表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

新人歓迎会当日の仕事

※登場人物※

・私=竹屋(たかや)

社会人1年目、お酒とは無縁の人生だった。

今村(いまむら)さん

ベテラン、新人にも優しい。仕事終わりのビールが生き甲斐き甲斐。

西園(にしぞの)先輩

二十代半ば、病棟リーダー業務を任されるほど仕事慣れしている。

長澤(ながさわ)

病棟スタッフの1人

 夏の茹だるような暑さの中、操作にも慣れてきた新古車の軽のハンドルを切る。


『もう9月も近いのに、暑いなぁ、、』


エアコンをつけても職場に着くまでに冷え切らないのだが、気休め程度には送風が頬を撫で、片道数分の通勤路を辿る。この軽は、残価設定型ローンというシステムで車代を払っている。未だ夜勤が始まっていないため、月のお給料は諸々を差し引いて、(※新卒一年目で住民税が引かれていない)手取りで18万円も無いほどであるが、このローン形態のおかげで少しは余裕を持って返済することができている。車種は若者に人気のsuv軽自動車で、このご時世もあり、新車だと半導体不足で数ヶ月かかるところを、あまり人気な色でなかったことも相まって、運良く新古車を購入することができた。


『この車よくみるけど、この色のやつはあんまりないよね』


今ではこの落ち着いた色合いも、周りと違う気がして、お気に入りの要因となっていた。そんなちょっとした事でも、嬉しく感じてしまう。。自分はきっと単純なのだろう。


『この通勤路もだいぶ慣れてきたな』


住まいは病院の寮を使用しており、比較的安価で住まうことができている。病院の寮と言っても、敷地内にあるわけでもなく、少し離れた町ぞいにあるアパートのような場所で、そこから片道5分程で到着することができる。最初の方こそ、ただ左折するのでさえ緊張したものだが、今では鼻歌を歌う余裕がある。


『〜♪ もう職場着いた、、、しかも今日は新人歓迎会だ、、、いまさら新人挨拶するの、、なんか恥ずいな、、』


 勤務時間開始30分前には、ほとんどの病棟職員が出勤しており、その日の業務の準備に取り掛かかっていた。


「おはようございます」

軽く会釈しながら病棟へ、仕事の準備を始める。


「あら、竹屋(たかや)さん。おはよう〜」


そう挨拶を返したのは歳の近い先輩の、西園(にしぞの)さんだ。彼女は、少し明るめの髪色を後ろでひとつ結びにした髪型が印象的だ。


「おはようございます。いつもより早いですね??」

「今日はリーダー業務なんだよね〜」

※リーダー業務とは、その日の病棟のリーダー的役割を担い、Dr(ドクター)への指示もらいや、その日の病棟責任者的役割をになうもの。


「今日は、何か予定が入っていましたっけ?」

「特段、何かあるわけじゃないんだけど、ほら?今日飲み会じゃん?残業したくないじゃん!!、、そうそう!さっき病棟に連絡がきてさ、今村(いまむら)さん、、今日、長澤(ながさわ)さんが急用で急遽、夜勤交代したみたいで、飲み会に行けない!って残念がってたよ〜」 

「あっ、そうなんですね。道理で、、、駐車場に車がないと思いました。」

「あの人、竹屋さんに、お酒の良さを教えなきゃ!!って息巻いてたから、、残念だよね〜」

「あはは、、、」

そんな話も早々に、本日の申し送りが始まった。

※申し送りとは、夜勤での出来事を日勤者に報告すること。


その日もつつがなく終わりが近づき、終業間際に夜勤で出勤してきた今村さんの愚痴を聞きながら、今夜の新人歓迎会の前にシャワーを浴びるため、帰路についた。


サブスクのおすすめで流れてきた、今時の声が高い男性ボーカルの恋愛ソングを聞き、鼻歌混じりに、帰り道に確認がてら新人歓迎会の居酒屋の前を通る。そこは田舎の寂れた商店街のようなところに、似つかわしくない外観の新しくできた居酒屋であった。


『なんだか小綺麗なところだな、、』

そんなよそ見も程々に、寮へ戻った。


最近の男性ボーカルは、本当に綺麗な高い声の方が多いですよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ