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新人歓迎会〜お酒の魔性

※登場人物※

・私=竹屋(たかや)

社会人1年目、お酒とは無縁の人生だった。

今村(いまむら)さん

40代、既婚。ベテラン、新人にも優しい。仕事終わりのビールが生き甲斐き甲斐。

西園(にしぞの)先輩

二十代半ば、病棟リーダー業務を任されるほど仕事慣れしている。

(あずま)師長

病棟師長、60歳手前。他の病棟師長より優しいとの噂。

鵜戸(うど)さん

アラフォー、新人歓迎会の幹事。気が利く。歌が上手いらしい。

『この格好変じゃないよね??』


手洗い場の鏡で、自身の身なりを確認しながら、持ち物の最終確認をして寮を出た。集合時間19時より、15分前に到着するよう、18時半前に歩いて家を出る。イヤホンで流行りの曲を聴きながら歩いていると、20分程で目的地の居酒屋に到着した。


『誰か、もう来てるかな??』


駐車場を確認すると、幹事の鵜戸(うど)さんの車が見えた。鵜戸さんは、30代後半の女性の方だ。話好きで、よく周りに気を配っている印象がある。


居酒屋の中に入り、鵜戸さんへ挨拶をする。


「鵜戸さん、お疲れ様です!」

「あら、竹屋さん早かったね。えらいねぇまだみんな集まってないよ〜」

「あのっ、、会費って、、、」

「ああ!今、もう貰っておこうかな。」

「お願いします!」


会費を渡しながら予約席を眺める。


『こういう時って、下座に座るんだよね??』


少し戸惑っていると、


「私の隣座る??」と鵜戸さんから提案してくれた。


「いいんですか?ありがとうございますっ。よろしくお願いします!」


お言葉に甘え、出口近くの鵜戸さんの席の隣に座ることにした。


「今日の病棟は何事もなくて良かったよね〜」

「そうですね!西園さんも朝からリーダーだって、張り切ってましたよ!」

「西園さんね。彼女も頼りになるようになってきたよねぇ〜、、って竹屋さんは西園さんの新人の頃とか知らないもんねぇ」

「西園さんが新人の頃ってどんな感じだったんですか??」

「彼女が新人の頃はねぇ〜、〇〇がまだ流行ってもなくて、病棟メンバーとかも今と違ったりして・・・ーーー」


そんな話をしていると続々とメンバーが到着し、鵜戸さんは荷物の場所、会費の徴収、注文の確認、タクシーの人の把握など幹事の仕事に追われていった。私も出口近くの席の為、来るメンバー達に挨拶をしながら荷物の場所説明や、会費徴収などの手伝いに勤しんだ。

そんなこんなで全員集まり、(あずま)師長さんの開会の挨拶が始まった。


「えー、新人歓迎会ということで、、皆様お集まり頂き・・・ーーー」

「世間的にもね、〇〇の蔓延とかあって、暫くうちの病棟も飲み会がなかったんだけど、皆さんのご協力のお陰でね、患者さん達には感染(うつ)すことなくこれました・・・ーーー」


『ほんと患者さん達には感染ることがなくて良かった、、ワクチンも普及して、このまま終息してくれればいいけどなぁ〜、、それはそれとして新人挨拶いつかな!?この後??』

そんなことを考えながら、東師長の挨拶を聞いていると乾杯の流れになっていた。


「・・・ーーーと、いう事でね、僭越ながら、乾杯の挨拶とさせて頂きます。」

「乾杯!」

「「「かんぱーーーーーい!!!」」」


私は手に持った果実系のチューハイを、他の人より上にいかない様に気をつけながらグラスを当てた。


一口目の感想は『チューハイってほぼジュースじゃん!』と心の中で思った。


目の前には西園(にしぞの)さんが座っており、いつも一つ結びにしている髪を下ろしていて、なんだが別人の様にも見えた。チューハイの感想を話してみると爆笑していた、、、。

「チューハイも飲んだことなかったの??」

「そうなんですよ〜、あんまりお酒に興味とかもなかったので、、そういえば!さっきちょっとだけ西園さんが新人の頃の話を鵜戸さんが教えてくれて」

「えーー!?鵜戸さん!変なこと話してないですよね!?」

「どうだったかな〜??それより竹屋さんも病棟に慣れてきたんじゃない??」

「〇〇のワクチンが普及してきて、それを打つ機会が多かったので、腕への筋注だけは完璧になった気がします」

※筋注=筋肉注射のこと


そんな他愛もない話に花を咲かせ、食事を嗜み、チューハイで喉を潤していった。今回の居酒屋はイタリアの創作料理も楽しめるところであり、出てくる料理は小洒落たものが多かった。 チューハイの1杯目を飲み切る頃、場の雰囲気もあってか、知らずのうちになんだが爽やかで、開放的な気持ちになっていった。


乾杯から1時間が経過した頃、幹事の鵜戸さんから新人の挨拶をするよう促された。


「えーー、皆さんっ。何ヶ月か経ってるし皆さんも知ってるとは思うんですけど!今から今年入った新人の竹屋さんから挨拶があります!」

「よっー」と年配の方々から茶々が入る。

「えーー、ご紹介に預かりました。新人の竹屋ですっ。えーっと、、もう何ヶ月か経って皆さんご存知かと思いますが、まだまだ分からないこと、至らない所が多いと思いますが、精一杯頑張って行きますのでご指導よろしくお願いします!」挨拶は意外にも、あまり緊張せずに言うことができた。

周りから再度、茶々が入る中、再び飲み会モードへと戻っていった。


結局、宴会ではチューハイを3杯ほど飲んだ。


『やっぱり思ったほどは酔ってないなぁ、私ってお酒強いのかも??』そんなことを考えていたら、時刻は21時前となり、明日仕事の先輩方や、主婦の方などちらほら帰る方々も出てきていた。


「この後ってどうしますーー?」

西園さんが、鵜戸さんに話を振ると、

「二次会に久々にカラオケでもどう?」

「いいですね!竹屋さん!鵜戸さんは歌上手いんだよ!?」

「そうなんですか!?」

「ちょっと〜そんなにでもないけどね〜」


鵜戸さんから、東師長さんに話が行き、二次会場はカラオケ店に決まったのだった。

酒は飲んでも呑まれるな

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