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亡国の姫君リネットは偽りの生活を送る  作者: 茜カナコ


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18/20

18.ウォルター王子の思い

 ウォルター王子は仕事を終え、自室で休んでいた。

 ウォルター王子の部屋のドアをノックし、私は声をかけた。

「ウォルター王子、そろそろ夕食の時間です」

「わかった」

「……少し、お話をしてもよろしいでしょうか?」


「大丈夫だ。入れ」

 私がウォルター王子の部屋に入ると、ウォルター王子の足元にいたシフォンが私のもとへ駆け寄ってきた。

「シフォン!」

 私はシフォンを抱き上げ、ほおずりした。シフォンが私の鼻を舐める。


「シフォンと遊びたくて来たのか?」

 ウォルター王子は、微笑んでいた。

「いえ、違います」

 私はシフォンを足元に座らせてから、単刀直入に話し始めた。


「何故、貴方は私を特別扱いするのですか?」

「……」

 ウォルター王子はベッドに腰かけて、私を見上げた。

「私が幼かったころ、父と兄と共にペアデ国を訪問したことがあった。ペアデ国の王家は皆やさしく、穏やかで笑いが絶えない幸せな空気に包まれていた。私の育ったフォルツァ国とは大違いだ。その中でも、リネットは……一番幸せそうに笑っていた。その穏やかな日々に、私はあこがれていた。しかし……」


「ウォルター王子?」

 私はウォルター王子の眉間に深いしわが刻まれていることに気づいた。

「私の父は、裏切りと言う形で、その穏やかな日々を打ち砕いてしまった。私にできることは少なかった……」

 シフォンがウォルター王子の足にじゃれついている。ウォルター王子はシフォンを優しくなで、小さな声で言った。

「私は、ペアデ国にあこがれを抱いていた。そして、リネットも……私には眩しかった」

「……」


 私は何といえばよいのかわからず、立ち尽くしていた。

「リネ、そろそろ食堂に向かおう。食事が冷めてしまう」

「はい」


 立ち上がったウォルター王子は、私の横を通った時に軽く私の肩に手を乗せた。

「……?」

 私がウォルター王子を見つめると、ウォルター王子は寂しげに微笑んだ。

「許してほしいとは思わない。ただ、協力してほしい」

「……」

 ウォルター王子は食堂に向かって歩いて行った。私も部屋を出て、ウォルター王子の後を追いかけた。


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