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81.進路相談じゃ

明けましておめでとうございます。


今年も、本作が終了後、また実験的な新作を1~2本、公開する用意があります。

お待ちください。


 敬愛する父上様、母上様、子供のころ、なにになりたかったかのう?

 母上は魔王かの? 父上はなりたいものになれたのかのう?


 卒業まであと半年少々じゃ。いまのうちに先生が生徒になりたいものを聞き、相談にのってくれるのじゃな。就職先というやつじゃ。

 わしは「相談するまでも無いと思いますが一応」とピタラコスと二人で面談での、進路を聞かれたわ。


 ……なんも考えておらんかった。


「お母さまのお仕事をお手伝いなさるのではありませんか?」

 ピタラコスまでそれがあたりまえじゃと思うておるのじゃの。

「わしはもう一回学生をやりたいのう。一年生で入学しなおしじゃ」と言うと、「いくらなんでもそれは……。進学したいとしても科学アカデミーぐらいしかありませんよこの国は」と言う。

 ふーむ。

「時間はあっというまです。真面目に考えてほしいですね」

「だったらハンターをやりたいのう」

「なにもそんな危険な仕事を……。いえ、魔族は毎日がハンターでしたね。この国でハンターの地位を御存じでしょう。底辺職ですよ? せっかく理系の成績も上位をキープしておりますし、もう少しかのお国の発展に寄与できるような御職業を選んでほしいですな」

「どのような?」

「魔族は私の見たところ政治や文化面ではまだまだ人間より遅れております。魔王様がもう少し楽ができるように整えなければならない部分が多くございます。また人はパンのみにて生きるにあらず。食べること以外にも生きていく楽しみをもうすこし与えてあげてほしいのです。本を読んだり音楽や絵画、舞台、学問を楽しむ魔族などまだまだ限られておりましょう」


 たしかにの。

 魔族領に六年も住んで学んでおったピタラコスの正直な感想じゃのう。

「わしもピタラコスのようにこちらの世界でもう少し学ばねばならんということかの?」

「はい。魔族の寿命は長いのです。何年こちらにいても、それは決して無駄な経験とはなりますまい。科学アカデミーに入るもよし、なにかの学問の師匠を見つけて入門なさるもよし。王室関係で働いてまつりごとを学ぶもよし。私はナーリン様には働きながらでも、もっと勉強を続けてほしいですな。学術面でも、魔族と人類の交流を深めるべく、ナーリン様にはその先兵になってもらわねばと思っております」

 まじめじゃのうピタラコス。


「わしは人間を学びたいのう」

「それならぴったりの職業がありますよ」

「なにかのう?」

「教師」


 ピタラコス、それはちっと、手前味噌ではあるまいかの?


 わしの進路、とりあえず保留じゃの。


     1030年6月27日  悩み多き ナーリン



次回「科学部の新発明じゃ」

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