表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/106

8.あいさつ回りじゃ


 学園生活にもそろそろ慣れたのでの。あいさつ回りなどしたほうがよいであろうと思うての。


 まずは大使館じゃな。

 ガイコツもあいかわらずじゃ。

 職員は現在七名、人間の部下も三人おるぞ。

 昔は大使館に石を投げられたり火をつけられそうになったりしたらしいがの、今はそんなことはなんにもなくて、平和なものじゃ。

 護衛のホロウが退屈そうでのう、そろそろ帰してやってはどうじゃ?

 毎日大使館前で斧を持って立っとるが、全身鎧だしあまりにも動かんのでただの飾りだと思われておるそうじゃ。話しかけておるわしのほうがおかしな目で見られたわ。

 ガイコツに学園生活のことを根掘り葉掘り聞かれたが、この手紙に書いたこと以上の事件はなにもおこっておらぬのう。


 魔族料理のレストランにも行ってみたぞ。

 繁盛しておる。

 ミルティーは時々気に入った客をつまみ食いしておるようじゃが、つまみ食いは厨房だけにしておいてほしいのう。まあサキュバスだからしょうがないかの。

 醤油だの調味料もよく売れてはおるが、入荷するたびにあっというまに売り切れじゃ。庶民にも行き渡るようもうちっと量産してもらいたいものじゃ。


 学園開校と同時にオープンした文具店、こちらも変わらず好評じゃ。

 うちの学生であふれておるわ。

 これに関しては魔族のほうが圧倒的に品質が上じゃからな。紙の量産、できるようになってまだ十年じゃがその普及っぷりは目を見張るようじゃ。

 ヤギの店長じゃが、文具のデザインがちと素っ気なくて実用一点張りすぎじゃ。

 父上の考えたものだからしょうがないが、女子向けにもうすこしかわいいデザインのものも揃えるように忠告しておいたわ。

 考えるとは言っていたが、どうしていいかわからんよの。

 まずは鉛筆に色を付けて、カラフルにしてみてはどうかの?


 ドラゴンの発着場にも行ってみたぞ。

 ちょうどチリティが来ておったわ。直接この手紙を渡すことにしたからの、今回の手紙は早く着くと思うぞ。

 南方との香辛料やゴムの取引が儲かるのじゃが、なにしろドラゴンが三頭しかおらんので手が回らんらしい。

 魔族領にも運河を引いて港を作るという計画、そろそろ本腰を入れたほうがよさそうじゃの。

 チリティは次はいつ帰るとうるさかったわ。

 夏休みになるかのう――?

 8月じゃ。

 おっと、チリティの出発時間じゃ。

 また今度。


  1028年4月20日   ナーリン



次回「五月休みなのじゃ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ