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武野四季  作者: 立花耀市
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第1話 「お茶」?

中学生の女の子、武野四季ちゃんと「お茶」?の、始まりのお話。



武野たけの 四季しき


四季のプロフィール

3月3日生まれ 魚座 O型


 現在、13才。早生まれなので、中学2年生の女の子です。


 祖母が、茶道を教えられる資格を持っていた人でしたが、昨年の冬。四季が中学1年生の頃に亡くなった。


 四季と祖母の思い出。四季という名は、祖母が付けてくれたと母から聞いた。祖母の名は雪といい、母のお母さんです。


 四季は、雪の事を、おばあちゃんとかで無く「ゆき」と、呼び捨てだが、感覚的には、幼い頃から、ゆきちゃんという様な、親しみを込めて呼んでいました。


 雪は、幼い頃の四季に茶道を薦めてみたが、四季は、お抹茶の苦さが苦手で、甘くしたグリンティーにして貰うのが好きだった。


 だから、雪から茶道を習ったのは、本当に、茶筅の使い方くらいと少し。


 藤の花をはじめ、季節を感じる庭を、雪が大事にしていた事。藤の花は綺麗で、四季も大好きだったが、藤の種が飛んで来て、窓ガラスが割れたという怖いエピソードを聞いて、びっくりした。


 お庭には、ししおどしも有って。その音を、雪と一緒に聞くのが、四季は大好きだった。


 TV時代劇も楽しみで、祖父母の家に遊びに来ると、祖父母と一緒に、一喜一憂して見た。


 おばあちゃん子だった四季は、雪の死を聞いただけでも、泣きじゃくった。涙がしばらく止まらなかった。


 初めてのお葬式には参加した。数珠は左手に持つんだよと、祖父が教えてくれた。その数珠は、赤い珊瑚で作られた、生前の雪の物だった。


 でも、火葬場で、雪の遺骨を親戚が順に、骨壷に納めていくのは、悲しすぎて。本当に悲しすぎて。


 形見分けで、茶道関係の本、茶器他遺品を祖父の晴夫が四季に持っていて欲しいと、いくらか受け継ぎました。


 遺品を見る度に、優しかった祖母を思い出し。しばらくは悲しかったけど。祖母を近くに感じたいと、茶道の本を読み。茶器を使ってお茶を飲みたいと、思いが湧きました。


 中学では、それまで家庭科部に入っていましたが、2年生になって茶道部に入りました。


 遅すぎる茶道への興味を、本人は、雪に習えたら良かったと。雪とお抹茶を飲みたかったと、残念に思っています。


 茶道部は、四季の入部を温かく迎えて。湧き立っています。顧問の先生まで、喜んでいます。


 家庭科部は、四季に辞めないで欲しいと、文字通り、泣きついてお願いして。こちらの顧問の先生と、部員の嘆きに、席は、残したままになっています。


 というのも、四季は、容姿に特に優れ。男女共学の学校ですから、密かに?いえ、本人も少し気付き始めていますが、かなりの人気が有ります。


 性格は温和。優しく、おおらかで、競争心に欠けますが。魅力的な女の子。成績もまず上位。礼儀も、家の教えも有って、しっかりしています。


 非の打ち所がないのです。これは、そんな彼女が、茶道部に入部届けを出した、直ぐ後の話。


 彼女は、今日、お寺の門前に在る茶屋に来ています。風情ある緋色の野点傘と、席に着く美少女。


挿絵(By みてみん)


 店員さんも、通行人も、絵になるなあと感心していますが、そんな事、四季は気付いていません。


気持ちの良い茶店の雰囲気。


 雪から受け継いだ、お茶の本を、いつも持参して。今も勉強中。すでに注文した、桜もちとお抹茶は、席に有りました。


 席に有るのは、綺麗に泡立った、クリーミーなお抹茶です。


挿絵(By みてみん)


 本の中、写真と文で紹介されているお抹茶も、泡立ていますね。


「?」(どうして、私がお茶を点てても泡立たないのに)


 本では、お湯の温度、抹茶の量、茶筅で混ぜる速さ等等が大事と有ります。


 お茶碗を温めておくとも。


「やってるよ?」(でも、綺麗に泡立たないんだけどな)


挿絵(By みてみん)


 ちょっとだけ、自分が可笑しくなって。口元が笑ってしまった。


 コツを掴みたい。茶道部で、これから実践出来るのですから、慌てるほどの事では無い筈なのに。四季は、真剣です。


 本によると、お茶の時は、お茶菓子からいただくそうです。


「美味しそう♪ いただきます」


 桜もちは、2個頼んでお皿に乗っている。3月3日生まれの四季には、ひな祭りの際に食べる桜もちが、馴染み深い。


「おいし♪ 甘。でも、桜の葉っぱの塩っぱさがちょうど良いな♪」


 後を引き、あっという間に2個平らげます。


 いよいよ、お抹茶茶碗を口に運びます。


 ズズ


 口の中の甘さが、お抹茶の苦味と混ざり。少し目頭に、涙が湧きました。


「美味しいよ。ゆき


 お抹茶を飲み干し。ほっと息をつく。


 茶店の方に、とても美味しかったですと、伝え。茶店を後にした四季。


 茶店の前に在る大きなお寺の山門を、見上げます。


 「また来るね。ゆき。今度は、私も美味しいお茶を点てれる様になるからね。・・・ご馳走様」


 このお寺は、花の名所として観光の人が訪れる著名な場所。


 そして・・・祖母雪の眠る、お墓の在るお寺。月命日にお墓にお参りに来た帰り。茶店で飲んだお抹茶を、祖母が点ててくれた様な気がして。自然と、言葉になりました。


「また来てね」


その言葉は、茶店の店員さんの言葉なのか、それとも・・・

pixivという、イラスト、小説の投稿サイトに、輝名義で、うちの子という設定で描いた「武野四季」ちゃんのイラストに、エピソードを付けてみました。


pixivで描いたキャラクターだったので、このストーリーも、先にほぼ同じ物をpixivに投稿しています。

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