5【休み時間】 厄介な殿下と田舎娘
拙作にお立ち寄りいただき、ありがとうございますm(_ _)m
ヒュー先生 視点です。
途中に思わぬ方向へ転がった授業を どうにか終えて、教員棟へ向かう道すがら。俺は、広々とした廊下の天井を仰ぐ。名門校らしい金の掛かった小綺麗な天井も、気分を紛らわせるのにちっとも役に立たなかった。別に、そのために見たわけではねぇんだが。
(あ〜あ。アーシャも面倒な相手に気に入られたもんだな)
魔族の血を引く第4皇子の事は ある程度有名で、すぐ上の兄皇子から度々嫌がらせを受けているのも 公然の秘密っつーやつだ。
俺はどうにも 陰湿な嫌がらせは面倒に感じちまう質だし、魔族の血縁くらいどうでもいいんだが……一部の貴族にとっては、そうではないらしい。兄皇子に便乗して色々とやらかしている。
(まぁ、本人様は何処吹く風で、こっそりとやり返す 見かけによらない強かな御方みてぇだがな)
腐っても名門校の職員だ。ごく小規模に抑えてあるが、魔法の発動を見逃してやるほど甘くはねぇ。嫌がらせを仕掛ける奴等も、殿下の魔法による反撃も、お互いに まだ“他愛ない悪戯程度”だから何も言うつもりはねぇけどな。
問題はアーシャだ。辺境とも言える田舎町から異例の入学を果たした才女。つってもこの学校の水準からしたら並程度だが、教育の環境が整っていない場所から ここの入学試験を突破できる程になるのは、どれ程の資質か……。
そんな風に 一部の職員から密かな注目を浴びる彼女は、ウォルセン殿下の事を知らずに 隣りに座って授業を受けていたらしい。少なくない貴族の子女が在籍する学校で随分と暢気なもんだが、田舎育ちの世間知らずならそんなもんだろう。
(面倒が起こらなきゃいいんだがなぁ……)
不意に起こったどよめきに振り返れば、休み時間っつーこともあって 廊下の左右に並ぶ教室から 次々と溢れて来た子供らが、其々の友人や仲間と囁き合い、それでいて尽く“ある方向“を注視していた。
そんな子供らの間から、皇子に手を引かれるままに 無表情で次の教室へ歩いていくアーシャの姿がちらりと垣間見え、俺の口からでかい溜め息が落っこちた。何事も無く と願う想いとは裏腹に、ヤツらの担任になっちまった俺の前途は どうにも多難であるようだ。
(仕方ねぇ、なるようにしかならんだろ)
庶民上がりの平職員にはどうにもならねぇことばかりだが、とりあえず身の危険にだけは気を付けておいてやろうと心に決めて、俺は また職員棟に歩き出す。
悲報。アーシャは故郷にいれば、チートな無双をできたかもしれなかった。
※転生特典のため『十で神童・十五で才子・二十歳過ぎれば……』になっていた可能性あり
そして、おめでとう アーシャ。君は1話目で既に半魔族に目をつけられていたよ。
……ま、まだ執着まではされてないから、大丈夫。きっと……たぶん(逸らし目)