表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡国の姫君リネットは偽りの生活を送る  作者: 茜カナコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

12.再会

 ガサガサ、と墓地の隅の茂みが動いた。

「……?」

 私が身構えると、ウォルター王子が声を上げた。

「誰だ? 出てこい!」

「……」

 私は茂みに歩いて近づいた。何かが、いる。

「……!? シフォン!?」

「くうん」


 白くてふわふわだった私の愛犬は、薄汚れて灰色になり、やせ細っていた。思わず抱き上げる。シフォンは両腕の中におさまり、私の顔に鼻を当てた。

「ああ、シフォン……生きていたのね……ごめんなさい、置いて行ってしまって……」


 シフォンは私の腕の中で、短い尻尾を振っている。

「リネ?」

「ごめんなさい、ウォルター王子……。私が城で飼っていた犬です」

「名前は?」

「シフォン」

「そうか」


 ウォルター王子は私の腕の中のシフォンの頭をなでようとした。しかし、シフォンはその王子の手をかんだ後、低い声でうなった。


「やめなさい。シフォン。……この人は敵ではないわ」

 たぶん、と私は小さな声で言った。

 ウォルター王子はかまれた手をさすりながら、私に言った。


「この犬を……城内で飼ってもいいぞ」

「え?」

 私は思いがけない言葉に顔を上げた。

「かわいがっていたのだろう?」

「……はい」


 ウォルター王子はそれだけ言うと、墓地に背を向け、ペアデ城に向かって歩き出した。

「……ありがとうございます……。行こう、シフォン」

「ワン!」

 シフォンは小さなしっぽがちぎれそうなほどふり、よろこんで私の顔をなめた。

「くすぐったい、シフォン」


 私が笑うと、ウォルター王子が優しい声で言った。

「ようやく笑ったな、リネ」


 私はウォルター王子から目をそらし、返事をしなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ