76.生徒会長選挙じゃ
母上、魔王を決めるのを殴り合いでなくてのう、選挙でやったらどうなるかのう?
母上、選ばれる自信があるかの?
今日は生徒会長選挙があったのじゃ。
会長候補が講堂で全校生徒の前で演説しての、すぐにその後で投票じゃ。
候補は二人での、一人は貴族、一人は平民じゃのう。
貴族の方は美男子での、カッコいいし女子人気も高いのじゃ。キャーキャー言われておったのう。
平民の方は真面目そうでの、「身分に縛られない自由な学園」を掲げておった。
うーん接戦になりそうじゃ。投票結果が楽しみじゃ。
わしら生徒会委員で夜遅くまで学園に残って開票作業じゃ。
結果は……意外にも圧倒的票を集めて平民出の男が生徒会長に当選じゃ。
学園の八割以上が平民の生徒じゃからの。考えてみればそうなるわの。
これはそのまんま、貴族の学生への不満票ということになるのかのう。
いばりくさっておる御仁も少なくないからのう。
生徒会長として、これから生徒会委員であるわしらのトップになる男じゃ。
どんな男か楽しみじゃの。
選挙の結果は明日発表じゃ。
それまではナイショナイショじゃ。
寮のおなごたちにも帰ってからさんざん聞かれたが絶対喋っちゃダメなのじゃ。
きびしいのう。
1030年4月4日 ナーリン
次回「炊き出し実習が面倒じゃ」




