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12.体育祭なのじゃ


 6月には体育祭があったぞ。

 全学生で運動能力を競うのじゃ。

 走るスピードやジャンプの距離を競う陸上競技。

 剣術を競う武闘会。

 団体でゲームをやる団体戦。

 そりゃあもう面白いお祭り騒ぎじゃ。

 貴族の子らがいいとこ見せようと張り切るのじゃが、わしは兄上にくどいほど「目立つなよ」と言われていたのであまり面白いものには出られんのう。


 わしはクラスのみんなには「運動神経がいい」ということになっておる。

 走るのがやたら速いと思われておるのじゃ。 

 体育の授業の時、ちっと手加減を間違えたかのう。

 バトンを渡して交代で走るリレーの選手で、最後のやつ。アンカーとかいうたかの、あれになったわ。

 個人競技なら適当に手を抜いて、ヒラヒラ走っておればよいのじゃが、団体なので責任重大じゃ。みんな「絶対一位になるぞ――!!」と気合入りまくりなので手を抜けないのじゃよ。

 そんなこといっとってわしのチームはビリだったのだが、そこから逆転でわしがごぼう抜きしたら気味悪がられたわ。ちとやりすぎたかのう。

 あとは玉入れじゃな。

 あれはみんなでわーっと一斉にかごに投げ入れるからの、わしがいくら入れても誰も気付かんから思う存分入れてやったら優勝したわ。

 飛んでる鳥に石をぶつけるのに比べたら簡単すぎてあくびが出そうじゃ。


 武闘会はな、まあ木刀で殴り合うのじゃが、防具も付けとるし数発入れられれば勝負がつくのじゃ。生ぬるいの。

 これは殿御の競技での、おなごは参加できん。

 貴族のボンボンがやるのじゃが、まー話にならんの。

 よくあれで魔族と戦争できとったのう。勇者が強かったのかの?


 意外なことにわしの左隣の席のトラスタンというあのいまだにわしと口もきかん貴族の男が一年生の優勝じゃ。

 クラスの女子にキャーキャーいわれてたがの、わしが出とったら2秒で殺すところじゃが、おなごはそういうことをしてはいかんのじゃ。

 我慢我慢じゃ。


 ここは学校だからかの。どの競技でもズルだの不正だのはなかったの。

 貴族という奴はなにかとズルをしてくるものと決まっておるがの、ここではそういうことはさせんのじゃ。実行委員がよくやっておる。


 兄上は生徒会委員じゃからの。実行委員でなんか裏方仕事ばかりやっておって競技にはなにもでておらん。つまらんのう。


 そんなわけでわしのクラスは学年2位じゃ。

 おしかったの。

 来年はもうちっとがんばるとするかのう。


 でも、この日ばかりは貴族、平民の区別なく互いに応援し、励まし合って優勝を狙っとった。すこーし、貴族と平民の差が縮まったかの。

 貴族だからと言ってなんでも優れておるわけではないし、平民だからと言ってなんでも劣っておるわけではないからの。体育祭はそれがよく出る。


 体育祭はの、よい行事じゃ。

 父上や母上にも見に来てもらいたかったのう。


  1028年6月3日   ナーリン



次回「ギルドマスターと会ったのじゃ」

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― 新着の感想 ―
[一言] 全編手紙でって案は面白いですが、同じ作者の他の作品より面白くてなってない気がします。
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