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<R15>15歳未満の方は移動してください。

怒りの豚キムチ丼

作者: 嫁葉羽華流

今回は下ネタがあります。故にR15をつけました。

お食事中の方は別の作品を読むことをおすすめします。

「…………」


 とにかく台所に立つ。

 台所はひどく狭く、歩けるスペースは畳を3つ縦に並べたくらいしかない。

 ここが私の調理場だ。

 ガスの元栓を開け、換気扇を回す。

 それからフライパンを持ち出して、フライパンをガスコンロに置く。

 まな板と包丁を取り出して、軽く水ですすぐ。

 三角コーナーにネットが仕掛けられている事を確認しながら、今日は豚キムチを腹一杯に食べると決めた。


 怒りの理由とは些細なもので、せっかくの休みに急に用事を入れられてしまったから、というものだった。

 ……いやまぁ確かに、日中は仕事が無いので日頃はインターネットやゲーム、漫画、小説を読んだり書いたりしているが、それでも割とリフレッシュをしているつもりだ。

 なんてことない休日を過ごそうとしていた矢先に、いきなり実家への出頭命令が出た。

 ジーザス。

 しかもその用事が一週間間違いで、来週は仕事があることを親とお互いに確認してから帰ってきた。

 疲れた。

 とても、疲れた。

 主に精神的に疲れた。

 そういう時には、辛いものを食べるに限る。

 幸いにも我が家には買ってきた市販されている吉野家のキムチがある。

 これと、近所の免税店で買ってきた冷凍の豚モモ肉があるので、これをぶちこんで豚キムチを作って食う。

 いや、食うなんてもんじゃない。

 食らう。かっ喰らう。

 本能と精神、理性の限界までかっ喰らう。

 そう決めた。


「よし」


 そうと決まればまずは食材を取り出す。

 といっても豚キムチの手順は超簡単。

 豚とキムチ、それと玉ねぎを混ぜるだけである。

 ね? 簡単でしょう?

 そうと決まればまずは玉ねぎを切り刻みに行く。

 心は怒りを燃やしつつ、行動は冷静に。


「これが、スーパーサイヤ人なのかもしれない」


 激しい怒りを持ちながら、冷静な攻撃を放つ。

 いや、むしろトリコの食技なのだろうか。

 いずれにせよ、スーパーサイヤ人であれば、今日はぴったりだ。


――俺は怒ってるぞ、かあちゃああああああああん!!


 などと思いながら玉ねぎを切っていくと、目がしょぼしょぼしてきた。

 こ、コレは……。


「あかん、目が」


 玉ねぎの催涙攻撃をくらい、若干怯みつつ切り終わる。

 そして鍋にマーガリンを敷いていく。

 バターや油なら分かるが、油はそもそも液体を使うのが面倒なのでとりあえずパス。バターはそもそもうちにない。

 故に、最近買ってきたマーガリンを使う。


――マーガリンはいいぞぉ、ジョージィ。


 ある程度溶かしながらまずは冷凍されている豚もも肉をある程度取り出す。

 凍って剥がれにくかったりしているので大胆にちぎる。

 ある程度……それこそ、自分が食べる分を入れたら炒める。

 溶かしながらやるので苦労するが、そもそも一回一回解凍するのも面倒くさい。

 そしてある程度炒まってきたら今度は玉ねぎを入れる。

 じゅわあ、と大きな音が台所に響く。

 それと同時にあの肉と玉ねぎの匂いが台所に充満する。


――換気扇がなければ命取りだった。


 充満していたら姉に何を言われるかわかったものではないし、なによりGを呼び寄せてしまう危険性が高い。

 あとはガスを使うので換気扇は必須である。

 そうしていると玉ねぎが透明になり、豚肉も色が白くなって、ところどころ黒く焦げたところが出てきたところで今回のメイン、キムチを投入する。

 割と、多めに。

 おとなしかったところに一気にジュワアアアア……と、水気のあるものが入った音がまたする。

 さてここからが勝負だ。

 あまり長く炒めるとキムチの野菜がフライパンに引っ付いてしまう。

 そうなると後が面倒くさい。なので水気がなくなったかな? と思うところまで炒める。

 このなくなったかな? を攻めるのが難しい。

 まだだ……いやもうちょい……後少し……。


――見えた! そこだ!!


 ガスの火を消して、どんぶりを持ってくる。

 それにいっぱいのご飯を入れ、豚キムチをそれに乗せる。

 あとは刻みネギを上にのっけて完成……なのだが。


「んー」


 何か、足りない。

 こう、怒りを冷ますには後もうひと工夫足りない……。


――そうだ。卵、入れよう。


 冷蔵庫から卵を取り出す。それから卵黄と白身を分け、卵黄を中央に盛り付ける。

 白身はもったいないのである程度かき混ぜて周囲にかける。


「できた」


 怒りの豚キムチ丼卵のせである。


「食べよう」


※――――


「いただきます」


 今日の食事はこの豪快というか量多めというか、あきらかに2人分ほどの豚キムチ丼である。

 早速食べる。

 箸でまず豚キムチとご飯を一緒に食べる。


「あふ、あふふっ、ふーっ、ふーっ」


 熱い。

 そして、辛い。

 次に、うまい。

 吉野家のキムチは辛いところとそうでない甘さの部分が絶妙で、普通に食べても美味しいが、焼くと辛さが際立つ気がする。

 豚肉も冷凍ながらも美味しい。いつぞやコストコで買ったほうがいいお得な商品ということで冷凍された牛肉が紹介されていた動画をYouTubeで見つけたので見ていたのだが、一人であればそんな1キロもいらない。500かそこらで十分すぎる。

 次に卵を潰して、豚キムチと一緒に食べる。

 

「うん。うまい」


 劇的、というわけでもない。

 でもすっげぇまずい、というわけでもない。

 ちょっと得したワンクッション。メイン寄りの脇役。

 ゲームで言うところの一番最初の相棒ポジション。鳴神といえば花村、ハンターといえばアイルーといった具合の料理とのお供。

 豚キムチに卵はいい。じつにいい。

 あっという間に完食してしまった。


「ふう……ごちそうさまでした」


 両手を合わせて完食。


「さて、片づけよ」


 私は食器を持って立ち上がって、台所へ向かった。


※――――


「ぐむぅ」


 お食事中にもしもこのお話を見ていたら申し訳ないのだが、今私はトイレに居る。

 理由としては猛烈にお腹が痛くなったからだ。

 いやまあ、聞くところによるとキムチってなんかお腹にいい成分がヨーグルト以上に入っているとか居ないとか聞いたことがあるが、それと同時に卵も食べた上に大量に食べたから身体がキャパオーバーを起こし、最終的にはトイレへ向かうことになってしまった。


 ぎゅるるるるるるるる……コロロロロロロ…… 


 おおおお……私の腹がなんか雷鳴が轟くような音がするぅ。

 これは15分籠もることになるかもしれない。

 私は念のために持ってきたこち亀を開きながらトイレに居座る。

 不思議なことに食べたものを出しながら座っていると、怒りはどこかへ行ってしまう。

 つまり今回の怒りは水に流れることになるのやもしれない。

 こち亀を読みながらそう思った。


「大原部長はよく両津をほぼ毎週怒ってるなぁ」


 流せない怒りと流される怒り。

 どちらかというと、流せる怒りがまだましなのかもしれない。

 トイレに座り込み、今まさに腹の中で轟いている怒りを出しながらそう思った。

以上です。

あの後調べてみたらこの豚キムチ丼に使っていた卵は古かったらしく、この後に数回トイレに行きました。

なお、キムチの乳酸菌って納豆菌を食い殺すレベルで強いらしいですね。


キムチのちからって すげー。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 多分、そうだろうと思っていましたが、きちんと食事しながら拝見させて頂きました。 豚キムチ丼、美味しそうですね。
2018/12/04 02:08 退会済み
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