15.執事アラン
「こちらがキッチンです。そのわきの部屋は使用人たちの控室です」
「わかりました」
私はアランの説明を大人しく聞いていた。
「この城の使用人は少ないので、仕事は忙しいと思いますが、リネ殿はメイド長の仕事には慣れていらっしゃるのですか?」
私は正直にアランに答えた。
「いいえ、今回が初めてです」
「メイドの仕事は? 経験はありますか?」
「はい、少しだけですが」
アランは難しい顔をして、両手を胸の前で組んだ。
「そうですか。わかりました。それでは、メイド長の仕事を私から説明いたします」
アランはそう言って、メイド長の仕事の概要を私に教えてくれた。
最後にアランは言った。
「要は、メイドたちの取りまとめをしていただきたいのです」
「わかりました。メイドたちはどれくらい居るのですか?」
「まだ、20名程度しかおりません」
「……そんなに」
私が王女だったころには、メイドたち一人ひとりのことを改めて考えることはなかった。
ただ、必要な時に必要なものが用意され、快適な暮らしを送れるのが当然だと思っていた。
「……大変な仕事ですね」
私がつぶやくように言うと、アランは静かに頷いて言った。
「はい。ですから、リネ殿には早く仕事を覚えていただきたいのです」
「わかりました」
私は新しい役割を与えられ、緊張していた。




