80.三年の体育祭じゃ
父上、母上、兄上、元気でやっておるかの?
一年で一番元気を使うのが体育祭じゃ。今年もやって来たのうー。
生徒会で取り仕切る年度初の行事じゃの。
生徒会長、クラウスという男じゃが、平民出身で兄上に似て地味といえば地味じゃが仕事はできる男じゃの。そつなくやっておる。
兄上が進行を全部記録して残しておいてくれたおかげもだいぶあるの。
兄上に感謝じゃ。まだ創立四年目の新設校じゃからの、こういう記録がちゃんと残っておるのはありがたいのじゃ。
今年から導入された競技で面白かったのは綱引きじゃ!
クラス全員で太いロープを引っ張り合ってどっちが力あるか比べるのじゃの。
考えてみればクラス全員が参加する競技というやつが今まで無かったのじゃ。クラウス、おもしろいことを考えるのう。
身分の差、男女の差無くクラス全員がこれをやるのだからのう。一体感が違うのじゃ。
わしはチビじゃし体重もないのでの、力があってもあんまり貢献できん競技じゃの。これは優勝は他のクラスにとられたわ。残念じゃ。
わしはあいかわらずリレーのアンカーじゃ。もちろん一位じゃ。
これ以外はもっぱら係員として準備とか片付けとか審判とかやっておった。
体育祭最後の武闘会、優勝はトラスタンでの。
剣術で学内に負けなしになったので、今度は魔物相手に戦うためにハンタークラブに入ったということかのう? 剣に凄みが増したのう。
ま、一度死にかけたからの。
殿御は成長するのう。わしから見ればまだまだじゃがの。
今までちと武闘会の配点が高すぎるということでの、採点方法が変わり、団体競技により点数が配分されるようにクラウスが変えたのでの、クラスの総合優勝は逃したがの。ま、それもいいじゃろう。
幼いころから剣術指南を受けて育った貴族や騎士のボンボンが点数稼いでクラス優勝など他の生徒がやる気無くすわ。
生徒会長、なかなかやりおるわのう!
1030年6月3日 ナーリン
今年の5月からシリーズの連載開始して半年と少々が過ぎました。
ずっと読者でいてくれて、みなさん本当にありがとうございました。
来年も、みなさんにとって良いお年でありますように。
お正月も元日から休みなく連載します。
次回「進路相談じゃ」




