第11話 勇者たちの動向とロコス
前話はお楽しみ頂けましたでしょうか? 、本話もお楽しみ頂けるように書きたいと思いますので、是非お楽しみ下さい。本日から投稿を8時と18時の2回にさせていただきます。よろしくお願いいたします。
一方、勇者たちは、順調に訓練を重ねていっている。訓練を行っているのは、近衛騎士師団長と一部の団員である。副師団長とその他の隊員は通常訓練をしている。基本師団長が担当し、ローテーションでその他の隊員が訓練を担当する形だ。
午前中は、剣術の訓練だ。
「井上、お前は筋が良いなぁ!」
「はい、僕は剣道部にいましたので」
「剣道部とはなんだ?」
「剣道部とは、こちらの世界で言う剣術の訓練をする組織の名前です」
「なるほど、お前は剣術の訓練をしていたのだな。だから剣筋が良いのか」
「ありがとうございます」
「他の奴らも井上に負けるなよ。わからないところは色々と俺ら団員に聞けよ」
「はい」
大勢の返事が響いた。
この後ずっと素振りが続き、皆、玉のような汗をかいていた。
「よし、一旦休憩だ。各自水分補給しろ、塩分もしっかり取れよ」
「あぁ、疲れた〜…もうヘトヘト〜…」
体力のあまりない生徒たちは皆くたくたである。この世界の人々は自転車や車、電車等が無く、子供の頃から常に歩いたり走り回ったりしているので、皆体力が地球人に比べて半端なく高いのである。多分、馬車のない頃の地球人も同じだったんだろうけど。
「小野や井上は部活も運動部だったし体育が得意だったから、俺達よりは少しはついていけるだろう?」
足立が質問をした。
「いや〜、足立よりは行けると思うけど、やはり日本人とは根本的にこの世界の人間は体力が違うと思うから、訓練はきついよ」
小野が答えた。
「私達もかなりきついわ。もう体力の限界よ。」
大原がみんなに聞こえるように話た。
「そうよ、かなりきついわ〜」
大山も肩で息をしながら会話に参加した。
皆、一様に肩で息をしている上、球のような汗が吹き出ているのである。他の者達は話すのも億劫のようだ。皆、俯いてしまっている。やはりかなり訓練が厳しいようだ。
大原が師団長に話しかけた。
「師団長、私達の世界の人達は、この世界の人達のように体力がありません。それは子供の頃から馬車とは違いますが、私達の暮らしていた世界はこの世界よりもっと技術が進んでおり、遥かに高度な乗り物があります」
「建物も100階建てや集合住宅でさえ50階建ての物が普通にあります。そんな世界に住んでいる我々の世界で、馬車を主に使っていたのは数百年も前の話です。ですからあまり歩くということさえありません……」
「そんな世界から来た私達には、この訓練についていくのがかなり厳しいのです。もう少し基礎的で簡単で楽な訓練から始めてもらえませんでしょうか?…このままでしたらかなりの脱落者が出てしまうと思います。お願いします。皆ごめんね。私が皆を代表するような意見を言ってしまって」
小野が大原の意見を引き継ぎ、自分の意見を師団長に述べた。
「そんな事無いよ。大原の言った通りだから気にしなくていいよ。今、大原が言った事は俺達ほぼ全員が、考えている意見だと思ってください。俺は運動部で体力もあります。その俺がかなりきついんだから運動していなかった皆は相当きついと思います。だから本当にもう少し基礎的な体力をつける…基礎体力を上げるそんな訓練から始めてください。本当に皆このままでは持たないです」
師団長は考え込んでしまった。
「お前達の世界は、俺達の世界とそんなに違うのか?」
「はい、文明も技術力も私達の世界と比べると、この世界は数百年は昔の世界です。因みにこの世界の人達の寿命は知りませんが、私達の世界の寿命は大体今までは60歳前後。最近の祖父たちは80歳前後。やっと私たちの父で90歳から100歳と言ったところでしょうか?そんな寿命から考えると、下手をすると数十世代を経て発達してきた文明なのです」
「大原、小野そうなのか?」
「はい、その通りです」
「わかった。大臣と相談させてもらう。午後の訓練は軽く訓練所を走って終わりにしてくれ。では解散」
「小野、大原、ありがとう。皆の意見を言ってくれて、俺もそう思っていたんだよ。本当にありがとう。頼りになるな」
小野と大原に次々と皆の気持ちを代弁してくれた賞賛の嵐が送られた。
◇◆◇◆◇◆
「大臣、話があるんだが、今時間はあるか?」
「どうした?師団長」
「実は、召喚者達の事なのだが、訓練がきつすぎると言われた。だから必ず脱落者が出るとも言われてしまったよ。どうやら彼らの世界は我々の世界より遥かに文明が進んでおり、馬車より遥かに高度な乗り物が走り回っているらしい。故に彼らは子供の頃からあまり歩くと言うことさえ少なかったらしい」
「なんだと!…彼らの世界はそんなに文明が進んでいる世界なのか?…それは驚きだな。しかし、なぜそれが訓練と関係があるのだ」
「お前もわからん奴だな。では、もっと彼らが言ったことを詳しく話そう」
師団長は大原と小野が話してくれた事を一字一句漏らさずに伝えた。
「なるほどな。わかった。じゃあ少しもっと基礎体力をつけるところから始めるしかなさそうだな。それが結局彼らを卵から孵化させる早道となるからな」
「おう、それがいいな。やっぱりお前は俺の幼馴染みだけあるな」
「今更何を言っている。明日からその方針で行け。た。お前たちだ。訓練内容を考えてくれ」
「わかった。ありがとうな」
このようにして師団長と大臣の話し合いが終わり、近衛師団に訓練内容が一任される事になり、師団長、副師団長、各隊長たちが集まり話し合いが持たれた結果、小野と大原に実際に聞いてみるのが早いという事になり、二人が呼ばれた。
「悪いな2人とも来てもらって。実はあの後大臣と話をしてな、訓練内容が厳し過ぎるという事で変える事になった。そこで俺達が色々な話をしたのだが、俺達はお前達のことを良く知らない。だから、本人達に意見を聞くのが1番だと言う事になり、お前たちを呼ぶ事になった」
「わかりました。聞いていただければ俺達が知っている事を話します。勿論、私達の世界の人々の運動能力に関する事ですよね?」
「その通りだ。じゃあ質問だ。今の運動量をどれ位に減らしたら良い?」
「俺としては、皆の体力を考えると半分にしてちょうど良いと思います」
「私としてもほぼ同じ意見です。ただ運動をしていた小野君でさえ、こんな感じなので、運動していなかった。私としては3分の1位が丁度良いと思います」
「そんなに少ないのか!俺達はお前達に相当な負担をかけていたんだなぁ。反省しなくてはいけないなぁ」
「いいえ、参考になりましたでしょうか?」
「あぁ、十分に参考になった。ありがとう。もう部屋に戻っていいぞ。」
「わかりました。失礼します」
「失礼いたします」
「おいお前達、聞いたか?俺達はずいぶん彼らに負担を強いていたようだな」
「師団長、私達と彼らの世界では、そんなに生活が違うのでしょうか?」
「あぁ、相当違うぞ。話してやろう」
師団長は参加しているものに、彼らの文明及び彼らの生活を話してやった。団員達は文明の発展度合いの違いに、大きく衝撃を受けていた。
団員の1人が話し始めた。
「彼らはそれほど我々とかけ離れた文明の世界から来ているのならば、我々の組んだ訓練は拷問に近いものだったのかもしれませんね。私達は少し反省せねばならないようですね」
「その通りかもしれない。この後もう一度話し合いをして、新しい訓練内容を決めていこう」
「賛成です」
「よし、では、話し合いを始めよう」
この後、彼らの話し合いは1時間ほどで決着を得た。
どうやら大臣も、師団長以下、団員も悪い人間では無いらしい。ではなぜ魔王はアレクサンダーの暗殺命令を出したのだろうか?魔王が悪人なのだろうか?
◇◆◇◆◇◆
一方、その頃、暗殺指令を受けたロコスは、魔王国から離れたアレクサンダーが向かった方向とは、逆の国のギルドで聞き込みをしていた。詳細なやりとりは以下のようになる。
「実は俺の友人の息子でアレクサンダーと言うものが冒険者になっているんだが、そいつを探すたびに出ているんだ。俺の友人は病を患い、あと少ししか命がない。だから息子に会いたがっているんだ。だからアレクサンダーの居場所を教えて欲しい!」
「ロコス様の仰る事は良く判りますが、何せアレクサンダーと言う方は、450人以上いらっしゃいます。かなりの人数になりますよ」
「なんだと〜〜〜!……そんなにいるのか?」
「でも、さっき息子さんとおっしゃっていましたよね?」
「あ〜そうだ。年齢は15歳だ」
「個人情報もありますので、詳しい年齢は教えできませんが、10代の方でしたら…それでも現在の登録時点で167人いらっしゃいます。更に登録が反映されるまでに3日掛かります。この中からお探し頂くしかありません。私達はこれ以上、情報をお伝えすることはできません。」
「10代に絞ってもそんなにいるのか………ところで、居場所は……当然教えてくれないし、そもそもわからないよなぁ〜それぞれ色々な所に居るもんなぁ…ありがとよ」
「お役に立てず、申し訳ございません」
「いや、いいんだ。ありがとよ」
ロコスは途方にくれた。こいつ(アレクサンダー)を探すのは至難の技だな。まぁしょうがない。これは余程の幸運に恵まれない限り、残りの人生の殆どを費やすことになるのだろうな……もし運良く巡り会えて仕留める事が出来たら、良しとしよう。まぁ、まず無理だろうから国から退職金のつもりで、金をもらって残りの人生は旅をしよう。ロコスはそんなことを考えていた。
この後ロコスは、旅先でギルドに寄るたびにアレクサンダーを探していた。その事はいずれアレクの耳に入る事となる。その時点で、ロコスのアレクサンダー暗殺は既に失敗が確定した。
なぜならアレクは、ギルドでロコスと言う人間が父親の病気の事で、アレクサンダーと言う息子を探していると言う噂を聞き、多分自分の事を探している暗殺者の可能性があると思い、常に街中でもサーチを掛けていたからである。
アレクのサーチは、自分に関して本人が意識していようがいまいが、敵意のある者に対しては赤く光るのだ。反対に敵意の無い者は青く光るのだ。但し街中では敵意のない者に関しての青は、光らないように設定にする事が出来る。
本話はいかがでしたでしょうかお楽しみいただけましたでしょうか?次話もお楽しみいただけるように書きたいと思います。尚、感想等お寄せいただけると大変作者の励みになります。また誤字等ご報告いただけると助かります。下の方に行きますと星がありますので、星をポチっとお好きな数押していただけるととても嬉しいです。よろしくお願いいたします。




