、王女様一行がモンスターに襲われているのを救ったのだ。そのことにより爵位をもらうことになった。
最初の騎士爵領に着いた俺たち一行の兵士たちは普通の宿に泊まり、俺と護衛の騎士たちは俺と共に領主の館に泊まることになった。(この世界では一般の兵士たちはそのまま兵士と呼び、王や領主の護衛となるものは騎士と呼ぶらしい)
此処では領主がものすごい勢いで歓待してくれて、日本にいた時のサラリーマンの営業職の友人がいたが、その友人が営業先のお偉いさんを歓待していると言う話を思い出した。最近はどうなのか知らないけど。
どこの世界でも、上のものには気を使うのが当たり前なのだな。ましてやこの世界は上下関係がかなり厳しい世界だから、当時の日本よりまだまだもっと厳しい社会なんだろうな。俺はもうあんな世界に戻りたくない。俺は今自由に生きているのだ。
当然お世話になるミーラ騎士爵領には手土産として、金貨を100枚、そして兵士や騎士が飲み食いをして街に落とす金が同じく金貨100枚、宿泊先に落ちる金も金貨50枚はある。だから大体1つの領地で金貨250枚は落とすことになるのである。
翌朝、ミーラ騎士爵が家族と家臣全員集合の形で見送りをしてくれた。さて、今日も大勢の人間で大名行列だ(笑)。次の街まで無事に何もないと良いのだが…と思っていると、やっぱり…モンスターが現れた。ゴブリンの集団だ。これは無事に兵士や騎士達で倒すことができた。
まぁゴブリンの集団位、倒せないとな。普段から鍛錬しているのであれば余裕であろう。俺がざっと全員のステータスを鑑定してみたが、皆HP 、MP等すべて200を超えている。ゴブリンぐらい全く余裕である。オークが出て来ても集団で戦えば問題ない強さである。
次は、アールト騎士爵領である。ここの領地は昨日のミーラ騎士爵領とは違い少し広い。どちらかと言うと農業が主体となる。昨日のミーラ騎士爵領は鉄鉱山があるので、武器製造が主要な産業である。だから今日のアールト騎士爵領は少し違う。今後の領地はほぼ農業、畜産業が中心となっていく。
因みに俺の所の公爵領は農業及び鉱業が盛んだとの事。これから行ってみないとよくわからないが、どうやら多くの鉱山を抱えているらしい。隣国もその鉱山を狙ってきたのであろう。俺の所の公爵領は水源という他に、全ての鉱石が潤沢にあると神様が言っていた。まだ発見できているのは銅と鉄のみらしいが、自領に着いたらサーチで探してみよう。
俺のサーチは既に魔物だけではなく、自分の知りたいもの全てを探すことができる。しかもサーチ範囲はレベルのせいもあり半径500キロを超えている。だから普段は自分に悪意を持ったものだけ赤く光るようにしている。
アールト騎士爵には食べ物の鮮度の良い物を沢山ご馳走になった。やはりその季節に採れた時期物というか、そういったものは非常にうまい。日本でもそうだったがやっぱり新鮮な物、採れたてが1番である。ここでも同じように全部で金貨250枚を落としていった。
次はフィットー準男爵領である。此処の名産はどうやら畜産物と農産物であるが、主に鶏肉が名産らしく王都で食べる鶏肉の3割近くが此処のものらしい。しかしこの世界は鶏肉の丸焼きが多いので、フィットー準男爵にアドバイスをした。(この世界、日本風の焼き鳥を見たことがないので、俺は食べたかったのだ)
「フィットー準男爵、実は私が面白い料理を考えたのだが、厨房を貸してもらえますか?」
「はい、勿論です公爵様、どのような料理をお考えになられたのでしょうか?厨房は私も一緒に行ってよろしいでしょうか?」
「勿論、あなたにこの料理を伝え、ここの名物としてもらいたいから、ぜひ一緒に来てください」
俺はフィットー準男爵を伴い厨房に行った。すると、料理人は驚いていた。
「これからアレン公爵様が、我々に新しい鶏の料理を教えてくださるそうだ。是非皆もここに見に来るように」
そうフィットー準男爵が言うと皆料理人が近くに寄ってきたが、少し遠慮して遠巻きにしている。
「みんな、もっと近くに来なさい。これから新しい料理を見せるのだからもっと近くに来ないとわからないだろ。さぁ、もっと近くに来なさい」
フィットー準男爵がそう言うと、皆が近くに寄ってきた。
「では、私が考えた焼き鳥と言うものを今から見せるから、誰か手伝ってくれるかな?」
料理人の何人かが名乗り出てくれた。
「じゃぁ、鶏肉をさばいて大きさを栗の1粒位の大きさにカットして下さい」
「はい、かしこまりました。公爵閣下」
料理長らしき人物がそのように答えた。しばらく料理人たちは鶏肉をさばいていたが終わったようだ。
「公爵閣下このような形でよろしいでしょうか?」
料理長らしき人物が言った。
「はい、そんな形で良いですよ。次に竹串のようなものはありますか?…あったら次はそれに1つずつ今カットした肉を刺していってください。大体5切れ位でいいです」
「はいございます。これに5切れずつ挿していけばよろしいのですね?」
「お願いします」
しばらく待っていると、どうやら全て串に差し終わったようだ。
「では、その串に刺した鶏肉を、焦げないように焼いて下さい。そして焼いている間に別の者がスパイスを作成します。ほとんど塩だけでも良いのですが、塩だけのものとスパイスを加えた物と比べてみましょう。」
「塩とスパイスは普段の調合でも全然構いませんよ。既にオーク肉とブルの肉が串焼きで売っていますので、その味付けでも構わないと思います。まずは焼けた鶏肉に塩を軽く振ってみましょう。これは表裏まんべんなく振ってください」
「どうやらみんな塩を振ることができたようですね。では食べてみましょう」
俺は久しぶりの焼き鳥に興奮している。ただし表向きそんな表情は出さないようにしている。公爵と言う立場は意外と大変なのだ。久しぶりの焼き鳥……うまい!…しかも懐かしい。これは日本の焼き鳥と一緒だ。早く醤油ベースのタレも作りたい。
そんなことを考えていると、みんなが口々にうまい!うまい!と言い出す。こういう食べ方はどうやら思いつかなかったようだ。みんなの役に立てた上に自分も嬉しいし最高だ!次は塩スパイスで食べてみよう。
「どうやら皆な美味しさがわかった様だね。じゃあ次は塩スパイスで食べてみよう」
みんな塩スパイスをつけて食べ始めた。これはうまいが少し微妙だな。もっと焼き鳥に合うスパイスに変えたらいいと思う。
「どうやら全員美味しいとは思うけど微妙という感じだね。これはスパイスが鶏肉に合っていないのだと思う。鶏肉に合わせたスパイスに変えると多分抜群に美味しくなると思う。それは皆で研究してください。では以上です。これが王都で食べられるようになる事を期待しています。」
「それから、鶏を生きたまま王都まで輸送するのは大変でしょう。ですから箱を作り上の部分には氷を入れ、下に今回串刺しにした肉をそのまましまい、王都まで運べばもっと日持ちがしてたくさん運ぶことができますよ」
「それからこれを運ぶ人は当然、氷魔法が使える者が適していますよ。そうでないと途中で氷が溶けてしまい、せっかくの串に刺した鶏肉がびしょびしょになってしまいますからね。」
お楽しみいただけましたでしょうか?公爵も色々と大変ですね。階級の下の者の領地を通る時、色々とお金を落としたりアドバイスをしたりと。でも自分で食べたいと言う理由も入っていましたね。皆様ブックマーク登録や星を押していただけると作者の励みになります。よろしくお願いいたします。




