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一葉め
これをいまあなたが読んでいるということは、私はもうこの世にはいないのだろう。
……なんてね。失礼、一度言ってみたかっただけで、深い意味はまったくない。
道端に落ちていた手紙を拾って読んでいるあなたは、さぞ驚いたことだと思う。申し訳ないことをした。
ふざけた手紙だと、あなたはいま捨てようとしているだろうか?
けれど待ってほしい。少しでも時間があるのなら、私の話を最後まで聞いてほしいのだ。そして判決を下してはくれないだろうか。
私はあの世界に勝ったのか、負けたのか。
家族でもなければ友人でもない、道端で偶然これを見つけたあなたに、十一年に及ぶ私の戦いの日への決着をつけてほしいのだ。
あなたが下した判決を私が知ることは、永遠になくとも。