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純潔と威厳
2019.6
百合ものを書こうとして止めた
「アンタって……好きな人……いるの?」
誰も居ない放課後の教室で、彼女と二人きりで作業していると、突然彼女が口を開いた。
「……べ、別には…………」
紙を切るハサミの音と、ホッチキスの綴じる音だけが教室に響き渡る。
「……じゃあ、さ。アタシの事……好きになってみない?」
―――ガシャン……
思わずハサミを落としてしまう。それ位に彼女から発せられた言葉は衝撃的だった。
「……え……あ……あの……」
「こんなに綺麗なのに、少しくらい恋でもしねぇと勿体ないじゃねえかよ……」
彼女の指が私の髪に絡み付く。丸めては離し、離しては絡め、まるで私の髪を撫で回す様に楽しんでいた。
「な? いいだろ……?」




