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Villainside  作者: 夏井タクト
舞台造り編
8/9

第八話...incomprehensible

遅れながら、あけましておめでとうございます。一度八話を投稿したのですが、短いなと思い、再度書き直しました。あと、今日は二話投稿です。

一時位に投稿予定です

 ──説明、上手く行けば能力も盗めそうだ。あの女は適当に殺すか。



「面白い、説明の礼にお前に乗ってやるよ」

「えっ?良いのかい?」

「構わない。ハンデって奴だぜ?」



 拳を握り、手を広げると同時にナイフを十本を具現化する。

 先程の動きを見た経験値豊富な異能者は紅はスピード特化の強化系と判断する、手品の様にナイフを出すこと、ファスナーが空いた上着の裏に大量に隠されたナイフから具現化は遠ざかる。



 すんなり引っかかる少女は「おお!強化系」と声を漏らす。が「違う。今、明らかに手から出した様に見えた」そう警戒心を顕にして居合いの構えを取る。

 先読みの能力を承知で見せたのはメイと少女を殺す下準備。



 紅はゆっくりと投擲の方前を取り、フェイントで五本のナイフを投げた様に見せかけた瞬間に世界停止(ザ・ワールド)を発動させ、異力と能力で強化した炎を纏わせ、再度投擲する。

 彼の能力である魔王城の宝庫(コレクターズ・スキル)は元々結ばれた制約は解除出来ず、新しく制約を結ぶ為には能力者本人を殺さなければならない。



 盗んだ能力の系統は変わらず、違えば持ち主と同レベルに引き出す事は不可能。引き出すには新しく制約を更に気付く縛り付け、倍以上の異力を求められる。

 同じ系統、肉体強化と肉体強化の能力を掛け合わす事は自由には出来ず、出来ても重い制約を求められる。



「そして時は動き出す」



 メイの額寸前で停止したナイフが解除と同時に動き出し、頭に突き刺さるとナイフが爆発する。

 動揺を隠せない男はメイの方向を二度見し、違和感を感じる。



 ──何だ?今、動きがおかしかったぞ?まるで、ゲームのキャラがラグで動きが変わった様に見えるようだ......。



 両手をポケットに入れ、ゆっくりと間合いを詰める紅、居合いの射程距離に入ったのか素早く刀を振るう男の一撃を時を止め、息を整えてから地面を蹴って距離を取る。

 新たな制約に寄って時を止めれる時間は僅か五秒、連続使用は不可能であり、一呼吸置かなければ再度世界停止(ザ・ワールド)を発動出来ない。



「お前の能力、特殊型、と言われる二種複合型の強化系と操作のハイブリッド」

「ッ!?......そうだよ。居合いの間合いに入れば自動的に抜刀する能力」

「なら、半分消し飛ばす!」



 先程の炎とは違い、内冷外撚(インフェルノ)の蒼炎を左手に纏い、火球を撃ち放つ。蒼い球体は地面を抉り、水面を蒸発させながら進む。

 再度抜刀すると、居合い時に放たれる波紋のような斬撃と火球がぶつかり合う前に居合いの間合いに入ると火球は消え去り、波紋の斬撃のみがゲーム機数台を切断する。



 異能結界の能力の一つ、結界内で在れば発動時に必要な異力の倍以上の異力を消費する事で打ち消す事が出来る。

 一応結界はゲームセンターの一室全域ではあるが、相手へのミスリードを誘う事が目的。



「どうです?瞬間移動者」

「危なかったよ」

「それは良かった」

世界停止(ザ・ワールド)



 灰色の世界で男の顔面を掴む寸前で解除、抜刀の動き寄りも速く、顔面を掴んで膝蹴りを右腕に喰らわせ、居合いを強制解除する。

 間髪入れずに右横腹に蹴りを喰らわせ、世界停止(ザ・ワールド)を発動、卍蹴りを放ち寸前で世界停止(ザ・ワールド)を解除する。



 吹き飛ぶ男は瞬間移動でない事を気付いたのか、もう一本の刀を引き抜いて二本の刀を振るい、全方向に斬撃を放つ。

 ──時を止める。そうとしか考えられない。なら、避けられない様に斬撃を放つのみっ!!

 全方向に迫る斬撃に眼を見開く紅だったが、すぐさま能力を同系統属性を同時発動する事で放てる必殺技──《斜陽十二炎神武天》の中の天猪女后(てんちょじょこう)



 水面がある場所でしか発動出来ず、必殺技の文字通り必要とする異力量も多い。

 広がる水面下から生み出される魚を模した無数の魚類が鋭い牙を尖らせ、時速320キロで対象者の臓器を捕食、絶命するまで勢い良く放たれる続ける。

 噛み締める口から吐血する男は異力に寄る相殺と、居合い術の一振だけでは捌き切れず、致命的なダメージは避けながらも肉を抉り取られる。



 男が刀身を振るった瞬間を狙い、背後に回った紅は肩を掴んで振り向かせて腹に強烈な一撃を入れる。紅の強化された一撃は小型ミサイルの威力を誇り、それも引き寄せた勢いを振るった拳が直撃すれば純粋強化系でもダメージを受ける。

 意地の悪い紅は魚型式神が多い方へと誘導し、男の右腕は鋭い牙を持つサメ型の式神に寄って食いつかれ、その隙をチャンスと見た他の魚類式神も向かう。



「その数は、捌きキレない!時を止めらre」

「これで終わりだ世界停止(ザ・ワールド)っ!」



 チャンスと見たのは式神だけではなく、壁を蹴って既に加速し接近していた紅は顔面を掴んで水面へと叩き付けようとするが、無数の式神に群れに突撃する。

 式神は紅を通り抜けるので、触れるのは黒スーツの男のみであり、紅が着地する頃には肉片一つ残らない。



「はぁ......はぁ...時止め......精神の持ってかれようが尋常じゃない......」



 ──四回の使用で、ここまでの消費をしてもなお五秒......強力だが、燃費が悪すぎるぜ。



「次に、行かねぇと......」



 膝を着き、大きく息を乱す紅は手摺にしがみつき、暴れ回る心臓を抑えようと胸を摩り、息を整えてゆっくりと立ち上がった瞬間にハイスピードで現れ、手摺に着地する──老人。





 左目に包帯を巻いた少女──夕闇(ゆうやみ)説七(せつな)。暗殺チームのメンバーの一人。

 彼女の周囲には物が浮遊する。宙に浮かぶ荷物には人外じみた手、足、口、羽、角、顔があり、黒スーツの男女が銃を発砲するも弾かれ、怪物化したAKの白い筋肉質の腕に掴まれ、牙が生えた銃口に寄って上半身を泣き喚く男女は涎塗れの生臭い口に捕食される。



 それは本来、人を殺す為に製造(生まれた)から来る、人を殺す事で溢れる喜びに打ち震え、飛び散る返り血に風船を買って貰った子供の様に無邪気に笑い、赤く染まった両手をペタペタと触る。

 カボチャの被り物をした説七が殺した死体に、長く伸びた影が迫り、死体の影に触れると細い道を作っている影寄って刀を突き刺している影迓に吸収される。



「銃使ってる雑魚の影集めて何の役に立つの?」

「死体操作がいないとは言いきれないだろ?徹底しようぜ」

「めんどくせぇなぁ」

「それは俺のセリフ。一斉のうせ!っで行くぞ」

「市民殺せとは言ってないんだよなぁ。纏めて殺せれば良いのに......」

「人殺し能力のヴァイスがハッキングしてんだから、文句言わずにやれよ。ビョウは瓦礫から守ってやってくれ。じゃあ、始める」



ビルを持ち上げ、避難が終わった住宅街に投げ付ける。衝撃音と巻き上がる土煙が空高く舞い上がった。

彼等は暗殺チーム、過去の紅を知る者達ではあるが、彼達の中には不可解な事がある。

それは、──彼等が知る炎天紅は赤炎を扱うだけで、能力を盗む何て聴いた事がなく、見た事すらなかった。



性格も全く別人と言える変貌ぶりで、髪と瞳がなければ気付けなかったほどだ。

死んだ隈が濃い目、腰まで伸びた長髪、赤を基調とした服ではなく、全身黒に染まった服、誰が見ても別人であった。



ヒーローが好きだった炎天紅はおらず、久しぶりに現れた彼は魔王を目指して、能力を盗んでいた。

性格には面影があり、過去の彼の姿と重なる時はある。



虫も殺せなかった優しい紅が、今では人を容易く殺す事に驚きはあるが、彼の事を信じてやりたい気持ちが勝つ。親に棄てられ、半年間一人で《《あの家》》で暮らして世界を客観的に見た結果なのだろうと、そう思う。



「紅は授業受けてるのか?」

「いや、全く」

「まぁ、お前が世界を壊すんだから関係ないか」

「だって、お金とか、ビジネスとか、効率とか、人の命とか、ハッキリ言ってどうでもいいだろう?責任感や人間のセオリー通りに生きる正しい社会人の生き方を叩き込むのは、我々の様なグチャグチャの歪な心を持つ思春期の子供達にはもう分かってる、正解の一つでしかない」



眼を背けてると思った。

狂ってる、暗殺チームの皆が思った。社会の幸せに眼を背け、社会の下ばかり見つめて、生きている理由を探し彷徨い、仲間を率いる。

叛逆する意志は隠せない、彼奴の瞳の炎が教えてくれる。



もう引く気はない事、譲れない願い、そんな気持ちを彼奴の全てが、伝わる。




チャンミがあじまるあじまる

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