表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/6

第三章〜魅せる必殺!砕けぬ闘志!~グレート鈴木の場合~ROUND-1

田中が帰ってしまったので、誰か呼ばねばならない。それが俺の使命。召喚庁のお仕事。

田中は優しいが線が細すぎた。骨太でびくともしないヤツが良いだろう。

よし、俺が呼ぶ!

「おーい。」

#01 リングに魔法陣。

オレは立ち上がった。敵はどこだ。脳震盪が残ってるのか。状況が掴めない。

レフリーじゃないな。誰だ?

「俺のことはそんなに重要じゃないから気にしなくていいぞ。」


そう言われても、神聖なリングに上ってこられては⋯

ここはリングじゃない。床に書かれてるのもてっきり⋯APWのロゴではない。

衝撃で記憶が飛んだか?

「君の毅さが欲しい。世界平和のために役立ててくれないか」


何いってんだこのオッサン。自慢のラリアット食らわせてやろうか。

いや、一般人にラリアットは警察沙汰になる。契約の話のようにも聞こえる。

ここは社会人として交渉する場面だ。


「ここは異世界。帰りたい?」


俺は何処だって呼ばれれば興行する。それがプロだ。


#02 何処だって興行するんですって

「何処だって呼ばれれば⋯」

なんと、俺達召喚師にとって神様みたいな人が来てくれた。

「まずは対戦相手とルールを教えてくれ、ギャラはその後考える」


えー、なにかの試合でしょうか。あ、でも力を見るには良いかもね。

とりあえずコロシアムの運営の人に来てもらおうかな。

「おーい。」この能力、便利だわ。田中に言われるまで大したこと無いと思ってたけど。


十分ほど待ってもらってる。大男と二人きり。何か気まずいね。


あ、ちょうどいいのが来た。代理かな。勇者「やまもと」の仲間のビキニ女戦士ネイさんだ。


「おぉ、いい男!オッサン、良いの呼んだね。見たところタンクの出来る武闘家ってとこね」

興奮するのは良いが、俺の頭をポコポコ叩くのはやめて欲しい。


二人は何だか意気投合してるみたいだ。バトルマニアあるあるかな?


対戦形式は勝ち抜き方式、賞金も掛け金の内、勝者7、敗者2、運営1でいつも通り。

で、あっさり決まった。

武器の使用は

「会場に壊れても良い椅子何個か置いといてくれ、適当に使う」

だ、そうだ。



このコロシアムの制度も「田中革命」の成果なんだよな。



第1試合の対戦相手は⋯

うわ、ト、トムリン君!?大丈夫か?

「やまもと」がレベル12で帰ったから、半分として6。努力家っぽいから10ぐらいか。


#03 元「勇者」宿主。トムリン

魔王は倒せなかったけどボクに大切なことを教えてくれた「勇者」様

「やまもと」様に負けないようにボクは、努力してきました。今日はその成果を見せる時。


生身に剣でちょっぴり気が引けるけど、鈴木さんは、ボクよりはるかに強い。体の周りに白いモヤモヤが見える。あれは汗の湯気じゃない。


本気で切りかかった。初段は避けられるはず…あれ。

当たった?ボクの手の方が痺れている。刃が当たったはずなのに、無傷!

「筋肉はすべてを解決する」って勇者様の言葉、冗談だと思ってた。

でも逆に安心した。この人は、ボクの全部を受け止めてくれる。

ボクは、連撃を浴びせる。フェイントはもういらない。全部全力。多分反撃が来たらその時がボクの負けだから。



#04 身体強化ラリアット

グレート鈴木。動きに迷いが無い。が、無駄だらけにも見える。


「ウォー!」

グレート鈴木が腕を天へと突き出し雄叫びを上げる。

「初歩の身体強化魔法じゃな」

俺の横にいつの間にかチユ=タンがいてかってに説明してくれた。今回は俺が「呼んだ」わけじゃない。てっきり救護室のほうで仕事してると思ってたんだけど。


なんで、魔法つかえるんだよ。

まぁ、実は解らなくもない。器のある転生の時とは異なり、転移時の被召喚者の肉体を構成するのは、剥き身の魂だけだ。魔法や魔力が魂由来なら、不思議すぎることではない。ような気がする。


えっ、何でコロシアムの壁の方へ走るの?しかも全力で。

激突間際に壁に背を向け、そのまま壁にぶつかる。その反動で更に加速しトムリンに。


どう考えても反動じゃない。単なる衝撃吸収用のクッションでどんだけの反発力なんだ。魅せの動きだが無駄が無い。型の様式美とでも言えば良いのか。


ラリアット!避けようとするトムリンを確実に追尾。

兜が飛んだ。


衝撃でトムリンくんは気絶したようだ。


#05 しゃべる剣技と硬派な筋肉。決勝 女戦士ネイvs鈴木


あーしはネイ。勇者「やまもと」のお守りしてた事もあるけど、剣闘士が本職な。

愛用のビキニアーマーは、魅せる用さーね。骨太の転移者とやりあえるたぁ、運がいい。


でっかい男・鈴木があーしを誘ってる。来い?

あーし、そんな安い女じゃあないね。

鈴木の方から寄って来た。ぉし、これがあーしの好きなスタイルさ。

わ、いやらしい、下半身は掴ませないね。

あーしはぴょん。踏んづけちゃう。

踏んづけるつもりの背中が、お腹に?素早い。じゃお腹を踏むね。


跳ね上げられた。なにこれ。弓なりの橋?


鈴木が笑ってる。


もう、これ、闘いと違う。体と体、筋肉と剣のおしゃべり。

(あーし強い?)袈裟斬り

(オ、オゥ)前に出てインパクトを反らしつつショルダータックル

(照れてるでしょ)タックルを交わし背後から横切り。

(オレは、硬派なだけだ)ガッツポーズで背筋を硬化。

(トムリン君、どうだった)下段の構えからの切り上げ

(いいな。体は小さいが、器がでかい。鍛えてるし勉強してる。)脇に挟んで受け、エルボーがらのヘッドバット

(まだかわいいよね)よろめきながらも足払い

(そうだな、だが良い男になるぞ)足払いを受けるも転ばず、背中に空手チョップ

(あーしもそう、おもう)前につんのめりながらも振り向く

(楽しいな。)捕まえてジャイアントスイング

(あーし、こんなの初めて。もっと、もっとおはなししたい…でも)腹筋で身を縮め回転力を弱めようとする。

(オレもざんねんだ。またやろう)放り投げる。


まいった。あーしの超負け。でもOK。たのしー。




#06 優勝者グレート鈴木。

鈴木、優勝しちまった。強い、強い

控え室からいつの間にかトムリン君が来た。もう大丈夫なのかな。意外とタフなのか、鈴木の手加減なのかも。

「オッドアイさん、見ました?ネイさん、一瞬だったけどボクと同じ構えしてましたよ」

いや、全然わからん。凄すぎて理解が追いつかん。


「オッサン、こんな感じで良かったか?」

派手な優勝者パフォーマンスを終え、鈴木も俺のところにやってきた。

ネイの言葉じゃないけど本当に良い男が召喚されて良かった。

被召喚者の実績は俺の実績でもある。


最高だ!鈴木。期待してるぞ。


「おおっ!任せろ。大船に乗った気でいろ。派手な闘いを魅せてやるさ」


—俺は、浮かれていた。


ROUND-2へ続く


熱量余って 前後編になってしまいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ