新米教師は翻弄される
このクラスはよく分からない。
仲が良いのか悪いのか。
なにしろ、初めてクラス担任を持つのだ。
分からないことが多いのは当たり前と言えばそうだが、このクラスは独特の雰囲気があるのは間違い無いだろう。
個々の能力は非常に高い。協力する時は協力するが、それ以外は互いに無関心。たまに生徒同士の激しすぎる衝突もあるが、基本的に自分のスタンスを崩さない生徒が多い。
クラスとしてまとまっているかどうかと聞かれたら微妙だ。
何とも掴み所のないクラス。
それが他クラスからの第一印象だった。
「どうしたもんか…」
ヴァルドは学校内にある自分の研究室で頭を抱えていた。
目の前には学校長からの通達文。『今年度の学園選抜競技大会』のクラス代表を誰にするか。
おそらく誰を出しても無難に戦うだろう。
だからと言って適当に選抜するわけにもいかない。この選抜競技大会は、卒業後の進路に大いに影響を及ぼす。能力が高ければ高いだけ自身の希望する職に就ける可能性が上がるし、試合等をサポートする他の生徒も注目される。簡単には選べない。
「…頭が痛い…」
とは言え、選抜の日程も限られてる。
なんとか上手く選ばなくてはならない。そしてもうすぐ授業が始まる。
「…はあ……」
盛大なため息を付き、ヴァルドはノロノロと教室へ向かった。