表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/106

4.買い出しじゃ


 今日は休みなのでさっそく友達になった女の子たちと買い出しじゃ。

 なにより必要なものは文房具じゃな。

 魔族産鉛筆やノートなど、こちらでも手に入るぞ。

 父上が改良した鉛筆、こちらでも好評で売れておる。

 芯に鉛をやめて、焼いた黒鉛を使ったやつよ。貴族どもは未だに気取って羽根ペンとインクじゃが、消しゴムで消せるところが鉛筆のいいところじゃ。

 商人ぐらいでやっと鉄ペンじゃの。

 平民のみんなは品質のいい魔族産ノートと鉛筆を買って喜んでおった。

 学生証を見せると割引してもらえるし、平民の子は入学祝いに国から銀貨20枚をもらえるからの。トーラスも粋なことをするわ。


 みんな制服を着ておる。

 せっかくルルノール学園に入れたのだから着ない手はないということらしいの。

 古ぼけたオーバーオールを着ておるわしが子供のようじゃった。

 次からはわしも外出時は制服にしようかの。ちっと失敗じゃったな。

 屋台で買い食いなどもしたが、味はまあイマイチじゃの。

 それでもみんな喜んで食っておった。


 途中で兄上に会ったわ。路地裏で手招きしておった。

 街の地図をくれたぞ。こっちに来て自分で描いたそうじゃ。

 安い店とか美味い店とかびっしり書き込んであって便利そうじゃ。

「用足しに出てきただけ」というのですぐ別れたがの。


 下着とかも買いそろえなければの。

 これは人間のほうが品質も抜群じゃ。手触りも良いしなかなかじゃ。

 みんな乳袋を買いよる。

 わしにはまだいらんのう。

 乳袋を付けるのは貴族だけらしいのう。平民にも普及してきておるがの。

 そうそう、こっちでは乳袋はぶらじゃーと言う。一つ利口になったのう。

 乳が大きいか小さいかはステータスなんだそうじゃ。

 かっこいい乳にするには乳袋が必須なんだそうじゃ。

 殿方はみなでっかい乳がお好みなのだそうじゃ。

 乳がのう……?

 

 父上はどう思うのじゃ?

 一度聞いてみたいのう。


 みんなでカフェでお茶してクラスのカッコいい殿御(とのご)の話になったぞ。

「貴族の人はやっぱカッコいいー」とか「マイケル様が美男子」とかでキャーキャー言うとったわ。トラスタンと隣のわしがうらやましがられるぐらいじゃからな。

 見た目と財産が大事なのじゃのう。

 わしもそうじゃが、魔族だと自分より弱い男など論外じゃな。

 見た目なんてどうでもいいと思うのじゃが。


 母上はどう思うのじゃ?

 これも聞いてみたいのう。


 帰りにまた兄上に会ったぞ。

 この街で一番うまいケーキをくれたわ。

 おいしかったぞ。

 今度こっちに来たら母上も食うとよいぞ。

「プルマールのベーカリー」じゃ。


 そうそう、公園でハトを捕まえようとしたら兄上が飛んできてやめさせられたわ。

 そんなことをしたらわしが巡回兵につかまるそうな。

 羽根布団は諦めるかの。

 兄上、公園でなにをしておったのかのう。

 あとで友達に「あの人誰?」って聞かれて困ったわ。


 夜、買ってきたノートと鉛筆で少し書き取りをしたぞ。

 アルファベットが少し違うからの。

 今のうちになれておいたほうが良いじゃろうの。

 ちゃんと勉強もしておるからな。父上も母上も安心するのじゃ。

 気が付いたら毎日手紙を書いておるのう。

 まあ、それだけ報告したいことがいっぱいあるのじゃ。許すのじゃぞ。


  1028年4月2日   ナーリンより



次回「初めての授業なのじゃ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >みんな乳袋を買いよる。 >わしにはまだいらんのう。 魔界の姫が何故のじゃロリ風喋り方?と思ってたら、 本当にのじゃロリだった なんかのじゃロリって妖狐なんかの、 妖怪のイメージなんだよな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ