「再会のカフェで」
午前の休み時間、担任の先生が教室に入ってきて、新しいグループ課題を発表した。二人一組で、学校の環境についての調査レポートを共同で完成させるというものだった。
夕嬌は自然と太白のパートナーになったが、彼女は太白の微かに眉をひそめた表情を見て、なぜか胸が苦しくなるのを感じた。
「また一緒に頑張るね。」彼女は気軽な笑顔を作り、彼のプレッシャーを和らげようとした。
太白は彼女を見上げ、うなずいた。「うん。」
その冷たい反応に、夕嬌の笑顔は一瞬固まったが、すぐに平静を取り戻した。彼女はノートを開き、ペンを取り出して真剣に言った。「まず役割分担をしようと思うけど、どう?」
太白は低い声で応じた。「いいよ。」
夕嬌は思わず彼を何度か見つめ、心にどこか苦いものを感じた。彼女にはわかっていた。太白の注意は彼女に向いていない。彼の心は何かに引っ張られ、彼女の手の届かない場所に留まっているようだった。
調査を進めるため、太白と夕嬌は午後に学校の図書館で資料を調べることにした。夕嬌はすぐにいくつかの関連書籍を見つけたが、太白は本棚の間を彷徨うように、上の空で手に取った本をめくっていた。
「太白、これで資料はだいたい足りると思う。」夕嬌が近づき、優しく声をかけた。
太白は我に返り、うなずいて手に持っていた本を元の場所に戻した。「わかった。じゃあ、まず整理しよう。」
夕嬌は彼の疲れたような表情を見て、言いたいことをぐっと飲み込んだ。結局、彼女はそっとこう言った。「太白、何か悩みがあるの?」
太白は一瞬たじろぎ、無理やり笑みを浮かべた。「いや、ただ最近ちょっと疲れてるだけだよ。」
「玉妃ちゃんのことでしょ?」夕嬌の声は小さかったが、鋭く彼の心に突き刺さるようだった。
太白の表情が固まった。彼は答えず、否定もしなかった。ただうつむき、しばらく沈黙した後、こう言った。「夕嬌、ごめん。」
夕嬌の心が微かに震えた。彼女の口元の笑みも力を失ったようだった。「どうして謝るの?」
「わかってる……君はずっと僕のことを気にかけてくれてた。でも、僕はそれに応えられなくて。」太白の声には苦い響きがあった。「本当に感謝してる。ただ……」
「そんなこと言わないで。」夕嬌は彼を遮り、声に焦りをにじませた。「太白、私はあなたに何かを求めてるわけじゃない。ただ……ただあなたが元気になってほしいだけ。」
彼女の目は熱く、まるで彼の防壁を突き破り、本当の感情を見透かそうとしているようだった。
しかし、太白は彼女の視線を避けた。「ありがとう、夕嬌。」
その「ありがとう」という言葉で、夕嬌はすべてを悟った。彼女は深く息を吸い込み、感情を抑えようと努め、それから笑顔を作って言った。「じゃあ、まず資料を整理しよう。」
教室に戻ると、夕嬌はできるだけ資料の整理に集中し、太白は静かにそばに座り、時折意見を述べた。二人の間の空気は以前のような軽やかさはなく、言いようのないぎこちなさと距離感が漂っていた。
夕嬌は心の中で自分に言い聞かせた。今は追及すべきではない、太白にさらに負担をかけるべきではない、と。それでも彼女は彼を盗み見て、彼の表情から何か手がかりを掴もうとした。
しかし、太白の表情はいつも通り平静で、それがかえって彼女の心を寒くさせた。
夕嬌はうつむき、手元のノートに目を落とした。彼女の指先は紙面に強く押し付けられ、それが唯一彼女を平静に保つ方法であるかのようだった。
三日目の放課後、太白は一人で教室を出た。夕日の残光が彼の影を長く孤独に引き伸ばしていた。彼は携帯を握りしめ、画面には玉妃から送られてきた場所と時間が表示されていた。彼女は学校近くのカフェで会おうと誘ってきた。その場所は、彼女と何度も訪れたことがある場所だった。
校門まで来た時、太白は一瞬躊躇し、遠くの空を見上げた。周りの生徒たちは三々五々と帰路についていたが、彼はその場に長い間立ち尽くしていた。
結局、彼は足を進め、その懐かしくもどこか遠い場所へと向かった。
カフェのドアを開けると、懐かしいベルが鳴った。太白は無意識に窓際を見た。そこには、よく知った人影が座っていた。沖田玉妃は薄灰色のコートを着て、両手でコーヒーカップを抱え、机を見つめていた。
彼女はドアの音に気づき、顔を上げた。太白と目が合った瞬間、彼女の口元に淡い笑みが浮かんだ。「太白、来てくれたんだ。」
太白はうなずき、ゆっくりと彼女の前に座った。二人の間のテーブルは広くて空虚に感じられ、まるで互いの距離を隔てているようだった。
「久しぶりだね。」玉妃の声は柔らかかったが、どこか緊張をにじませていた。
太白は机を見下ろし、しばらくしてから答えた。「ああ、しばらくだね。」
二人の間に短い沈黙が流れた。ウェイターが近づき、太白は適当にブラックコーヒーを注文し、再び玉妃を見た。
「僕を呼び出して……何か用なのか?」彼の声には探りを入れるような響きがあった。
玉妃はしばらく考えてから、ゆっくりと口を開いた。「話したいことがあるの。私たちのことについて。」
太白の指が軽く机を叩いた。彼はすぐには返事をせず、頭の中で「私たち」という言葉が反響していた。彼の心には複雑な感情が渦巻いていた。
「太白、私がなぜ去ったか、わかってるよね。」玉妃は低い声で話し始め、彼女の視線は窓の外の街並みに注がれ、彼の目を見る勇気はなかった。
「プレッシャーや家族のことで……」太白は平静に答えた。まるですでに受け入れているかのようだったが、彼の声にはどこか諦めの響きがあった。
「そう。」玉妃はうなずいた。「私は去ることがすべてを良くすると思った。でも、間違ってた。どこに行っても、あの問題は私を追いかけてくる。そして私自身……そこから逃げられないんだ。」
彼女は一瞬言葉を詰まらせ、声をさらに低くした。「何度も考えたの。あなたは私を恨んでる?それとも、もう私に会いたくないと思ってる?」
太白は彼女を見上げ、複雑な感情を込めて言った。「恨んではいない。ただ……どう向き合えばいいかわからないんだ。」
玉妃の目が潤んだ。彼女はうつむき、コーヒーカップを強く握りしめた。「ごめんなさい、太白。私はあなたを傷つけた。私たちの関係をこんな風にしてしまった。」
太白の心が微かに震えた。彼は目の前の玉妃を見て、彼女が記憶の中よりも憔悴していることに気づいた。しかし、彼女の目に宿る強さは消えていなかった。彼はため息をつき、疲れたような口調で言った。「玉妃、僕たちはもう戻れないところまで来てしまったんじゃないかって、ずっと考えてた。」
玉妃は彼を見上げ、痛みを込めて言った。「もし私が、戻りたいって言ったら?もう一度やり直したい……あなたはそれでもいい?」
玉妃の言葉は太白の心に大きな波紋を広げた。彼の指先は無意識にテーブルの端を握りしめ、過去の思い出が頭に浮かんだ。甘い記憶と痛みが交錯し、彼は簡単に答えを出すことができなかった。
「やり直す……」彼はその言葉を繰り返し、その重さをかみしめるかのようだった。
玉妃は彼を見つめ、期待と不安を込めて言った。「太白、私はたくさん間違えた。きっとあなたを許す価値もないかもしれない。でも、償いたい。もう逃げたくないんだ。」
太白は長い間黙っていた。まるで時間が止まったかのようだった。彼は深く息を吸い込み、玉妃の目を見つめて、低くゆっくりと言った。「時間がほしい……考えさせて。」
玉妃はうなずき、苦い笑みを浮かべた。「わかった。今度は、私は待つ。どれだけ時間がかかっても。」
二人の間に再び沈黙が流れた。まるで一つ一つの言葉が重い感情を背負っているかのようだった。
別れた後、太白は一人で帰路についた。夕日の残光が道に差し込み、彼の影は一層孤独に映っていた。
玉妃の声と表情が彼の頭に何度も浮かんだ。彼女の謝罪と挽回が本心からだと彼にはわかっていた。しかし、彼の心はまだ矛盾と迷いでいっぱいだった。
風が吹き抜け、太白は足を止めて遠くの空を見上げた。彼は心の中で自問した。彼女にどう向き合えばいいのか、そして自分の心にどう向き合えばいいのか。
遠くの街灯が一つ一つ灯り、彼の影を照らし、彼の心の中の迷いの世界をも照らし出していた。




