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23.班長は誰なのじゃ?


 父上、母上、わしはの、人間の男はほんとヘタレじゃのうと最近よく思うようになっておる。


 授業が終わっての、先生に、「班長は道具を集めて持ってくるように」と言われて気付いたのじゃがの。

「そういえば班長は誰なのじゃ?」と聞くとの、ボンボンとABCDがわしをいっせいに見よる。

 何を考えておるか知らぬが、「失念しとったのう。班長を決めておかねばなるまいのう」と言うと、「ナーリンがやればいいんじゃないの?」とAが言うのじゃ。

「いや、女にやらせるのはさすがに……」とBが言うとの、Cが「我が国では女神パスティール様の伝統があるからな、女でも特別扱いはないだろ」とも言いよる。


 魔族だったら俺がリーダーをやる俺がやるとつかみあいのケンカが始まるところだがのう。それにおなごにやらせるなど論外の論外じゃ。こういう時にこそ自分が名乗り出るのが殿御という者でありおなごに押し付けるなど恥さらしもいいとこじゃ。

 母上はおなごじゃが魔王やっとるがな。まあ母上に勝てる殿御がおらんかったんだから文句も言えんわの。


 Dが「ナーリンさんは誰がいいと思います?」と言うのじゃ。

 なんでいっせいにわしを見る?

「こんなヘタレしかおらぬ班誰がやってもおんなじじゃ。わしにやらせると、わしはおぬしらのことを殿御のくせに名乗りも上げられずおなごに面倒事を押し付けて楽をしようとしておる玉無しよと卒業するまでずっと馬鹿にすることになるのだがのう、それでもよいかの?」


 ABCDが口あんぐりじゃ。

「で、でも今までのことを考えるとナーリンが適任のような……」

「おぬしらがなんにもせんから仕方なくわしがやっておる」

「……じゃ、じゃあトラスタン君お願いできるかな。貴族でしょ?」

「俺は貴族じゃない」


 ずーっと黙っとったトラスタンが言ったのう。

 お主貴族じゃなかったのかの。知らんかったわ。ABCDもびっくりしとったわ。


「どうでもよいわの。おぬしらここの門を見たか。国王の話を聞いたか。この学園では身分で区別はせぬ。リーダーシップが無いのならここでリーダーシップを学ぶのが学園というものじゃ。おぬしらヘタレ共がここでリーダーシップを学ばずになんとする。誰でもよいからくじ引きせい!」


 結局一番ヘタレのDが班長やることになったのう。

「早く持ってきてください」

 先生、待たしてすまんかったの。


 それにしてもボンボン、貴族じゃなかったんだのう。

 どうりで他の貴族どもと付き合いが無いわけじゃ。

 仲間に入ってなかったからのう。

 プラルがの、「きっと貴族よ、クールだわ――!」と言ってたがあんがいいい加減なもんよのう。

 あれはクールではないぞ。ただの口無精じゃ。


 どうでもいい話だったのう。

 とにかくわしが言いたいのはの、せっかくのリーダー選びなのになんでケンカをして決めん? ということじゃ。

 そういうことだったら、わしも参加して全員ボコボコにして誰が主人か教えてやろうと楽しみにしておったのに、だいなしじゃ。


   1028年9月10日   ナーリンより。



次回「文化祭準備じゃ」

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