88.アーリャンに到着じゃ
父上、母上、わしの作戦どうだったかのう。
いくら重犯罪者でも、その場で殺すのはさすがに気が重い。反省する時間も、悔いる時間もやりたいからの。
昨日はタスランで一泊しての、朝、まずハンターギルドに顔を出したのじゃ。
強盗団はタスランの衛兵団に引き渡しての、ハンターギルドからは賞金が払われて、金貨七枚の稼ぎになったわ。
今日は強盗団のアジトを白状させての、衛兵団で捜索をするそうじゃ。
もっとたくさん逮捕者が出るかもしれぬし、今までさらわれたおなごも救えるかもしれないそうじゃ。ひどい連中じゃのう。
「殺さず捕えられれば、他の犯罪も押さえられます。やっぱり殺さないほうがメリットがありますね。難しいですけど」と職員も言っておった。
確かに難しい所じゃろうのう。
「さすがは王都協会のハンターですね、会長に昇級の推薦を出しておきます」と言ってくれたのでの、何級になるか楽しみじゃのう。
またアーリャンに向かって、てくてくメビウスに乗って歩くのじゃ。
今度ばかりは野盗も出ずに、無事にアーリャンに到着できたわ。
市場にペコランが来ておったのう。ほれあの亀の商人じゃ。
魔族でチーズが人気じゃろ? 買い付けに来ておった。
「こんなとこにナーリン様がいらっしゃるとは」とびっくりしておったな。
ここで魔族がウロウロしておっても平気なのかと言ったらの、昔は騒がれたが今は平気だそうじゃ。ま、あいつなら石を投げられても矢をかけられても平気じゃからの。亀だからの。
魔族と人間が普通に仲良く商売する。
そんな光景がこの街にはすでにあるのじゃ。
こうなるまでにいろいろ努力があっただろうがの。
酒場で昼飯を一緒に食っていろいろ話をしたぞ。
わしらがいても誰も気にせん。いや、気さくに話しかけてくれる人もおるのじゃ。
ペコランに、こっちのチーズも買ってくれないかとかのう。
人と魔族は仲良くできるのじゃ。
嬉しかったの。
明日はシルベリアじゃ。
ペコランも明日はシルベリアに向かうそうでの、一緒に行くことになったのじゃ。
去年世話になった若夫婦と再会できればいいのじゃがの。
1030年8月8日 アーリャンから。ナーリン
次回「シルベリアからじゃ」




