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02 遭遇

ネタバレしますが、ヒロイン初登場回です。

 

 俺は王都を出て、南方の平原に向かう。


 今回受けたクエストの討伐対象は、Bランクの魔物のレッサーワイバーンだ。


 魔物も冒険者同様ランク付けされていて、どちらもS〜Eの六段階に分けられている。

 冒険者には例外的にSSランクがあるが、昇格条件が特殊過ぎるのでほとんど存在しない。


 それと、ギルドで受けられるクエストは、自分と同じかそれ以下のランクの魔物討伐のクエストしか受けられない。

 高ランクになる程難易度も高くなるが、報酬も高くなる。


 すると報酬に目が眩み、自分のランクより高いランクのクエストを受けようとする者達が現れるようになった。

 そこでギルドは、そういった者達が無茶をしないように先の条件を作った。


 閑話休題。

 レッサーワイバーンは、Aランクの魔物であるワイバーンの下位種で、翼はあるが飛ぶことは出来ない。

 しかし、それ以外はワイバーンと同等の能力を持つので、コイツによって命を落とす冒険者も少なくない。


 だが俺にとっては金のなる木にしかならないので、火急の案件がない限りは手軽にこなせるこのクエストをいつも受けている―――。




 ◇◇◇◇◇




 平原をしばらく進んでいると、弱い魔物を喰らっている魔物と遭遇した。

 その魔物は討伐対象のレッサーワイバーンで、どうやら食事中のようだった。


 俺の足音に気付き、レッサーワイバーンが振り返る。

 俺の姿を確認して、新しいエサがやって来たと思ったのか、歓喜の鳴き声を上げる。


 俺はいつも頭に着けている黒と白の二つのヘアピンの内、白い方を手に取り魔力を流す。

 するとヘアピンは純白の刀身を持つ長剣に変化する。

 この剣は、魔力を流すことで形状が変化する、特殊な金属であるオリハルコンで出来ている。

 普段はヘアピンの形を取っているが、戦闘時は長剣に戻し使っている。


 俺が剣を右手に構えると、レッサーワイバーンはそれを見計らって突進してくる。


 その巨体にぶつかられるとひとたまりもないが、直線にしか移動してこないので回避は容易だ。


 俺はレッサーワイバーンの左側に移動して突進をやり過ごす。ついでにすれ違い様に、ヤツの左翼を斬り落とす。


 ヤツは悲鳴を上げ、怒り狂った目で俺を見据える。

 そして大きく口を開け、俺を喰らおうとする。


 喰われる気は更々ないので、身体強化魔法で脚力を強化してヤツから大きく距離を取る。


 ヤツの口は空を裂き、隙が出来る。


 俺はその機会を逃さず、左手をヤツに向けて魔法を発動させる。

 俺が使ったのは、雷属性中級魔法の《メガサンダー》で、俺の左手から雷光が迸る。


 雷撃を喰らい、レッサーワイバーンは悲鳴を上げる。

 ヤツは未だ倒れていないが、動きが鈍くなっていた。


 俺は一気に距離を詰め、剣を両手で握り力をこめる。

 そして剣を振り上げ、レッサーワイバーンの首を斬り落とす。


 ヤツの頭は地面にボトリと落ち、遅れて胴体も地面に倒れ込んだ。

 それを確認して、俺は剣を振って血を落としてヘアピンの形に戻す。


 特に窮地に陥ることもなく、俺はいつも通りにレッサーワイバーンを討伐した―――。




 ◇◇◇◇◇




 俺はレッサーワイバーンの死骸を魔法袋に収納する。


 魔法袋は中が亜空間になっていて、ワイバーンを数体収納しても余裕が出来る程の収納能力を持つ。

 この袋は一般にも流通していて、生活必需品の一つとなっていた。


 死骸を収納している理由は、きちんと討伐したという証拠と、魔物の素材をギルドが買い取ってくれるからだ。




 死骸の収納も終わり王都に戻ろうとした時に、遠くから悲鳴が聞こえた。

 俺は悲鳴がした方へ走って行くと、そこには魔物に襲われている少女がいた。


 襲っている魔物は、普通の狼より一回り大きい体をしているDランクのワイルドウルフで、三匹で少女を取り囲んでいた。

 少女の方は冒険者みたいだが、足を怪我しているのか地面に座り込んでいた。

 彼女はワイルドウルフ達を近付かせまいと、持っていた杖を振り回していた。


 俺は駆け寄り、少女の前に躍り出て魔物と対峙する。

 突然現れた俺に対して魔物は警戒心を露にし、少女はきょとんとする。

 俺はあることを少女に確認する。


「この魔物を倒しても構わないか?」

「え……ええ、構いません。私の討伐対象ではないので」


 もしこの魔物が彼女の討伐対象だったら、獲物を横取りしたとして俺が罰則されるから一応確認した。

 彼女の許可も得たので素早く魔物を討伐しにかかる。


 俺は右手をかざし《メガサンダー》を発動させる。

 その雷撃をモロに喰らったワイルドウルフ達は地面に倒れ込んだ。


 魔物が動かないことを確認した俺は、少女の方へ振り返る。


「大丈夫か?」

「はい、助けていただきありがとうございます」

「いや、悲鳴が聞こえたから来ただけだ。……俺の名前はジークだ、君は?」

「私はステラと言います」


 少女―ステラは微笑みながらそう名乗った。




 これが俺とステラの、運命の出逢いだった―――。






ボーイミーツガール!




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