中世風の異世界に召喚されたけどフォークもナイフもないので最悪です
例によってネタを思いついたのですが、長編を書いているので、また短編にしてみました。
完全に中抜け状態ですが、かろうじて話としては完結させたつもりです。(^^;)
こんな状態ですので、誤字脱字も多いとは思いますが、温かい目で読んでいただければと思います。
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第一章 神様
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僕は今日も朝早くから、新聞を配達のアルバイトをしていた。
こんな時間に起きて働いているのは、クラスの中で僕だけだろう。
毎日、心臓破りの坂のある橋や、丘の上に建つ家に配達しているせいで、下手な運動部よりも持久力があり、よく運動部から勧誘されたが、家の都合で部活には入っていなかった。
新聞配達が終わり、自転車で家に戻る頃、朝練のクラスメートを見かけたので、自転車を止めて挨拶をした。
「おはよう、峯川さん。」
「おはよう、坂田くん。
今日も新聞配達ご苦労様。」
峯川 芽依。
おっとりとした丸顔の可愛いくて元気な女子だ。
バレー部なのだが、体も小さく運動部の割にずんぐりとした体つきで、レギュラーとは程遠いらしいと友達が言っていた。
しかし、それでも毎日朝練に励んでいて、この時間には毎日のようにすれ違った。
最初は峯川さんから一方的に挨拶してきていたのだが、今では、僕が先に見つけた時はこちらから挨拶するようにしている。
まぁ、特に教室で仲良く話すような仲でもないのだが、僕と接点のあるクラスの女子は彼女くらいだろう。
が、今日はいつもと違うことがあった。
峯川さんの周りが円形に光り始めたのだ。
僕は何事かと思ったが、その光にヤバさを感じたので、峯川さんをこの光から助けだそうとタックルした。
が、しかし、峯川さんを押し倒した瞬間、視界が暗くなったかと思うと、目の前に筋骨隆々の若い男性が肩から布一枚まとった状態で現れた。
僕は思わず、
「変態だ。」
と呟いてしまった。しかし、それとは別に僕の下から声が聞こえてきた。
「坂田くん、自分で言う?
押し倒してくれるのは嬉しいけど、もう少し、私との関係とか場所とか時間とかも考えようか。」
普段の峯川さんとは違う、少し震えた声だった。
僕は、
「違っ!、あれ!」
と言って峯川さんを押し倒したまま、ほぼ上半身裸の男性を指差した。男性は、
「やれやれ。
物を知らんというのは、嘆かわしいことだ。
平和公園にも像はあるぞ?」
と言ってきた。僕も峯川さんもキョトンとした。
―――誰だそれ。
ため息をつく声が聞こえた。
「ほら、長崎にあるだろ?
本当に知らないか?
右手で空の原爆を指し、左手で平和を表しているやつ。」
と言われて、ようやく教科書に載っていたのを思い出した。神様、ちょっと必死だ。
「坂田くん。
変態はわかったけど、いつまでこうやって押し倒している気?
まぁ、そのまま責任取ってくれるって言うなら続きもやっていいけど・・・。」
と言ったが、顔は赤くなり怒っているようだった。
僕は慌てて峯川さんから降りたが、もう少し女子に触っていたくて起き上がるのも手伝った。
僕は男性に、
「それで、名前がわからないのですが、誰と呼べばいいのですか?」
と聞いたのだが、
「誰とは何事だ。
神に名などない。」
と返してきた。私は少し苛ついたので、
「なんだ。
無名の神様か。」
とジト目で指摘した。すると神様も苛ついてきたようで、
「そう言えば、坂田とか言ったか。
お前は呼んでいないはずだが?
なんでここにいるのだ。」
と言ってきた。が、しかし峯川さんも、
「そもそも、私も呼ばれたつもりはないわよ。
これから朝練なんだけど、ちゃんと間に合うように返してくれるんでしょうね!」
と怒っていた。神様は、
「お前は、勇者として選ばれた。
栄誉あることだぞ?
感謝しこそすれ、怒るのは筋違いというものじゃないのか?」
と言った。そんな横暴な話が会ってはたまらない。峯川さんも僕も、
「そんなこと、神社のお参りで頼んだ覚えはないわよ。
第一、一方的に人を拐かしておいて何が『栄光あることだぞ』よ。
とっとと、元の場所に戻しなさい!」
「そうだ!
ちゃんと元の場所と時間に戻せよ!」
と、文句を言った。すると神様は、
「一度召喚したんだ。
行った先の世界を救わないと帰れんぞ?」
と説明した後、
「あぁ、面倒だ。
こんな生意気な奴らでも、勇者として送るからにはすぐに死んだら神の沽券にかかわるのだからな。」
と愚痴っていた。と、何か思いついたようで、
「よし。
お前が神に感謝するように、勇者としての権能を3個授けるとしよう。
一つはステータス強化、一つはレベルアップ時のステータス倍増、最後の一つは運気の上昇だ。」
と話した。すると、峯川さんが、
「なんか、安いラノベのありふれた設定ね。」
と悪態をついた。僕は思わず、
「あぁ、あの中二病御用達のアレか。」
と言ってしまい、峯川さんにムスッとされてしまった。どうやら峯川さんはラノベを愛読しているようだ。
「ありふれているだと?
そんなわけあるまい。
そもそも、ありふれているのなら、勇者召喚なんかしないだろ?」
と言ったが、神さまの言うとおりかもしれない。
「僕には何かありますか?」
と聞いたのだが、
「あぁ、文句ばかり言うお前か。
もう、元の世界に帰っていいぞ。」
と言ってきた。すると峯川さんが、
「ちょっとまって。
一人じゃ寂しいし、連れて行ってもいいかな。」
と言い出した。僕は、峯川さんを女性として見たことはなかったが、上手くすれば彼女出来るかもしれないという下心もあって、
「そのまま責任取ってくれるって言うなら一緒に行ってもいいけど・・・。」
と峯川さんの声真似で茶化しながら言ってみた。峯川さんは、少し悩んだようだが、
「いいわよ・・・。
責任取って彼女になってあげるけど、浮気は許さないからね。」
と交渉が成立した。神様は呆れたように、
「あぁ、もうお前らだけで話を勧めおってから。
仕方ない。
神に遣わされたはずなのに、すぐ死んでもやはり沽券に関わる。
お前は勇者ではないが、一つだけ権能を授けてやろう。
そうだな・・・。
超回避スキルで日に1回、どんな攻撃でも避けられるようにしてやろう。
レベルが上がれば、それに応じてスキルを使える回数も増えるから喜べよ?」
と言われた。僕はこの時、
「たった一回かよ。
しょぼっ!」
と残念に思った。神様が苦笑いし、
「しょぼいだと?
何たる言いよう。
・・・そうだ、いいことを思いついたぞ?
そのスキル、お前が童貞のとき限定とする。
まぁ、その代わり、常時発動の危機感知スキルでもつけてやろう。」
と言った。一応、追加のスキルをくれたようだ。峯川さんが、
「私とはノーカンにしてもらえませんか?」
と言ったが、
「そんなのは知らん。
お前も、神に向かって結構な暴言を吐いていたではないか。」
と言った。そして、
「ついでに、童貞の間はモテるようにしておいてやるから、せいぜい童貞を楽しむが良い。
なに、童貞でなくなっても勇者が責任を取って世話をしてくれるだろうからな。
相手さえ間違わなければ、ハッピーになれるはずだぞ?」
と、ニヤニヤしながら言ってきた。
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第二章 ヴィーレ王国
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その後、真の召喚者の所に転送された。
「勇者様!
ようこそお越しに・・・なられ・・・ました?」
と、途中から疑問形に変わっていく。
一体ここはどこで、この人は誰なのだろうか。
「僕は坂田 陽斗で、こちらが勇者の峯川 芽依です。
ここは一体どこで、貴方方は誰ですか?」
と聞いた。すると、女性の隣に控えていた重そうな鎧を身にまとった体格の良い男性が、
「こちらは、この国の第一皇女、ユーベリア・ソル・ヴィーレ様である。
此度の召喚、大儀である。」
と言った。言葉は通じるようだ。『大儀』というのは偉い人が労う時に使う言葉だと、知識の上ではあるが、普段聞き慣れない言葉なだけにピンとこなかった。
「それで貴男は?」
と聞いたところ、
「貴様は勇者じゃないのなら、小姓か何かか?
まぁ、よいか。
私はこの国の騎士長を努めているノーゼン・フレーメ・ギャルバスと言う。
勇者殿とは、これから頻繁にお会いすることになるだろう。」
と言った。峯川さんが、
「小姓とは何ですか?」
と聞いたところ、ノーゼンさんが、
「小姓は小姓だ。
雑用係だ。
見るからに貧弱で力もなさそうではないか。」
と言った。僕は苦笑しながら、
「まぁ、立ち位置としては似たようなものか。
一応、勇者の身の回りや下のことも世話を許されているので、情夫等の面倒は見なくてけっこうです。」
と言った。皇女様と騎士長、それと幾人かの人で暫く相談をしていた。
髭を生やした如何にも長老という感じの威厳のある人が、
「その、坂田様は勇者ではないのですか?」
と聞いてきた。僕は、
「いえ、勇者は峯川さんだけです。」
と言ったが、その長老が困った風に、
「我々は、他国の魔王に侵食され、いよいよ窮地に追い込まれていまして、既に王も王子もも既にお隠れ遊ばしておりまして、今、王族は女王陛下と皇女殿下しかいらっしゃらないのです。
勇者殿が事を成した暁には、皇女殿下を迎えていただくことでこの国を渡し対価としようと考えていたのですが・・・。」
と言った。すると峯川さんは、
「私達は、元のいた世界に戻りたいと考えています。
永住するつもりはありませんので、ご心配なさらないでください。」
と言った。恐らく、王族と勇者一族が出来てしまったら争いの種になるので、そうはならないように配慮すると伝えたのだろう。
しかし皇女様が、
「それでは、勇者様をタダ働きさせた恩知らずという事になります。
出来ましたら、その、勇者の縁の者の子ということで、坂田様の子種をいただけないでしょうか。」
と提案してきた。神様が言っていた童貞の間はモテる設定のせいなのだろう。ここで調子に乗ってヤった日には、後日天罰が下るに違いない。(峯川さんから)
僕は、
「その、事が成された後、それでもお気持ちが変わらないようでしたら峯川さんと相談はしますが、おそらく、色よい返事は出来ないと思いますよ?」
と婉曲に断った。すると峯川さんは、
「今すぐ、一発だけで済ませるのなら、ヤッていいわよ?」
と言ってきた。僕は思わず超回避スキルを使って、
「ごめんなさい。
皇女様とはヤりませんから、許してください。」
とお願いした。どうやら物理攻撃でなくても超回避スキルは効くらしく、
「解かったわ。
今回だけだからね?」
と笑って許してくれた。この世界で勇者から縁切りされたら、王宮からも放り出されるかもしれない。そうなれば、路頭に迷う事になりそうだから仕方がない。
そもそも、童貞の間しかモテないという条件であれば、童貞の間は攻略キャラが次々と出てくるのにヤッた瞬間にモテなくなると思われる。ということは、責任を取ると言ってくれた峯川さん以外は全員バッドエンドしか準備されていないという落ちもありうるし、その峯川さんだって愛想を尽かされれればバッドエンドとなってしまうのだろう。
さっきから峯川さんが近い。というか、僕と腕を組んできて、皇女に僕達の仲良しアピールをしている。
ついさっき仕方なく彼女になったばかりの割には、ノリノリの気がする。
何気に嬉しいけど、皇女様に向けた笑顔が怖かった。
それから皇女様自ら、僕達を部屋に案内した。
「ここが勇者様に過ごしていただく部屋です。
隣の部屋が私の部屋ですので、何なりとお声掛けください。
坂田様には、別のお部屋を準備しますので、それまでは私の部屋をお使いください。」
と言った。しかし、そこに控えていたメイドさんが発言した。
「ユーベリア様、男性を自分の部屋に入れるというのは感心いたしかねます。
婚前に何かあっては一大事でございますので、坂田様は私目等がいただき、勇者様の身の回りの世話が出来るように、一から叩き込もうと思います。」
と言った。皇女様は、
「その『いただく』というのはどういう意味ですか?
ことと次第によっては、一考しますよ?」
と厳しく指摘した。するとメイドの人は、
「ユーベリア様、その発言は少々品位に欠けますよ。
あと、恐らく何人かの身は汚れ、妊娠することもあるかもしれませんが、これも勇者様にご満足いただくためです。
あくまで仕事と心得ておりますので、ユーベリア様や勇者様から寝取るような真似は、メイドの誇りにかけて絶対にいたしませんよ。」
と言った。峯川さんは、
「坂田くん、モテるね。
しっかり私が満足できるように、勉強してきてね?」
と、またしても笑顔が怖かった。僕は、
「しゅ・・・、すみません。
メイド様、ご配慮はありがたいのですが、お仕事のやり方だけ教えてください。」
とお願いした。メイドさんは、
「あらあら、仕事のやり方を教えて欲しいとは、積極的ですね♡」
と顔を赤らめて言ってきたので、慌てて、
「下の方は二人で解消しますから、それ以外の仕事を教えてください。」
と言い直した。メイドさんはつまらなさそうに、
「下の方も好きなだけお教えしますのに。
勇者様ほどではありませんが、出るところも、引っ込むところもそれなりの者が多数おりますよ?」
と返してきた。僕はちょっと想像してしまったが、なんとか感情を押さえ込んで、
「その、峯川さんがお許しになりませんので・・・。」
としどろもどろで説明した。峯川さんが、
「坂田くんは私のものですから、私の部屋で寝るのも当然です。
他の皆様には譲れませんので、そのつもりでいてください。」
とはっきり宣言した。皇女様やメイドさんがしょぼんとしていた。
その後、皇女様やメイドさんが部屋や王宮の間取り等について簡単に説明して、夕食まで開放された。
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第三章 夕食
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ヴィーレ王国の王宮は、如何にも中世ヨーロッパといった佇まいをしている。
それは食事についても同様だったようだ。
豪華な食事が並んでいるが、お皿の両端に置いてあるはずのものがない。
女王陛下がお見えになった。
「それでは皆、今宵は勇者様がおいでくださったお祝いの席じゃ。
遠慮なく、料理を楽しむが良い。」
と挨拶をした。コース料理なのか、先ずは前菜が出てくる。
僕は後ろに控えているメイドさんに、
「すみません。
フォークやナイフはございませんか?」
と聞いてみた。すると、
「フォークとはどのようなものでしょうか?
あと、食事の席でナイフを使うのは、女王陛下がいらっしゃるのに看過できません。
いかなる用途で使おうというのですか?」
と返事が帰ってきた。
女王陛下や皇女様を見ると、親指、人差し指、中指を使って手掴みで食べている。
指三本で食べて、塩や胡椒のような調味料は薬指や小指で取って舐めることで味にアクセントをつけるのがポイントらしい。
この様子を見ると、文化水準が高いとは到底思えなかった。
僕は一度断った上で峯川さんと僕の部屋に戻り、カバンの中からお弁当箱についていたお箸を持って、自責に戻った。
「峯川さん、これ。」
とお箸を渡すと、
「坂田くん、ナイス!
これで心置きなく食べられるわ。」
と笑顔になった。皇女様はその二本の棒に興味津々で、
「そのような二本の棒で何をなさるのですか?」
と聞いてきた。しかし、峯川さんはお箸を使ってサラダを食べ始めた。
僕は皇女様に、
「峯川さんが既に使っていますが、手を使わずに、料理を食べる道具です。
最初は扱いづらいかもしれませんが、慣れてしまえば手に油もつきませんし、手が泥がつていても、お箸を使えば泥と一緒に食べずに済みますので、衛生的ですよ。」
と説明した。すると、皇女様は驚いた様子で、
「坂田様もあのように器用に食べることが出来るのですか?」
と聞かれたので、
「勿論です。」
と言って、実際に前菜を食べてみせた。これには女王陛下も興味があったようで、
「それは見慣れぬ素材だが、どのようにして作っているのか?」
と聞いてきた。プラスチック製の箸で、僕もどのように作っているのかも解らなかったので、
「申し訳ありません。
僕は職人ではありませんので、作り方はわかりません。
ただ、道具としては二本の棒を使うだけですので、高貴なお方であれば、銀製で二本の棒を作ればよいかと思います。」
と言った。すると峯川さんが、
「そうそう。
理屈は知らないけど、確か銀は毒に反応するらしいしね。」
と言った。女王陛下は、
「さすがは勇者。
上級の貴族にしか伝わっていないこともしっかり知っておるのじゃな。」
と感心していた。皇女様は、
「坂田様、勇者様から拝借するのは心苦しいので、できればその『お箸』とやらを貸していただけませんか?」
と聞いてきたので、僕は何も考えずに皇女様にお箸を渡した。
すると、実際にお箸を握ってみて、
「こんな感じですか?」
と嬉しそうに聞いてきた。少し持ち方がおかしかったので、皇女様の手を取って、
「こういう感じです。
そうそう、ここにこうはめて。
うん、いい感じですね。」
と言って箸の持ち方を教えた。
皇女様は、お箸がモテると、今度はそのお箸で前菜をつまもうとした。
しかし、何度摘んでも落ちてしまい、眉間にシワを寄せていた。
僕は、
「こうやって摘みます。」
と言って、皇女様に両手を添え、前菜をつまみ上げた。
皇女様は、お箸で持ち上げることが出来たのが嬉しいようで、
「ほら、見て、摘めたわよ!」
と自慢げだったが、後ろに控えていたメイドさんから、
「ユーベリア様、それははしたのうございます。
食べ物は見せびらかすものではなくて食べるものですので、早く口の中に入れてしまってください。」
と言って、怒られてた。皇女様は、
「むぅ、いいじゃないの。
初めてなんだし。」
と言って、口をお箸に近づけてそのままパクリと食べた後、お箸をねぶっていた。
峯川さんが、
「坂田くん、皇女様と間接キスで良かったわね。」
と、また笑顔がこわっ!!さっきよりも笑顔に迫力があった。
さすがの皇女様も不味いと思ったのか、お箸を返してくれた。
峯川さんは、
「坂田くんはモテていいね。」
と言ってムッとしていた。僕は、
「あ、いや、神様の呪いなので、大目に見てもらえると助かるかな・・・。」
と言って、うかり受け取ったお箸でそのまま前菜を食べてしまった。
「ふ〜ん?
さっき間接キスって指摘したばかりなのに、皇女様があんなにはしたなくねぶっていたお箸でそのまま食べちゃうんだ。」
と、完全にご立腹のようだ。僕はヤケになって、峯川さんがお箸でつまみ上げていた前菜をそのまま食べて、
「これで峯川さんとも間接キスだね?」
と言ってみたところ、峰川さんは顔を真っ赤にして、
「バカ。」
と言って許してくれた。
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第四章 その後
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その後、ヴィーレ王国は勇者の活躍や、魔王軍が放った最終奥義、原子力魔法に対する超回避などもあったが、最終的には隣国の魔王が女性で坂田くんにメロメロになったせいで停戦が成立するという斜め上の展開となり、無事帰還する運びとなった。
この間に峯川さんは超人的な筋力、持久力になるとともに、ずんぐりしていた体型がしっかり引き締まり、出るべきところは相変わらずなものの、引っ込むべきところはしっかり引っ込んで、召喚された時よりも体のラインが綺麗になったように見えた。
召喚から戻った後、クラスメイトに付き合うことになったと発表した時は割と反応薄だったが、この後、僕は他の女子からもモテるようになった。
二人でいる時、
「前はあまり目立たなかったのに、最近、坂田くんモテるよね。」
「最近の峯川さんだって、以前と違って綺麗になったってクラスの男子が言ってたよ。
まぁ、『僕と付き合うようになったから綺麗になったんじゃないかな』ってのろけておいたけど。」
と話すことがあった。
そんなある日、ふと峯川さんが、
「ねぇ。
ひょっとして、童貞止めたら、モテなくなるんじゃない?
ちょっと試してみようか。」
と言ってきた。そう言えばそんな設定があったなと思いだしたが、
「それで峯川さんからもモテなくなったら洒落にならないんだけど。
ていうか、その効果がなくなったら、峯川さんが別れそうで怖いんだけど。」
と、正直に話したところ、
「そんなことないんじゃないかな。
私も好きな人と結ばれたいと思うことだってあるのよ?」
と返された。僕は嬉しくて仕方がなくなって、今度、遊園地デートした後にする約束をした。
予定通り遊園地デートが終わり、事も終わった後、峯川さんが、
「坂田くん、私が惚れていたの、やっぱりあのスキルのせいだったみたい。
なんか、急に醒めちゃってさ。
別れちゃだめ?」
と言ってきた。僕は思わず裸のまま床に降りて土下座し、
「その、峯川さんと別れたくありません。
好きだから、これからも一緒にいてください!」
とお願いした。童貞を失った今、例によって超回避スキルが発動したからかは不明だが、
「冗談よ。
心配症なんだから・・・。
私も大好きだよ?」
と茶化されてしまったのだった。
おしまい。
ちなみに、思いついたネタは、
・超回避スキルで形勢逆転
・モテスキルを授かる
・童貞卒業とともにスキルがなくなる
というものでした。
相変わらず、雑ですみません。(--;)
なお、タイトルの件ですが、実際に中世ヨーロッパでは、まだフォークもナイフも貴族にすら普及していなかったそうで、貴族階級の宴会ですら、親指、中指、人差し指の三本でいかに優雅に食べるかを競っていたのだとかなんとか・・・。
日本では、平安時代の頃には庶民にもお箸が普及していたと言いますから、中世ヨーロッパではまだ手づかみだったと聞いても、いまいちピンと来ませんよね。(--;)