表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師なのはヒミツで薬師になりました  作者: すみ 小桜
第十一章 彼らの選択

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/88

第五十五話

 朝もやの中、四人の人影があった。

 「いいか。皇女は殺しても構わないから、文献を見つけしだい燃やせ!」

 そう命令された者達は頷いた。

 「そんな事はさせませんよ」

 その声に、四人は振り向いた。声の主はレオナールだ。

 「よくここがわかったな」

 そこは、秘密通路の出入り口付近だった。そして、そう返したのはトンマーゾだ!

 「えぇ。ティモシーは熱で汗をかいたご様子だったので、首を拭いて差し上げたのです」

 「レオナール様、そんな事をなさったのですか!」

 驚いたのは、レオナールと一緒にいたブラッドリーだった。

 「いけませんか?」

 「いえ、そうではないですが……。レオナール様がなさらなくとも……」

 「なるほどな。首の刻印を見つけた訳か」

 レオナールは、そうですと頷くとトンマーゾを睨み付けた。

 「あの刻印は居場所が把握できるモノでしょう? ティモシーをたぶらかし外へ出る様に誘導した。そして、鍵を持っていなければ開けたままになる脱出口から侵入するつもりだったのでしょう。まさかここを使用するとは思いもよりませんでしたが……」

 「ふん。あのガキも役に立つと初めて思ったんだがな。作戦変更だ。あの二人を殺せ!」

 レオナールを指差しトンマーゾが言うも、命令された三人には怯えがあった。先ほど相手がレオナールだとわかったからだ。魔術師の国ハルフォード国第一王子の名だ!

 「む、無理です……」

 青ざめた顔で一人の男が言った。

 「ですよね。あなた達は魔術師ではないのでしょうから……」

 そうレオナールは述べる。

 「ほお」

 トンマーゾは、レオナールを睨んだ。

 「降伏なさいなさい。殺しはしません」

 トンマーゾは、振り向くと今度は三人を睨み付けた。

 「お前ら、自分から組織に入ったんだよな? 魔術を使いたかったんじゃなかったのか? 裏切ったらどうなるかも知っているよな?」

 三人はビックとする。

 「脅して動かすなど驚か者がする事です!」

 レオナールとトンマーゾは睨みあう!

 「トンマーゾ!」

 そこへ、遠くから声が飛んできた。全員振り向くと二人の人影が近づいてくる。ランフレッドとティモシーだ!

 「こちらへ来てはダメです!」

 ハッとしてレオナールが叫ぶのが早いか、トンマーゾが二人に向かって走り出す!

 「ブラッドリー! そちらを頼みます!」

 そうレオナールは命令するとトンマーゾを追いかける!

 「お待ちください!」

 ブラッドリーが慌ててそう返すもレオナールはもう背を向けていた。ブラッドリーは、残された三人を似た見つけると、彼らはすくみ上った。

 「トンマーゾ! 貴様!」

 ランフレッドは剣を抜いた!

 「マヌケが! 眠れ!」

 トンマーゾは、そう叫んだ! だが、二人は立ったままだ。ティモシーだけでなくランフレッドもレジストしたのである。

 「ふん。ビンゴだったか!」

 そう呟くとトンマーゾは、ニヤリとする。

 「うわー!!」

 ティモシーはいきなり倒れ込み首を押え叫び出した!

 (刻印が!)

 「ティモシー!」

 ランフレッドは、驚くもトンマーゾの仕業だと彼を睨む。

 「てめぇ! やめろ!」

 ランフレッドが叫ぶもトンマーゾ更にはニヤリとするだけだ。

 「お前は死ね!」

 トンマーゾは、手を振り上げた!

 「させません!」

 トンマーゾが手を振り下ろすも魔術は発動されなかった! レオナールの封印が間に合ったのだ!

 「っち。本当に邪魔な王子だ!」

 トンマーゾがそう言った時だった。彼はランフレッドを見た。いやその後ろをだ。レオナールもハッとして見た為、ランフレッドも振り返り驚いた。

 大きな炎が四人に向かって来ていた!

 勿論、ティモシーも気づき振り向いている。

 (うそ……何あれ……)

 「ブラッドリー!」

 「遠すぎます! 結界が届きません! レオナール様、お逃げください!」

 ブラッドリーがレオナールに叫ぶが、レオナールは炎に手を向けた。そして、結界を張った!

 だが、その結界はすぐに破られる! 熱風が四人に襲い掛かった!

 (俺が守る!)

 熱風はすぐに納まった。ティモシーが結界を張ったからだ! 彼は上半身を起こし右手を突き出していた。

 その結界は、炎を吸収している!

 「ほぉ。これほどとは……」

 これには、トンマーゾもそう零す。

 炎を全て吸収するとティモシーは、パタンと倒れ込む。

 (体が重い……。あ、そっか。普段使ってないから魔力の量が少なくて……)

 ティモシーの意識はそこで切れる。

 普段、魔術を使わないティモシーは、魔術師にしては魔力の容量が少ない為、結界を使った事により一気に魔力を消費し気を失ったのである。

 「ティモシー!」

 ランフレッドは、慌ててしゃがみ込んだ。

 レオナールがふとトンマーゾを見ると、彼はまた走り出していた!

 その彼を慌ててレオナールは追いかけようとするもまたもや炎が迫って来ていた。先ほどよりも威力が弱いものの、レオナールが張った結界がまたもや破られた! だが今回も三人を炎は襲わなかった。

 「何とか間に合いましたか……」

 レオナールが振り向けば、近くにブラッドリーが来ていて結界を張っていた。ティモシーが張った結界同様に炎を吸収する。

 「クレ! お前は俺まで殺す気か! おっと!」

 トンマーゾが炎を放った者に文句を言っていると、ブラッドリーが吸収した炎を二人に放った為、彼はそれに向け魔術を放った! 助けに来たクレによってトンマーゾは封印を解除されていた。

 ボンっと衝撃音の後、辺りは霧に包まれた! 水系の魔術だった為に水蒸気爆発が起きたのだ!

 レオナールが腕を振り、その霧を振り払うと二人の姿は既になかった。

 「レオナール様、お怪我は?」

 「ありません。ブラッドリー、ありがとうございます。助かりました」

 ブラッドリーの質問に、レオナールは二人が逃げた先をジッと見つめたまま答えた。そして、その視線をランフレッドに向ける。

 「ランフレッド。ティモシーからペンダントを譲り受けましたか?」

 その問いに、ランフレッドは頷く。

 「そうですか。決心をしてくれたようですね」

 「決心……」

 レオナールの言葉を拾い、ランフレッドは呟く。

 「ティモシーは、母親の言いつけを守り今までは魔術師である事を隠して過ごしていました。ですが彼は、その言いつけを破り魔術師としての道を選ぶ決心をしたようです」

 そう話すレオナールの顔には、安堵が浮かんでいた。

 「そう言えば、三人はどうしました?」

 「束縛してあります。逃げはしないでしょう」

 ブラッドリーに振り返り聞いたレオナールにそう答えた。彼の言う通り彼らは大人しくその場に留まっていた。トンマーゾの所に戻れば殺される可能性があるのだ。賢明な判断だろう。

 「さて、戻りますか」

 レオナールの言葉に二人は頷くと、ランフレッドはティモシーを抱きかかえ立ち上がった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ