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61.文化祭準備じゃ!


 父上、母上。今年のジャガイモはどうじゃった?

 文化祭が近いのじゃ。


 去年劇をやったであろう?あれは一年生の行事での、二年生は店をやるのじゃ。

 食い物屋じゃの。ほれキャロラインがやっとったメイド喫茶みたいなもんじゃ。

 炊き出し実習のせいかのう、わしは「あんたクサい物しか作れないじゃない。田舎料理は御免だわ」とかエーリスに言われてのう手出し禁止じゃ。

 まあかえって面倒が無くてよいわ。そんなわけでうちのクラスの出し物は貴族連中がリーダーシップを発揮して、というか威張り散らしてやっておる。

 どうでもいいわの。



 わしは別に用事ができたのでそっちをやっておる。

 科学部に並んで土下座して頼まれてのう、なんで文化祭でわしはこう土下座されるのかの、「熱気球に乗ってくれ!」と言われたのじゃ。


 父上から熱気球、理屈だけ聞いたことがあるのう。父上は魔族はドラゴンがあるからと実際に作ったりはしなかったがの、あれとおんなじことを考えたやつがこっちにもおってのう、去年科学部はそれを模型で実際に飛ばすのに成功したのだがの、今年は人が乗れるぐらいのものを作ったのだそうじゃ。

 作ってみたはいいがのう、ほれ強力なファイアボールが使えて、なおかつちんまくて体重が軽い奴となると校内でもまずおらん。そこで炊き出し実習でわしがコンロ代わりにファイアボールを使うところをみておった同級生がの、わしなら乗員にピッタリじゃないかと言うことで白羽の矢が立ったのじゃ。


 あいつらが書いた設計図と設計計算書を同封するのでの、父上ちと見てくれんか? 送った封筒は送召喚解除で一日経ったら勝手にわしのもとにもどってくるのでの、指摘したいことがあったらどんどん書きこんで入れておいてほしいのじゃ。

 また仕事を増やしてしまって申し訳ないがの、頼むのじゃ。


   1029年9月15日 ナーリンより。



次回「熱気球じゃ!」

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