96.文化祭その後じゃ
父上、母上、お元気にしておりますかの?
父上は文化祭来ておったな。科学部が礼を申してくれと何度も言っておった。
文化祭の出し物、科学部の熱気球が今年も一位じゃ。
教育大臣賞をもらっておったぞ。三年生は科学アカデミーに推薦が受けられそうじゃと喜んでおったな。
わしは変わらずじゃ。のんびり過ごしておる。
だがのう、文化祭でほれ、わしがイケメンを二人ボコボコにしたのでな、班のピカピカと別クラスのあの七光りな、そのせいでちとクラスでも学園のおなごどもにもドン引かれておる。やりすぎたかの。
殿御どもの間ではわしの株は大上がりじゃがの。
文化祭が終わっても、「ナーリン様!」、「魔王様!」と呼ばれるのじゃ。
「俺のこともいたぶってください!」とかの。
ピカピカも、「ナーリンがあんなに強いとは思わなかった」と言って今までの非礼を詫びるのじゃ。
後半本気でかかってきたのを何度も蹴散らしたからのう。
なんだかのう。
あの武闘会の一件以来、「ナーリンは魔法に弱い」ということになってしまってのう学校をフラフラ歩いとるとたまにファイアボールも飛んできていい迷惑じゃ。
街でたまに本気のファイアボールも飛んでくるがの、あの七光りの手の者かのう。
ま、別にそれ以外は気になることはなにもなしじゃ。
去年兄上がこの時期修学旅行に行っとったのを覚えておるかの?
先生方が言っとった魔族領へ、という案じゃが、さすがに無理じゃ。
今年も港町できまりじゃの。
三年生百五十人全員が移動、宿泊というのもさすがに無理があっての、行軍並みの規模じゃからの。
今年からは一クラスずつ順番に行くのじゃ。わしらはAクラスなので最初じゃの。
28日出発じゃ。楽しみじゃのう!
……それにしても行事の多い学校じゃのう。
父上、母上、わしの手紙、いいかげん飽きておらぬか?
1030年10月7日 ナーリン
次回「読書の秋じゃ」




