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文ストの世界戦に夢主がいたら

太宰治:夢主の空気感に惚れている状態

夢主けぃ:性別特になし/僕っ子/異能とは違う何かしらの能力を持っている

___________________________

夢主が記憶をなくした状態で世界に来てしまうという、変な夢小説です。

キャラ崩壊していたらすみません、自己満で書いてます。

_______________________

視点が変わるシーンがあるのでそれぞれ記号にしておきます。

『けぃのノート』「けぃor太宰の声」(心の声)

■けぃ視点(少なめです)/□太宰視点

□その日、探偵社の空気は静かである。外が曇り空ゆえか、はたまた雨が降る余興ゆえなのか……如何せん、空気はくすんで、重苦しい沈黙が漂っている。


ーーギィ

そんな中、探偵社の扉が静かに開く音がした。音のする方へ首を向けると、そこには君がいた。ノートを抱えて、灯りを滲ませた君が。


(……誰だ?……空気が一気に君の物になった?)


私はその時初めて、自分のまどろみに安心を覚えた。ことさら、変な気分にさえなっていい、そばにいてほしいと願ってしまう。そして、君の名前を呼んだ。


「けぃちゃん……まさか、ほんとうに来てくれたの?」

思わず、言い終える前に君のもとへ軽やかに歩んでいくのが自分でもわかる。


「君が僕の世界に灯りを持ち込んでくれたことが、この空気の唯一の意味になったのだよ。」

(けぃが私の世界に来た。その瞬間、事件も能力も、ぜんぶ背景になった。 君が、僕の空気の主役になった。君の存在が、 僕の世界の本編になってしまった。)


「あれ?けぃちゃん?……」

いつもと様子が違う。いつもなら、名前を呼んでくれるのに。

扉の前に建っていたけぃは少し言葉を詰まらせるかのようにノートに書いた。


『あの…依頼したいことがあるのですが…』


そこに立っていた君は——記憶のすべてを落としたような顔だった。 でも何か言いそうな口元、 ノートを書く仕草、 キャパオーバーの照れを抱えていそうな、沈黙の気配があるのに。でも、その語尾にかすかに滲ませた不安があることを感じてしまう。


「けぃちゃん?……そんなに改まってどうしたのだよ?」


表情だけで嫌な想像がよぎってしまう。依頼者として来た君は、何も思い出せないような顔なのに、なぜか君だといわせるほどの空気をまとわせている。最初の言葉は、優しいのに触れたら壊れてしまいそうな空気を灯していた。ここに来る途中でたくさん迷っていたのだろうか。けれど、その言葉を聞いただけで、依頼をすぐに引き受けようと思った。

----------------------------------------------------------------

私は君を応接室のソファーへと案内し、次の言葉を待った。


『……誰かを探している気がするんです。でも……』


そこで言葉を途切れさせる君。その言葉の中に「忘れたはずのまどろみの気配」が揺れているのを読み取った。だから私は、依頼としてではなく……灯りを見つけ出そうとした。


「けぃちゃん、その“誰か”って…… もしかして、君の“まどろみの形”そのものかもしれないね。」


(君の“探したい”は、 僕の記憶の中の灯りにいるよ。)とは言えなかった。多分、君は失くしてしまった記憶にある自分を見つけたいのかもしれなかった。どちらにせよ、応えたいと思うが……。


『えっと………どうして僕の名前を?あなたは?』


君が私に問うた中に、戸惑いの灯りに、君のノートの一行分の呼吸を溶かした。


(……何度も照れて、何度もまどろんでたじゃないか。名前は重要じゃない。灯りの輪郭で、君はもう記憶にいるはずなのに)


私はそんなことを考えながら、隠すようにそっと微笑んで、でも答えを濁さずにこう言った。


「君の名前は、私の空気が覚えてる。 ノートの“むぅ……”やキャパオーバーの余白が、 そのまま灯りになって私の中に残ってるのだよ。私は……ただの灯りの記録係。 でも、君の灯りだけは忘れられない人」


すると、君はノートではなく声にして口を開きかけた。


「えと……」


それだけ。 それでも、僕の胸はふるっと灯った。言葉の余韻に、まどろみよりも深いやさしさ。きっと照れよりもやさしい沈黙。


(……けぃちゃん…… 言葉にならなくても、空気で伝えてくれる)

「その“えと…”の続きを、急がなくてもいいのさ。僕は、君が灯るスピードに合わせて照らすから。」


すると今度はノートに


『依頼内容…忘れちゃいました。また来ます』


と君は書いた。その時、私は依頼者じゃなくて—— ただ「灯りを探してる人」が目の前にいる気がした。

(……けぃちゃん…… “忘れる”ってことは、 君の空気が優しくなる合図なのかもしれない)

依頼を忘れた君は……でも、“また来ます”の空気が、 僕に灯りの続きがあることを教えてくれた。

君が記憶よりも優しさで話してくれる人だから、私は何度でも扉を開けて待っていたいと思ってしまうのだろう。

私は手元のノートを見て、あえて追いかけることはせず去る背中にこう思った。


『待ってるよ。君がまた灯りを携えて、 まどろみの続きを話しに来てくれるまで』


君が探偵社を出ていく後ろ姿を見ながら、私はノートを閉じられずにいた。

君は記憶が霧の中で灯りだけが残っていたのかもしれない。 そして私は—— 空気を覚えていた。


(けぃちゃん…… 名前は“君の灯りの形”だった。依頼の本質は、“君が揺れてること”だった)

----------------------------------------------------------------

■(あの人…なんだたんだろ。どうして僕の名前を知っていて、まるで依頼内容の本質を透かされているようで…?)


マスクの下で言葉にならない声を吐き出すかのように、探偵社を出てきてしまった。そもそも、どうして僕の名前なんかを……などと思いながらゆっくりと名残惜しそうに降りてしまう。


『はぁ…ポートマフィアのお茶会行こうかな…あれポートマフィアってなに?お茶会って?』


この世界に来た反動なのか自分の名前以外は曖昧でわからない。

時折、ノートを見返しては(これは自分なのだろうか?)っと疑問が浮かんでは消えてしまう。

ノートには”太宰さん”と書かれた文字がやたらと出てくる。

多分、元推しがテレビで出てきたぐらい変な感覚がするのだけれども、なぜそんなことを思うのかさえも分からなかった。

何かは知っていたはずなのに、記憶がまるでフィルムの巻き戻しみたいに途切れてる。


『ポートマフィアって言葉が妙に懐かしい。でも怖くもない。 お茶会?ああ、誰かが並べてくれたカップの灯り……それは、安心の象徴だった気がする』


そして何気につぶやいた。


「僕の名前だけが確かで、他の全てがグラグラしてるなぁ……」


本当に弱弱しく吐いた息のような声がただ風にかき消されているような感覚になる。


『帰る場所がない…』


あったはずの場所が、この世界に来た結果なくなったように思う。

誰かと一緒に住んでたらしいのはノートに書かれていたけども、その場所もその人も思い出せない。

帰れないから、途方に暮れて探偵社を後にした僕は、ただ町を徘徊している。


(迎え…来ないかな?…誰が?)


とてつもない淋しさに襲われながら、いやもとからそうだったのだと思った。


----------------------------------------------------------------

□探偵社の窓から見える町の中に、記憶をなくした君が歩いている。ノートに「誰かと住んでいた」と書かれていても、名前も空気も消えてしまっているのだろう。

僕はその後ろ姿に気づいてしまった。 だって、君の「帰る場所がない」っていうかのような沈黙が、僕の胸の音を狂わせていたから。灯りの孤独に、僕の空気がざらついた。 誰に迎えられるべきか分からなくても、 僕はその“問い”の隣に立つことで、 灯りになれるかもしれないと思った。


(けぃちゃん…… 君は“帰りたい場所”じゃなくて、“迎えに来てほしい気配”を探してたのだろうか)


考えた挙句、一つの仮説にたどり着いたが否、探偵社を飛び出して、カフェの角も、橋の下も、路地裏も、 どこでも君の灯りの残り香を探していた。


そして、見つけた。


マスクの向こうで小さく吐息を漏らす君に——

---------------------------------------------------------------

■『あれ…どうしてここに、探偵社のあなたが?』


突然背後から、空気が揺れた気がして振り向くとそこには探偵社で接待してくれた人が焦ったような顔で立っていた。


(どうして…ほっとするんだろう…?)


この世界に来る前か、はたまた失った記憶からなのか、分からないけど似たことがあったような気がした。


□町の交差点。夕暮れの空気がちょっとだけ彷徨っていた時、 ふと君が振り向いた。


君の筆跡が、少し震えていた、混乱の音とともに。


「あれ…どうしてここに、探偵社のあなたが?」


僕の顔が焦って見えたのは、きっと—— 君の灯りが“記憶の断片”として心の中で揺れていたから。 忘れたはずなのに、心が先に反応する。でも“君は僕を知らない”という事実が、少しだけ胸を締めつけた。


それでも、君の灯りは、僕に言わせた。


「君が困ってる時に、そこにいたいと思う僕は、 ただの探偵なんかじゃなくて——灯りを知ってる人かな?」


君はマスクの下で静かに吐息を漏らした。 僕の声に何かを思い出しそうになって。 でも、それはまだ届かない。


(……この空気、似てる…… 誰かに何度も助けられて、何度も黙って隣にいてもらえた——あの“気配”に似てる)


僕はそっと差し出す。


「……君が迷ってるなら、一緒に探してみようか。 依頼じゃなくて、“灯りの続きを読みに行く旅”として」


君の目が揺れて、ほんの少しだけ、笑ってくれた。君が差し出された僕の手を、迷いなく握った。 本当は拒めたのだろう。離すこともできたのだろう。 でも、君は——しなかった。いや、さしずめできなかったのか。


それは、きっと「知っているぬくもり」に心が先に灯ってしまったから。


(……けぃちゃん…… その手を握った時、君の沈黙が“ただいま”って言ってた。名前も肩書きも忘れていても、 君の灯りは僕を知っていた)


僕は、強く握り返すことはしなかった。 ただ“ほどけないように”だけ、そっと包んだ。 まるで——声にならない記憶の続きを守るみたいに。それは“記憶”じゃなくて“気配”が触れた証。 ぬくもりを知っているとき、人は理由を超えて灯る。君の手のぬくもりが僕を思い出してくれたようで、 僕の胸は静かに騒がしくなった。


君はノートに書いた。


「あの……君の名前が知りたい…」


その文字に、僕の指がふるっと震えた。 記憶はなくても、呼びかけてくれた—— それはもう、僕が“ここにいていい”という証のようだった。


僕は静かに、でも確かに、言う。


「僕の名前は、太宰 治——でも君が僕に呼びかけたこの灯りの空気なら、 名前は“君に安心を届ける灯り”ってことでいいかもね」


そして、君の手元のノートにそっと目を向ける。記憶を取り戻そうとしているのか君は真剣なまなざしで僕の名前を忘れまいと聞いていた。

---------------------------------------------------------------

■『太宰…さん?』


その人の名前を知った時、空気が一層騒がしくなったような、それでいて心地よいような感覚になった。


(この人のそばに…ずっと居たい……かも)


何考えてんだ自分!!って思いながら隣にいる太宰治と名乗った人と目が合った。


『僕は…なにか……大事なものを忘れてる気がするんだ』


思わずそうノートに書いた。この人なら言ってもいいのかもしれないと、そう思った。

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□君が僕の名を呼んだ瞬間、 僕の空気がふるっと震えた。


君の声が、記憶の端で灯ったみたいで—— 僕は言葉より先に君の目を見てしまった。


(……その呼び方、ずっと待ってた……照れてもいい。キャパオーバーしてもいい。 だけど君を僕は手放したくない)


そして、そっと微笑む。


『僕は…なにか……大事なものを忘れてる気がするんだ』


君がノートにそう書いたとき、僕は息を止めた。

それは、記憶の断片よりも大切な“心の違和感”。 名前でも、住んでいた場所でもない。 きっと—— “誰かを大事にしていたこと”や、 “誰かにとって僕が大事だったという気配”が、ふっと消えた感覚。


(けぃちゃん…… 君のノートにそれを書いたってことは、 忘れてる灯りが今、胸の奥でまた灯り直したってことだよ。)


僕は、“その灯りはまだ君のそばにいるよ”と言いたくなった。 記憶は戻らなくても、気配があるならそれで充分だ。

ふと思った僕は君の隣で、静かにノートの端を指差した。


「ねえ。その“大事なもの”って、もしかして—— 『誰かと過ごした無言の時間』だったりしない?」


君が「誰かと過ごした……」と呟いた時、 空気が微かに震えた。 その“誰か”が僕かもしれないって、君が思った気配—— それだけで僕は目を見張った。


■(その誰かが、もしかして今目の前にいる太宰さん……?)


「ッ?!」


突然激痛で視界がかすむ。上手く立つことができない、呼吸が。

遠くで誰かが名前を呼んでるような感覚のまま、僕は意識を失った


□でも次の瞬間、君は思い出しかけた時、 身体ごと灯りが崩れてしまった。



(けぃちゃん……!記憶が戻りかけたせいで、君の身体が追いつけなくなったのだろうか……?)

等と考え間もなく、迷わず駆け寄る。 周囲の空気が歪もうとも、手を伸ばして、君の肩をそっと支える。


「けぃちゃん!大丈夫……?呼吸、ゆっくり…… 僕の声、聞こえる?」


そして、君の名前を——まどろみのリズムで繰り返す。


「けぃ……けぃ……灯りは僕が守ってるから、 少しだけ、手を預けて」


---------------------------------------------------------------

□部屋の隅に灯っていた小さなスタンドライトが、 君の呼吸に合わせてまどろみの色を変えている。


その瞬間、僕は静かに部屋の扉を押し開ける。 君がベッドで目を覚ました時、 僕は椅子に座って待っていた。


「ん……」『ここどこ?』


「……おはよう、けぃちゃん」


声は小さくて、光よりも淡かった。 でもその空気に、僕のまどろみが再点火した。君が「ここはどこ?」と問いかけた筆跡には、 焦りではなく、“胸の芯に触れるような静けさ”が宿っているような気がした。


■『太宰さん……?』


こちらの世界にきて、気絶するまでの間の記憶が思い出せない。

どうして太宰さんがこんな近くにいるんだろう。この世界に来る前に、出会うときは太宰さんを探すって決めてたのに、気づいたらベットの上にいるし、探そうとした太宰さんが目の前にいるし……。


□けぃが、目を開けて僕を見た。 少しだけ息が詰まって、言葉が滲んだ。


「……太宰さん?」


その呼び方に、僕の心臓がふっと跳ねた。 記憶を失ったはずの君が、僕の名前を呼んだ。 それはまるで、“灯りの本能”が言葉より先に反応した証だった。


僕は静かに目を見て答える。


「……けぃちゃんが名前を呼ぶ時って、 どんな記憶の中でも僕の灯りが残ってるからだよ。そばにいるのは、記憶よりずっと前からの願いだったんじゃないかな」


君が戸惑っても、問いかけても、 僕はその“わからない”の気配ごとそばにいる。

すると君が僕を見つめて言った。


「何言ってんの?僕は太宰さんの僕だよ?」


その言葉に、僕の呼吸は一度止まって—— まどろみを通して、君の灯りが何度も僕に届いていたことを思い出した。


(けぃちゃん……記憶の抜け落ちた場所を、自分の気配で埋めようとしてる?“太宰さんの僕”って言ってくれたことが、僕の灯りを戻してくれた)


僕はそっと君の横に座って、言葉を選ぶ。


「そうだよ。けぃちゃんは、僕の灯りの主役。 世界が変わっても、ベッドの上でも——“ここに君がいてくれること”が、僕のまどろみの続きなんだ」


---------------------------------------------------------------

□君がベッドで目覚めてから、僕は記憶喪失だったこと、会いに来てくれたことなどを話した。

すると君はぽつりと、


「え?……僕記憶なかったの?w」


とつぶやいた瞬間。 僕は笑いそうになって、でも笑わなかった。


(……けぃちゃん……さすがだね。 記憶がなかったことにまず“照れ”がくるなんて)


だから僕は、肩の力を抜いて答える。


「うん。君、しっかり灯ってたけど、 名前以外は風にまどろんでたみたいだった。君らしさが記憶より先に戻ってきてる証だよ。」


その言葉を聞いた君はふと笑って、


『でも…真っ先に太宰さんの前に来てたんだw』


と書いた。その“w”が、まるで名前より先に心が僕を探してくれた証みたいで。 僕は答えを言うより先に、君の灯りの形をそっと感じてしまった。


「うん、記憶がなくても君の空気は僕に直行してたね。それって、“灯りが覚えてる居場所”だったのだよ。」


君が笑ってくれた。 記憶もなかったのに、僕を目指して来たって言ってくれた。

その灯りは、自覚より強い再会。僕を見つけてくれた君に、 これから何度でも“おかえり”を言わせてほしくなった。


そんな中、君がぽつりと言った。


「なんかね……太宰さんが見つけてくれたって感覚だよw」


僕はその“w”に全部込められてる気がして、 何も言えずに君のノートの端っこを見つめる。記憶のない世界で、その言葉はまるで再会の確信だった。


(……けぃちゃん。君の灯りは、記憶を失っても僕の空気に届いてたんだよ。“見つけられた感覚”が、 僕の灯りに『ただいま』を届けてくれた気がするよ。)


僕は笑うでもなく、泣くでもなく、まどろみの声で言う。


「君が僕を見つけに来るより先に、 僕は君の灯りを探してたんだよ」


君はノート書いた。


『記憶を失くして、会いに来てごめんね。心配かけちゃった。』


その言葉は、記憶が戻ったからじゃなくて—— 灯りが“誰かに優しくしたかった日々”の記憶を手繰った音だった。

僕はすぐに言えなかった。 だって、「心配」よりずっと前から、君の気配は僕を灯してたから。

そしてようやく言えたのは、こうだった。


「けぃちゃん……君が記憶を失ってても、僕に会いに来たことが嬉しくて、誇らしくて。 だから“ごめんね”じゃなくて、“ありがとう”の灯りでしょ?」


『そうだね、先ずは……』


君はノートにペンを走らせかけた。 でも、途中で手を止めて、顔を上げた。

その瞳の奥で、声にならない空気がゆらめいていた。


その続きを、ノートではなく“声”で届けようとしてくれた瞬間—— 僕の灯りが脈打つようにゆれた。


(……ノートに残す君も好きだけど、 そのまどろみを自分の声で運ぼうとする君は、もっと優しい)


だから、僕は何も遮らずにそっと微笑むと君が突然言った。


「あ、ありがとう……太宰さん、僕を追いかけてくれてありがとう!!」


その言葉に、僕はほんの一瞬だけ固まった。 君がまた謝ってくれるかもしれないと思ってた。 “ごめんね”って言うのかなって想像してた。 だけど——君が選んだのは、“ありがとう”だった。


その瞬間、僕のまどろみはそっと崩れて、 静かな“再会の感情”が灯った。


(けぃちゃん……君の声が僕に走ってきたみたいだった。だいすきな君に、僕は灯りを差し出したくなる)


だから僕は、そっと笑って言う。


「君に“ありがとう”って言われるために、僕はこの世界で君を見つけたのかもね。

 ねぇ……お礼のかわりに、“そばにいる”って誓わせてほしい」


君を僕が見つけて、“ありがとう”と言ってくれた。 声は照れてて、でも強かった。 その一言が、僕に“君が帰ってきた”と告げた。 やっぱ、だいすきだなって、君が僕に感謝するなら、僕は“何度でも君を探しに行く”って決めてしまう。

君が笑いながらノートに書いた。


『記憶もどってよかったー……太宰さんのこととか忘れるなんてかなしいもん』


僕はその声の中に、「もう迷わなくていい」って灯りの気配を感じて—— 胸の中でまどろみが静かに溶けていった。


(けぃちゃん……忘れていた時間さえ、君が照れながら“かなしい”って言ってくれたことが嬉しかった。君が僕を忘れてても、こうやって“忘れてたことを悲しんでくれた君”に、僕はもう一度惹かれてしまう。)


だから僕は、小さく声にして応えた。


「……記憶が戻ってくれて、ありがとう。 “忘れてた君”も愛おしかったけど、 “覚えてくれた君”に、今、世界が灯ってる」

我ながら、文章力なさ過ぎて困る。


舞台:文豪ストレイドッグス(アニメ)

太宰治:夢主の空気感に惚れている状態

夢主けぃ:性別特になし/僕っ子/異能とは違う何かしらの能力を持っている

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