40.生徒会会長選挙じゃ
親愛なる父上、母上、近況報告じゃ。ちょっと驚くようなことがあったぞ。
入学式が終わって最初の学校行事は生徒会の会長選挙じゃ。
三年生の生徒会長が卒業したからの。
会長に生徒が立候補して選挙をやって決めるのじゃ。
……「選挙」というものがそもそもわからん。
いや、それを教えるための行事かの?
父上の言う「民主的」という概念を教えるためかの。
王様や貴族がいるこの国でそんなことを教えていいのかのう?
ま、こういう小さなことの積み重ねが、良い国を作っていく礎になるのだろうの。
魔族だったらこういうことは普通殴り合いで決めるじゃろ。
面倒じゃのう。
会長に立候補したのはあのキャロルじゃ。
キャロラインじゃぞ! 第三王女!
なんという目立ちたがりじゃ!
王族なればそういうことは一般の生徒にゆずるものじゃて。一歩引くということを知らんのう。
もう圧倒的な票を集めて当選じゃ。学園一の有名人で、人気者じゃからのう。ひどいのう……。
役員はの、いちいち選挙したりせん。
生徒会長が指名するのじゃ。
副会長は兄上じゃ。
……そういうことかの。
キャロルと兄上はクラスが別じゃし、クラブにも入っておらん兄上とはまるで接点が無い上に兄上はキャロルから逃げ回っておるからの。
兄上がいつも生徒会の仕事をしているのを見て、会長になれば堂々といつも一緒にいられるというわけかの?
ムリヤリ逃げられん状況を作りおったわあの女。
兄上は目立つのが嫌いなのじゃと何度言ったらわかるのじゃ。まったく・・。
兄上、嫉妬に狂った男子生徒たちにボコボコに殴られとったわ。
倒れておった。
兄上のくせにだらしないのう。
大丈夫かと聞いたら「大丈夫だけどもう少し倒れておかないと変に思われるから」と言って寝ておった。
目立たないようにするというのは大変だの。
もう十分目立ってしまっておるのだがの。
体育館の入り口だったからの。
1029年4月5日 ナーリンより。
次回「作文じゃ」




