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23 暗躍する者達

前回のあらすじ

アルはノヴァの生まれ変わり

 

 僕には前世の……ノヴァの記憶がある。

 というより、ノヴァというニンゲンがアルに生まれ変わったと言った方が正しい。


 だから僕には彼女達を……『四聖獣』達を呼び寄せられる触媒の在処が分かっていた―――。




 ◇◇◇◇◇




 ワカバちゃん達は、驚いたように目を見開いている。

 僕がノヴァの生まれ変わりと言った時は全く信じてもらえなかったけど、ぼくが使役していた『四聖獣』達を呼び寄せたことで、それを証明出来た……ハズ。


「アルさん……そちらの方々が……?」

「はい。前に言っていた『四聖獣』です」


 いち早く驚きから復活したワカバちゃんの質問に、僕はそう返す。

 そして彼女達に、『四聖獣』のみんなを一人一人順番に紹介していった。


「なあ、主。そっちのニンゲン達はいったい誰なんだ?」


 するとサラマンダーから、そう質問された。

 せっかくだから、サラマンダー達にも僕の主と協力者達を紹介した。


「こっちの妖族の女の子はワカバ様。今の僕の主。そしてこっちの二人がフリッドさんとアリスさん。先々代魔王と先代勇者で、ワカバ様の協力者。僕達は今起こってる大戦を終わらせるために活動してるんだ」

「そうなんですか。……それで、ワタシ達をここに呼び寄せた理由は? それもそんな忌々しい代物まで持ち出して」

「ワカバ様達が僕がノヴァの生まれ変わりだって信じてくれなかったからさ。その証明のためにシルフィード達を呼び寄せたんだ。キミ達を封印してたコレを使えば、コレに誘われてキミ達が来ると踏んでね」


 シルフィードの質問に答えつつ、手に持っていた鎖をジャラジャラと鳴らす。


「そんなので引き寄せられるワタクシ達も大概ですけど、そんなモノで呼び寄せようとしたご主人様も大概ですね」

「そうだね。一種の賭けだったけど、上手くいってよかったよ」


 ウンディーネの言葉にそう返し、僕はホッと胸を撫で下ろす。

『四聖獣』を封印してた枷と鎖で彼女達を呼び寄せられるかは、本当に賭けだった。


「それで……ボク達は何をすればいいのさ、主様?」

「また僕に力を貸してくれ。今度は世界を壊すんじゃなく、世界に平和を取り戻すために」

「いいぞ、主」

「ご主人の仰せのままに」

「お任せを、ご主人様」

「主様がそれでいいなら」

「ありがとう、四人共」


 四人から良い返事をもらえたことは、何よりも幸運だった。


「さて……今後の方針について話し合いましょうか。と言っても、前と変わらないと思いますけど」

「そうね。アル君の言う通りでいいと思う。けど……そちらの方々はどうするの?」


 アリスさんはサラマンダー達の方に目を向ける。

 その質問は、予め予想していた。


「サラマンダー達には僕達にそれぞれ付いてもらおうと思ってます。サラマンダー達もそれでいい?」


 そう尋ねると、サラマンダー達は無言で頷く。

 彼女達から了承が得られたので、僕は自分の考えを述べる。


「アリスさんには、ウンディーネを付けようと思ってます。ウンディーネは他の三人に比べて一番人間族に近い容姿をしているので。彼女なら、人類側で活動するアリスさんの障害にもならないかと。どういう役回りにするかは、後でウンディーネと話し合ってください」

「分かったわ。……よろしくお願いします、ウンディーネさん」

「こちらこそ」


 アリスさんとウンディーネは、お互いに頭を下げる。


「ワカバ様とフリッドさんには、サラマンダーとシルフィードを付けようと思います。この二人は戦闘に秀でてるので、もしもの時はフリッドさんはワカバ様を守りやすくなると思います」

「そうか、分かった」

「よろしくお願いします、サラマンダーさん、シルフィードさん」

「ああ、よろしく」

「微力ですが、出来る限りのことはやってみせます」


『四聖獣』の力が微力とか何の冗談? と思いながら、僕は続ける。


「それでノーミードには、僕に付いてもらう。いい?」

「うん、いいよ」


『四聖獣』の割り振りも済み、ちょっとした情報を共有した後に、僕達は『人魔同盟』の証である黒いロングコートを翻しながら、それぞれの持ち場へと戻って行った―――。




 ◇◇◇◇◇




 ステラへの事の経緯を説明し終えたのと同時に、何処かに行っていた母さんが戻ってきた。

 だが……見知らぬ青髪の女性を連れていた。


「母さん、その人は誰だ?」

「彼女? 彼女は……わたしが昔お世話になった人の娘さんよ。今はわたしの付き人みたいなことしてもらってるの」

「ディーネです。アリス様には日頃からお世話になっております」


 女性―ディーネさんは優雅にお辞儀をする。

 見た目は俺より少し上くらいで、何処かの貴族令嬢なのかと思わせる所作だった。


「ジークです。こっちはステラ。母がお世話になっているようで。母が迷惑などは掛けていませんか?」

「いいえ。迷惑などと……」


 母さんの性格からしたら迷惑しか掛けないと思うけど……ディーネさんは心の広い女性ひとらしい。


「それで……目ぼしい情報とかは見つかったの?」

「見つかったというか……信憑性がほとんどない情報だけは聞かされたな。それとこの街は前戦基地にしても問題ないだろう」

「そう……それじゃあここでやるべきことは済んだの?」

「そういうことになるな」


 母さんの言葉に、俺はそう答える。


 そして俺達は、ここで得た情報をハデスに伝えるために央都から立ち去った―――。






しれっと嘘を吐く先代勇者。




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