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幻想(ファンタジー)の欠片~今日の授業を始めます~  作者: 月灯銀雪
ささやかなる幻想(ファンタジー)
15/53

13【授業直後】これ どうぞ(意訳)



 いつもありがとうございます(*^人^*)

 作者と共に迷走する本作は、少しでもお楽しみいただけているでしょうか?



 ウォルセン殿下の視点です。






 この前はアーシャが言った「故郷に帰りたい」っていう言葉がなんとなく面白くなかったけど、これから卒業まで何年もあるし、気が変わることもあるかもしれないよね。もちろん僕の気も。



(ちょっと素っ気ない態度になってしまったから、彼女には悪いことしちゃったかな)



 それでも。ちょっと伺うような様子は見せても、僕を避けたりしないアーシャを今日も観察し(からかい)ながら授業を受けていたら、彼女は授業の終わりに 資料を片付けるアンソワール教授の元へ いそいそ と近付いていった。




 観察癖がついてしまったのか なんとなく目で追っていた僕は、アーシャが いつもメモに使っている小さな本に“よく似た物”をアンソワール教授に突き出し、教授が意図を測りかねて困惑している姿が見えた。


 なんとなく面白そうだったので、そちらに向かえば……。



「可愛い小物。先生に賄賂」



(っ! 危ない。もう少しで噴き出すところだったよ)



 咄嗟に口を押さえて事なきを得た。まさか、堂々と教授に賄賂を突き出す10歳児がいるとは思わなかった。……いや、10歳児だからこそなのかな? よくわからない。




 それよりも、どうして賄賂なんて言葉が出て来たかってことだよね。教授も伊達メガネ(これは秘密だったっけ?)越しの青い目を丸くして、かなり驚いているみたいだし。



(可愛い小物に、賄賂ねぇ……)



 アーシャの発言を思い返しながら、教授とアーシャを一歩引いた場所から眺めていれば。



(ああ、なるほど)



 僕はもう一歩を踏み出して、申し訳なさそうな顔で断りの言葉を告げるべく やんわりと本を押し返す教授の言葉に被せて発言する。



「あのね、アーシャさん…」



「もしかして、可愛い小物が好きな教授へ“お近づきのしるしに”ってことかな?」



「ん」



 言葉は少ないけれど、大きく頷く仕草に、教授にもアーシャが言わんとしている事が伝わったみたいだね。



「ええと、これの見返りに 何かお願いがあるわけではないの?」



「違う。先生が時々、メモ帳を見てたから」



 教授は、アーシャのメモ帳を気にしていたらしい。思い当たる節があるみたいで、右手を頬へ当て 少し顔を赤くして「まあっ」と呟いた。



「アンソワール教授、受け取ってあげたらどうかな? 彼女は善意のつもりなようだし……」



「え、ええ。そうですね、とても可愛らしい本……。ありがとう、アーシャさん」



 僕が勧めれば、教授は戸惑いつつも 嬉しそうに目を輝かせて受け取っていた。アーシャは「善意のつもり〜」の辺りで不満だったのか微かに唇を窄めたけれど、無事に受け取って貰えたからか特に抗議は無かった。



「それにしても、お洒落なメモ帳だね」



 ちょっぴり ご機嫌を損ねてしまったらしい彼女の気を逸らすつもりで、何気なくメモ帳のセンスを褒めてみる。アーシャの手のひらより少し大きくて、貴族の好む装飾的な革や絹の装丁とも 庶民の紙を束ねただけのペラペラな冊子とも違う、カラフルな本。



「ん。作った」



『作った?!』



 あんまり驚いて、思わず教授と声を揃えちゃったよ。人前で感情を露にするのは、あまりお行儀の良いことではないって言われちゃうんだけど、これは仕方ないか。まだ教室に残っていた子たちも、こちらを覗き込んだりして ざわざわ しているくらいだし。心配気にこちらを見ていたティタリアも、口を押さえてちょっと目を見開いているね。



「道具があれば、意外と簡単」



 心なしか得意気な彼女。教授と目を見合わせてみるけれど、教授も本を手作りするような子は初めてらしいね。ちょっと安心した。



「すごいね! 僕も1冊欲しいな。もう少し、シンプルな色合いだと嬉しいけれど、大丈夫?」



「ん。問題ない」



 ちゃっかりと僕の分も 製作をお願いしてみたけれど、不満気だったことも忘れて快諾してくれた彼女は、本当に興味深(おもしろ)い子だと思う。






 少しずつ殿下に気に入られていく様子が感じられれば良いな(希望的観測)

 まあ、この↑要素のせいで予定より話数が大幅に増えて、作者が右往左往しているのですが(;=_=)



[本編で上手く説明できていない設定]


《年齢と就学期間》


 魔法学校の新入生は、大半が数え年で10歳。入学式で校長が5年と言っていたのは間違いではなく、数え年15歳で正社員的な就職の解禁(職種によっては幼少より見習いとして働く場合あり)や、保護者や後見人の許可を得れば婚姻などが可能となるため、それに合わせたカリキュラムとなっています。

 ちなみに、成人は数え18歳で高等科の課程が3年間。この場合は、エリート扱いで役職候補。あれ? これで良いんだっけ……?(計算間違いへの不安)


《アーシャのメモ帳》


 前世に趣味としていた豆本づくりを応用して作成したもの。

 普通の紙と厚紙(無ければ普通の紙でも可)と綺麗な色柄の紙に、カッターの代わりになる薄刃の刃物と細いヤスリ、定規と洗濯バサミ、それから水溶性の木工用ボンドの代わりとして使える接着剤と筆のようなものがあれば、一応形になります。色付きの紐があれば栞も。

 ちなみに。アーシャが使う綺麗な色柄の紙は、主に買い物をした時の包装紙です。庶民だしね(*´∀`) 聖都のお店はお洒落な紙を使うからほくほく……

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こぼれ話や番外なお話→ 欠片の一粒~小話をします~
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