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幻想(ファンタジー)の欠片~今日の授業を始めます~  作者: 月灯銀雪
ささやかなる幻想(ファンタジー)
45/53

閑話【○○の手紙】




 2話連続で公開されています。前話を未読の方はご注意くださいm(_ _)m



 こちらは、エピローグ 後の“おまけ”的な閑話です(*´v`)r






ーーーーーーーーーー


 サイ・ハティの町 町長殿 並びに 奥方様




 豊かな実りに風薫る候、御夫妻におかれましてはご健勝のことと拝察致します。


 突然 このような手紙を差し上げたこと、さぞや驚かれたことでしょう。

 僕は、御家のご令嬢と同じ学び舎で共に学ぶ者です。故あって 今は名を明かすことができませんが、どうか お許しください。



 以前より アーシャ嬢には良くしていただいておりましたが、この度、僕は彼女に大きな恩を受けることとなりました。ですが、彼女は遠慮深く 僕からのお礼の品を受け取ってはくれませんでした。


 アーシャ嬢の奥ゆかしさは美徳ではありますが、有り余る感謝の気持ちを せめてご両親にはお伝え致したく、このような形で 気持ちばかりの品を贈らせていただきました。

 不躾ではありましょうが、どうか お受け取りください。






 素晴らしき心根のご令嬢を養育なされたご夫妻に敬意を込めて。

                  W・T




ーーーーーーーーーー






「お、お、お、奥さんや。ここっ、この手紙の差出人は、もしや、か、かなり高貴な御方なのではないかね?」



 いつもとあまり変わらない様子で、お薬や豊饒祭のお土産物と一緒に届いたアーシャちゃんの手紙から そう時を置かず。白く滑らかで、透かしの細工まで入った上質な紙に認められた手紙が 豪華な贈り物と共に届けられた。手紙を握りしめる手を ぷるぷる と震わせて、届けられたお品を 恐々と見やる旦那さまに、元準男爵令嬢(木っ端貴族)として正直な所見を述べる。



「そうねぇ。とっても綺麗な紙に、皇室にも献上される銘柄の蒸留酒に、聖都の老舗のお菓子に、蕩けるような手触りの絹織物……男爵や子爵が裸足で逃げ出しそうな身分の御方みたいね」



 その言葉にサッと青ざめる旦那さまへ、わざと明るく 冗談めかして言ってあげる。



「それにしても アーシャちゃんはとんでもない御方を引っ掛けたみたいだわ。さっすが 私の娘!」



「やや! まだ、そうと決まったわけでは。この方はとても感謝しているということだし、ただのお礼ということも……」



 遅くにできた娘可愛さに、現実を見ようとしていないわね。でも、高位貴族のお礼なら、これ見よがしに金銀財宝を送って寄越して終わり にしそうなところを、あえて上質ながらも 消えものや日用品(送り主の基準ではそうなのでしょう)などを贈って来る辺りに 何か引っ掛かるのよ。


 可哀想だけれど、いつかは避けられなくなる話題だもの。旦那さまにとって残酷な可能性でも、今のうちに突きつけておきましょう。



「やだわ、パパ。こんなお品を贈って寄越せる方が、ただのお礼で 爵位もない町長に自筆のこんなに丁寧なお手紙なんて出すものですか。きっと アーシャちゃんは気に入られたのよ♪」



「そんな?! いかんっ!! 貴族の子息は手が早いと言うではないか!!! ウチのアーシャちゃんが……そんな……」



 ……まったく、何の心配をしているのかしら。いくらなんでも少し気が早すぎるわ……。



「落ち着いて、パパ。アーシャちゃんはまだ10歳よ。同じ学び舎で学んでいる方なら、そう お歳は変わらないでしょう? きっと大丈夫よ」



「ああ、それもそうか。ママの言う通りだ……」



(あら?でも……)



「よく考えたら、高貴な御方なら早めに手を出していただいた方が良いのかしら? 長子の母なら、たとえ お妾さんでも、蔑ろにはされないわよね?」



「Σ( ̄Д ̄|||)……っ!!??」



 つい、そんなことを言ってしまったら。旦那さまは真っ白な お顔で時を止めてしまったわ。まだ、何年か先のお話のつもりだったけれど、言い方とタイミングが悪かったわね。どうしましょう?






「ななななな……なんということだ……。うぅ、胃が。タニヤ、タニヤ~! アーシャちゃんが送ってくれた胃薬を出してくれ~!!」



「あら。パパ、それは消化を助けるお薬よ。でも、せっかくだから お夕飯にしちゃいましょう。良いお酒もあるし、アーシャちゃんが素敵な方に見初められたかもしれない お祝いよ!」



 再び動き出して、狼狽え始めた旦那さまに ちょっとだけ苦笑する。どうせいつか お嫁に貰われて(誰かに取られて)しまうなら。今のうちから覚悟して、あの子がより 幸せになれそうなお相手 に託したいじゃない。



(下の身分の者に こんなに丁寧なお手紙を書ける方だもの。変に傲慢で面倒な御方に目をつけられるより、よっぽど上等なお相手だわ)



「あああぁぁ……アーシャぁぁぁ~~。大きくなったら、パパのお家の近くで“可愛い診療所”を作ってくれるんじゃなかったのかい……」



 そんな風に 愛娘を想って肩を落とす 可哀想な旦那さまの背を軽く押しながら、私たちにとっては目玉の飛び出るようなお値段であろう高級蒸留酒の瓶を手に取った。



(まぁ、ただのお礼でも構わないけど)



 可愛い娘だもの。そう簡単にはあげないわよ という気持ちで 差出人不明の手紙を一瞥し、旦那さまを急かして部屋を出る。きっと、この方とは長い付き合いになるかもしれないわね。




 ただの勘だけど。









 彼は、外堀から埋めることにしたようです。たぶん、手紙の主のラスボス(最大の敵)が主人公で、裏ボス(最強の敵)はアーシャママ。


 アーシャパパが手紙の主の正体を知って、腰を抜かすまで あと?年www




 辺境の町……最果て、さいはて、さい・はてー、サイ・ハティ……あ。





 これで【幻想(ファンタジー)の欠片~今日の授業を始めます~】は終わりです。完結の記念(?) に、豊饒祭で端折られた 高等科の歌舞鑑賞の様子を小話に投稿します。



【欠片の一粒~小話をします~】

http://ncode.syosetu.com/n6791ed/



 本当に、ありがとうございました(*^人^*)

 もしも。もしも、少しでも面白いと思ってくださったなら、ちょっとばかり評価などをいただけたら嬉しいですm(_ _)m←辛口感想が来ないかビビってる作者

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こぼれ話や番外なお話→ 欠片の一粒~小話をします~
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