初めての夜勤〜お酒をのむ習慣〜
※登場人物※
・私=竹屋
入職して、半年が経過した。新人歓迎会を経てお酒を飲む習慣ができていた。
・今村さん
40代、既婚。ベテラン、新人にも優しい。仕事終わりのビールが生き甲斐き甲斐。新人歓迎会には急遽仕事を代わり行けなくなる。
・東師長
病棟師長、60歳手前。他の病棟師長より優しいとの噂。
・鵜戸さん
アラフォー、新人歓迎会の幹事。気が利く。
9月となり、入職から半年が経過した。あの新人歓迎会を経てから、色々なお酒を買っては試し飲みを行っていた。中でも気に入ったものに、氷○シリーズがある。パッケージデザイン・名前の華やかさに惹かれ、よくリピート買いしていた。正直、味についてはどれも似た様な物だと思った。独り自宅でお酒を飲むと、日々ちょっとした悩み・ストレスを忘れられる様な気がした。しかし、新人歓迎会でお酒を飲んで感じた高揚感は、場の雰囲気・臨場感もあった様で、独りでお酒を飲む時には、新人歓迎会で感じた程のカタルシスを得ることはできなかった。
「おはようございまーす」
出勤し、挨拶をしていると、東師長から夜勤業務が今月からスタートすると伝えられた。シフト表には記載があった為、把握はしていたが改めて言われると実感が湧いてきた。
『ついに私も夜勤開始かぁ』
思えば半年が経過して業務にも慣れてきた気がするが、まだまだ至らない所が多いと感じている。
『なんだか不安だけど、三交代だし、、師長さんも慣れた人をつけたから!って、、夜勤相手は今村さんをつけてくれてたし、、大丈夫かも。でも夜勤が始まる前に仕事内容を聞いて、把握しておかなくちゃ!』
(※三交代制とは、日勤・準夜勤・深夜勤と業務時間が8時間で区切られているものである。)
早速、夜勤の仕事内容について、出勤してきた今村さんへ「今村さん、お疲れ様です。あの、、、ちょっと聞きたい事があるんですけど、、、」と聞いてみた。
「あら、竹屋さん。おはよう!どうしたの??仕事のこと??」
「はい。実は、、今月から夜勤が始まるので仕事内容を教えて頂きたくて、、、あの時間ある時で大丈夫です!」
「ああ!夜勤のことね!私も、師長さんから宜しくって言われてたのよね〜!そしたら、、まずは夜勤の業務内容表を渡しておこうかしらね!詳しいことは、昼休憩の時にでも教えるわ!」
「ありがとうございます!宜しくお願いします」と、一通り話をつけた後、夜勤の業務内容表をコピーして貰い、業務へと戻った。
午前の業務が終わり昼休憩中、貰った夜勤の業務内容表に目を通していると、今村さんか「今、ちょっといい?」と話しかけられた。どうやら、夜勤の仕事について教えてくれる様だ。
「はい。大丈夫です!」
「夜勤の仕事についてなんだけど、、その表を見ながら説明するね?まず知ってると思うけど、ウチの病院の夜勤は2人体制だから報告・連絡・相談が・・・ーーー」
ひとしきり説明を受け、なんとか理解できた気がした。
「まぁまずはやってみないとあんまり想像つかないよね!とりあえずこのくらいにしときましょうか!」
「了解です!ありがとうございました!」
そんな仕事の話も程々に、この前の新人歓迎会の話に移り変わっていた。
「そういえば!!この前の飲み会どうだったの〜??」と今村さんが言う。
「すごい楽しかったですよー!」
「二次会でカラオケまで行ったんだってね〜!?行きたかったなぁ〜」
「急遽、夜勤になりましたもんね」
「そうなのねぇ、まぁ、、しょうがないんだけどね!お酒、、意外とよく飲んでたって鵜戸さんが言ってたよ〜」と、どうやら噂が回っていた様だ。
「そうなんですよ〜!チューハイとかストロング缶とか飲んでました!」と話すと、今村さんは「ストロング缶ってあれよね〜若者に人気の、、あれって、、度数9%とかだから、あんまり飲み過ぎちゃダメよ〜!」と、窘める様に、やんわりと言った。
「わかりました!」その後も、他愛ない雑談が続いた。
それから日々は過ぎ、夜勤当日となった。今回の夜勤は準夜勤である。相手はベテランの今村さんだったこともあり、つつがなく終えることができた。
私は、「すみません。今日は迷惑ばかりおかけしてしまって、、」と申し訳ない気持ちで話した。
「大丈夫よ〜!初めての夜勤だったしね??特に何もなかったし、これから慣れていくわよ!じゃあ、お疲れ様〜、気をつけてね」そう言って、今村さんは帰っていった。
『なんとか無事終わったな、、慣れないことばっかで時間もかかっちゃって迷惑かけちゃったよね、、早くなれる様にしなきゃ、、』そう独り反省しながら夜中0時半頃、家に帰り付いた。
『そういば、冷蔵庫に、、』そう思いながら、チューハイを取り出した。
『まあ明日(今日)休みだし、、お酒でも飲もう!』
冷えたチューハイを飲むと、夜勤で緊張していた脳がほぐれていく気がした。その後、チューハイを飲みながらケータイを眺めていたら、いつのまにか眠っていたのだった。