新人
※この物語はフィクションであり、実際の団体、人物、事象とは異なります。また作者の体験談というわけでもありませんので、リアリティに欠ける部分が多々あると思います。それを了承した上で、お読み下さい。また小説を書くということ自体初めてなので、文章・文法が拙く、読み辛い部分が多いと思います。ご了承下さい。
(正常性バイアスとは、、ざっくり説明すると、自分だけは大丈夫!!と思い込むことです。)
※登場人物※
・私=竹屋
社会人1年目、お酒とは無縁の人生だった。若干流されやすく、単純な所がある。頼まれると断れない性格。
・今村さん
ベテラン、新人にも優しい。仕事終わりのビールが生き甲斐き甲斐。
肌を突き刺すような冬の寒さも、次第に和らぎ始めたこの頃、某田舎病院の医療系職員として、''私''は働き始めていた。単に医療系と言っても、大層なものではなく、療養型のまるめ病棟(ざっくり説明すると、ある程度安定した様な患者が多く、難しい治療・高額な治療等が少ない所)の医療職である。決して頭が良いと呼べる様な成績ではなく、なりたい職業もなく、目的意識も希薄だった学生時代。親に言われるがまま、手に職をつけるために専門学校への道を進んだ。同学年の友達は皆、立派な志を持っており、小児科や、急性期、助産師を目指す友達もいた。そんな中、親しかった友達とは違う職場で、知る人もいないこの場所を選んだのは、
''療養型って仕事がそんなにキツくなさそうだな、、''
という至極単純な理由だった。それでも初めの数ヶ月は、覚えることも沢山あり、それなりに忙しい日々を送っていた。
『なんだかんだ、、この仕事も慣れてきたなぁ』
そんなことを思うようになってきた新卒一年の夏の終わり。遅れながら新人歓迎会が開かれることになった。なぜこんな時期になったのか・・・それは、世間での記録的な感染病蔓延に他ならない。自身が働き始める頃は、第○波なんていう繰り返しの波が押し寄せてきていたのだった。療養型とはいえ、医療現場ではかなり厳しい感染対策が敷かれ、飲み会なども禁止となっていたのだった。しかし冬季を過ぎ、しばらくしてくると感染症の蔓延も和らぎ、この時期に飲み会が開かれることになったのだ。
『飲み方かぁ、初めて参加するけどどんな感じなのかなぁ?あんまりお酒って飲んだことないんだよね』
そんな事を考えながら、壁に貼られた新人歓迎会の出席表を眺め、昼休憩をとっていると、、、
「竹屋さんって、お酒普段飲まないの?」
そう話してきたのは職場の先輩、今村さんだ。今村さんは、この道20年以上のベテランで、新人の''私''にも良くしてもらっている。
「あたしなんて仕事終わりのビールを飲まないとやってられないわ〜」
「そうですね、、、あんまりお酒って飲んだ経験なくて、、両親もあまり飲まない方だったので」
まだ二十代前半の新卒一年目ということもあり、自分でお酒を買って飲むという習慣が、私にはなかった。さらに両親も特別な日以外、お酒を飲んでいるところも見たことが無かった為、飲酒という行為自体が無縁であった様に思う。
「あら?そうなの??、、あたしが若い頃なんか友達と飲み明かしたものよぉ。お酒は飲めないの??だめよ!飲んで強くなっていかなきゃ!!」
そう力説する今村さんであったが、今までの私は、感染症の蔓延もあり、新人が職場に感染症を持ち込むのはマズいと思い、合格祝いに友達と飲みに行く等も、自主的に控えていた。その為、お酒に興味を持つこともなかったのだった。
「飲めないってほどでもないと思うんですけどねぇ。なんか〇〇が流行ってたのもあって友達とも飲みにいかなかったんですよ」
「そうよねぇ、あれのせいでうちの職場も大変だったわよね、、残念ねぇ〜お酒の良さを知らないなんて、、、でもまだ若いものね!これからよ!!」
「そういえば今月末は職場の飲み会ですね。どんな感じなんですか?」
「そうよね!〇〇があってからうちの職場もめっきり飲み会が無かったけど、流石に冬を通り越してくると収まってきたものね、、新人歓迎会だから竹屋さんは幹事じゃないし、あんまり気負わなくていいと思うわ。でも、新人の挨拶は考えておいた方がいいかもねぇ」
「わかりました」
新人挨拶かぁ、恥ずかしいし面倒だなぁ、、当たり障りのないことを言えばいいか、、、そんなことを考えながら詰所の隅にカーテンで仕切られた休憩室のお菓子を摘んで談笑し、新人歓迎会の出席票に丸を付ける頃には昼休憩が終わりを迎えていた。
※この物語はフィクションです。