14【基礎薬学】魔力草と魔法薬
拙作へお立ち寄りいただき、ありがとうございます(*^∇^*)
おはようございます。
本日は、魔法薬についてです。
魔法薬とは、通常の薬品とは違い 魔力を含む薬草こと魔力草を用い、特殊な魔法処理を行うことで薬の効き目に即効性を持たせ、内包する魔力が身体の魔力へ作用することによって、怪我や病気で失った体力を補う働きを持った薬品の総称です。
戦闘を生業とする者の多くが携帯しているポーションが魔法薬として有名ですね。これは 私の祖父が冒険者をしていた頃に名を馳せた異来人が そう呼んでいた事を切っ掛けに 広く呼ばれるようになりましたが、正しくは魔法水薬と言います。
これは即時の治療や魔力回復に特化した魔法薬で、経口摂取するだけでなく 全身または直接患部に振りかけることでも、ある程度の効果を発揮します。
その他にも 軟膏・丸薬・粉末・香 など、通常の薬品と同じように色々な形があります。薬の性質や、使用する場面によって、相応しい形に調薬できることが理想的です。
では、最初の授業で調薬したコルフルイ軟膏に魔力草フィリアリーフを足して一番低い等級の魔法軟膏を作ってみましょう。材料はほぼ変わりませんが、製作難易度、薬の効き目が全く違ってきます。
フィリアリーフは教科書21ページのコレです。綺麗な水辺の日当たりが良いところで生育するため、採取できる場所に限りがあります。その上 フィリアリーフは魔力が抜けやすく、採取後 何もせずに時間を置くほど薬効が下がります。ですので、可能な限り迅速に葉を細かく刻み、濃度の高いアルコールに漬け込み、魔素を通しにくく加工された魔法具の水晶瓶に入れてください。
少し面倒に感じるかもしれませんが、魔力草の中では最も入手が簡単で扱い易い薬草です。薬効は下がりますが、高い等級の魔法薬へ 稀少な魔力草の代わりに使うこともあるので、忘れないようにしてください。
本日は、研究棟にある私の研究室で栽培したものを用意してありますので、こちらを使ってください。天然のものに比べると薬効が弱いですが、正しい手順で調薬すれば、十分な効果が期待できるでしょう。
では、コルフルイの魔法軟膏を作る時のフィリアリーフの使い方を説明します。
始めにコルフルイを磨り潰す手順で乳鉢の下に“魔力混合”の魔法陣を描いた魔法紙を敷き、ある程度磨り潰したコルフルイにフィリアリーフを漬け込んだアルコールを3滴垂らします。上澄みが理想ですが、フィリアリーフの欠片が混ざっても構いません。それから、周囲の魔素も乳鉢の中に集めるイメージで魔力を注ぎながらコルフルイを完全に磨り潰してください。
その後の湯煎をする手順までは同じですが、練り上がった軟膏を最後に“魔力同化”の魔法陣の上に置いて魔力を安定させる仕上げを施します。
この“魔力混合”と“魔力同化”の魔法処理が魔法薬の基本となります。慣れないうちは調薬をしながらの魔力操作に苦労するかもしれませんが、これが出来なければ等級の高い魔法薬の調薬で使われる魔法処理はとてもできませんので、苦手な子は練習することをお勧めします。
では。魔法陣を魔法紙に写し終わった子から、材料を取りに来てください。
~*~*~*~
相変わらずのマイペースぶりだけど、少しだけ慣れたような気がする。
(気を抜く余裕は全然ないけど!)
でも、やっと魔法薬を作れるようになるのは かなり嬉しい。魔法水薬まで作れるようになれば、颯爽と取り出して病人や怪我人を一瞬で治療……うんうん。カッコいい。やる気でた。
「アーシャ、なんだか嬉しそうですわね」
「ん。魔法薬、頑張る」
「そうですね、頑張って作りましょう」
「君たち……楽しそうだね。いや、良いことなんだけど……」
声をかけてくれた頃から、ウォルセンの反対側の隣に座るようになったティタリア様……じゃなくて、ティタリア(ウォルセンが呼び捨てなのに様付けは畏れ多いって言うから)ことマイエンジェルとこっそりお話してみたりもする。ウォルセンにメモ帳を作る時に一緒に彼女の分も作ってあげたら、思った以上に喜んで目をウルウルさせてお礼を言ってくれた可愛い子である。
(それにしても、なんだか両手に花の状態なような……)
前世からの宿業(?)である“ぼっち”じゃなくなったのは嬉しいけれど、両側に座る眩い天使たちに挟まれた地味な自分は、もしかしたらかなり存在を薄れさせているような気がしてならないのは、きっと気のせいだと思いたい。
ルイン先生「祖父の現役時代? ほんの2、300年前のことらしいですよ」
生徒 (ほんの? エルフの時間感覚……パネェ(゛д゛;))
呪文詠唱や魔物と同じく、幻想と言って外せないのは、やっぱり魔法水薬ですよね!(p゜∇゜)q *。:゜.
[相変わらず冗長な設定]
《フィリアリーフ》
愛の葉と呼ばれるこの魔力草は、清んだ水がたっぷりで暖かい光に包まれることで育つ一年草。葉に魔力を多く抱き、毒性のほとんど無い、調薬初心者にも優しい 愛に溢れた薬草。ただし、採取後に何もせずに置いておくとあっという間に魔力が抜けてしまうため、遠い昔に この薬草に名をつけたであろう者の私生活が心配されている。
《魔法具の瓶》
特殊な魔法加工された瓶。表面に淡く光る魔法陣が描かれている。魔力(素)を通しにくい水晶瓶、劣化を抑える瓶などがあり、普通の瓶や色付き瓶と併せて小瓶数本が学習備品として入学時に支給されます。追加購入は有料。
ものすご~く高価だが、薬品の時を止めて魔法陣の効力が続く限り劣化しない瓶も存在する模様。主に、最上級魔法薬に使われます。




