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幻想(ファンタジー)の欠片~今日の授業を始めます~  作者: 月灯銀雪
ささやかなる幻想(ファンタジー)
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4【社会学】 地図と隣国と……?



拙作にお立ち寄りいただきありがとうございますm(_ _)m




少し時間が進みます(1週間くらい)

 





 よいせっと。後ろの奴、これで見えるか~?




 おう、よっしゃ。先週は 創 皇王陛下の子孫と、ファンタジニアスの領土が増減して、今の形になったまでをざっくりやったな。今日はこの地図で、現在のファンタジニアス周辺をやるぞ〜。




 この地図の真ん中にある太った猫の頭みてぇな形のでっけえ国がファンタジニアスで、エアリスハイランデイアは、この左耳辺りっつーのは覚えてるな。


 ……って。おい、誰だ? 今、休みの間に忘れたとか言ったヤツ! 試験で討ち死にしてもしらねぇぞ!



 あー。その我が国の首都たるこのエアリスハイランディアは国の端っこだが、西側は険しい山脈になっていて、個人ならともかく進軍には不向きな……つっても、更に西にはエルフの住む森しか無いんだがな。そして北、猫の頭に乗っかってるこの辺りにはライスランドっていう公国があるんだが、十数代前の皇王の第二皇子が皇位継承争いを厭って建国した まあまあ仲の良い国家だから、国境の心配はあまりない。


 なんでも、第二皇子は輪廻人(りんねびと)らしくてな。国を乱すくらいなら出て行くってなもんで、それならとコメの生育に向いているファンタジニアスより北部の少しばかり涼しい土地に向かうことにしたらしい。その時、国内から農民として職に溢れた貧困層を引き連れて行って開墾し、建国に至った国家が、そのライスランドだ。第二皇子の影響のせいか事無かれ主義の多い国民性で、観光に行くと手厚いもてなしをしてくれる良いとこだ! キモノの姐さんが またなんとも……て、それは置いといてだな。


 異来人(いらいびと)や輪廻人が晩年を過ごしたがる国で、異世界風の物や建築物が多いのも有名だな。


 特産品の“マキタコマチ”っつーコメは、皇室御用達の超高級ブランド品だ。ウォルセン殿下なら召し上がったこと ありますかね? おお、羨ましい限りで!




 と、そんな国と隣り合っていても、どうして首都が端っこなんだ? って思うよな。


 それは、このエアリスハイランデイアが 創 皇王陛下が初めてこの地に姿を顕した場所だからだ。荒ぶる大型の魔物を、何処からともなくやって来た少年が 単独で討伐しちまったんだと。

 その少年が後の 創 皇王陛下で、神の寵愛を受けた異来人とも、在野の勇者だったとも言われていて……




 〜*〜*〜*〜




 “ライスランド(米の国)”や“マキタコマチ(真北小町?)”に「おい、転生者(日本人)っ!!」とツッコミを入れそうになったけれど、正直 それどころじゃなくなった。

 また横道に逸れ始めたヒュー先生の話も、耳を素通りして行く。



(ウォルセン…でん……か?)



 やんごとなき身分の御方を指し示す敬称に、サラリと返事をした やや高めの声は()()()()()聞こえた。



(お、おおお、皇子、だ・と……)



 隣に座っているのは、初日の授業で羽ペンを貸した子である。

 確かに、良いところの子っぽいなとは思っていたけれど。高位の人間がゾロゾロと侍らす取り巻きなんていなかったし、よくド庶民()の隣に座ってニコニコ とこっちを見てたし、羽ペンも普通に使ってたけれど。



(皇子?! 殿下?! 男の子だったのっ?! ど、どうしよう! 庶民の羽ペン貸したり、ぶっきらぼうに話して 不敬罪とかならないっ??? でも、羽ペンしか持ってないし、話し方なんてすぐに変えられないし、そこらの女の子より可愛いし……あうわわわわっ)



 色々な衝撃により、引き攣って 普段よりも更に固くなった表情の裏。かつてないほどの回転数で空回る思考のまま、錆び付いたように動きの鈍くなった首を巡らせて 恐る恐る隣人の様子を伺ってみよ……こっちを見ていた。目が合った。



 にこり。



「知らなかったんだ? ごめんね、驚いた?」



 どうやら、お咎めは無いようだ。けれど、この可愛らしい男の子は、皇室の一員な訳で、ド庶民どころか下位のお貴族様すら 指先ひとつでどうとでもできるであろう ご身分な訳で……。



「とと、とんでもない……です」



「無理に敬語とか話さなくていいから、むしろ普通にしてて」



 とりあえず、絶対服従な気分で 首を縦に何度も振る。ド庶民なりの処世術である。



「……わかった。殿下」



「ウォルセン」



 にこにこ。



「ウォルセン…殿下」



「ウォルセン」



 にこにこ。

 なんだろう、天使もかくやという可愛い笑顔のハズなのに そこはかとない圧力を感じる。



「なんだったら、ウォルとか気安い感じで呼んでくれても……」



「ウォ、ウォルセン!」



 雲上人を愛称で呼ぶという恐ろしい提案に、言葉をぶった斬る勢いで つい呼び捨ててしまった。ちょっと残念そうにしないでくださいお願いします。



「……ま、いっか。改めてよろしくね、アーシャ」



「あの〜。そろそろ 授業を再開してもよござんすかねぇ?」



  そう言って来たヒュー先生は、こちらを見ながら微妙な面持ちで金色のつんつん頭を掻いていた。

 




 呼び名問答って、登場人物に身分差がある作品で時々見かけるよね~っと、採用。連載を始めた当初はあまりにもベタかな?と予定には入れず、5話目に予定していた殿下視点で微かに仄めかされる程度で日の目を見ないハズの場面でした(^∀^;) 今話の追加ついでに、微妙な面持ちのヒュー先生視点も追加します。



[本編で活用するかわからない設定]


《マキタコマチ》

 広く普及している《コメヒカリ》とは逆に、高級路線で勝負するブランド米。但し、ライスランドのウオイケ産のコメヒカリだけは、産地のみで味わえる幻の超高級米 扱いで、生産農家さんはちょっと悔しい思いをしているのかもしれない。殿下は意外と米派。

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こぼれ話や番外なお話→ 欠片の一粒~小話をします~
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