75.三年生じゃ
父上、母上、お手紙ありがとうございました。
好きにせい、とのこと、ようわかった。
学校はそもそも自分の将来を選ぶ所とな。
わしがどういう答えを出すか、楽しみにしておるぞとのこと、肝に銘ずるわ。
新学期ではクラス替えがあったのう。三年A組じゃ。
二年間いっしょにいたプラルともお別れじゃ。
そのかわりパーシェルが入ってきての、ほれあのウサギの剥製のおなごじゃ。
二人で隣の席になったのう。新しいクラスのおなごは五人全員平民じゃの。
わしも平民じゃ。みんなそう思うておるわ。
平民のおなごはみんな女子寮で毎日生活を共にしておる。みんなすでにわしとは友達じゃ。プラルともクラスは離れたが毎晩寮でおしゃべりしておるから以前と同じじゃ。
エーリスとそのとりまきの貴族娘たちは別のクラスになってせいせいしたわ。
そんなわけで新しいクラスの貴族は四人? 全員男じゃの。
トラスタンは貴族じゃなくて騎士の家系じゃからのう。
あ、トラスタンも同じクラスじゃ。また隣なのじゃ……。
なんかイヤになってきたのう。
誰かの力が働いているような気がしての。
わしは生徒会委員に立候補したぞ。
こんな面白い仕事他に譲る気はさらさらないわの。
今年も生徒会仕事をいっぱい手伝うのじゃ!
学級委員長は貴族のボンボンがやりたがってのう、他に候補も無いのですんなり決まったの。
生徒会委員の最初の仕事は、生徒会長選挙じゃ。
三年からは、初めて平民の子が会長に立候補をしておって楽しみじゃ。
明後日には演説と、投票が行われるのじゃ。
わしら委員は放課後集まって選挙準備じゃ。
この仕事はなぜか三年生だけでやるのじゃの。去年はわしやっておらんかったからのう。
もうすでにみんな顔見知りばっかりでのう、いつものメンバーじゃの。
投票用紙をハサミで切って、不正が無いように一枚一枚にスタンプ押しての。全生徒分用意するのじゃ。枚数を数えたり投票箱に封印をしたり大忙しじゃの。
選挙、楽しみじゃなー。
1030年4月2日 ナーリン
追伸
そういえば新入生の一年生が入ってきおったが、またしても顔見知りはおらんのだのう。つまらんのう。魔族は今この学園にわし一人かの?
隠して誰かよこしたりはしとらんだろうの?
次回「生徒会長選挙じゃ」




