9【生物学】動物と魔獣と魔物
拙作にお立ち寄りいただきありがとうございますm(_ _)m
今日は、動物と魔獣と魔物の違いをお勉強しましょう。
動物さんとは、自然に生まれて生殖活動によって繁殖し、魔力の塊である核を持たない生物を指します。彼らは、縄張り争いや番の争奪、食事のための狩りと自身や群れの仲間を守るため以外には積極的に他の生物を襲わない 比較的安全な生物です。もちろん、驚かせたり 不用意に近づけば襲ってくることもありますからね。悪戯をしてはいけませんよ。
そんな動物さんたちの中で、強く長生きで他の動物を沢山食べてきた肉食獣や魔力が濃い場所の植物を食べ続けた草食獣など、この世の生物や植物が必ず持っている魔力を過剰に溜め込み、その魔力が結晶化した核が生成され、魔力よって肉体が変質し、肉体を維持・強化するため、更に豊富な魔力を求めて 魔力の高い人類などを積極的に襲うようになってしまったのが魔獣さんたちです。可哀想なことですが、彼らはとても狂暴で危険な上、変質した肉体は良質な素材になり、核の魔力晶は貴重な動力となるため、人里近くで発見された場合、その多くが討伐されてしまいます。
最後に。魔物は、厳密には生物ではありません。なぜなら
生物が住めないほど濃い魔素の集まる場所で、魔素が凝って生物のような姿をとるもの。
息絶えた生物の亡骸に、何らかの思念が取り憑いたり、何らかの魔法現象によって意志無きまま活動を続けるなど、生前とは全くの別物として動き始めたもの。
召喚魔法などによって、魔素や魔力の肉体を形成され、仮初めの魂を与えられたもの。
というように、見た目は動物さんや魔獣さんに似ていても、生まれ方や生態が全く違うのです。討伐されれば、魔力晶を残して肉体が崩壊するのも、生物とは違うところです。
召喚獣以外は 意思の疎通がほぼ不可能です。特殊な能力を持っている個体もいて、魔獣さんよりも危険なモノとして発見され次第 積極的に討伐するか、自力での討伐が無理ならば 高位の冒険者パーティーや正騎士団へ討伐のお願いをできるように、ギルドや最寄りの正騎士または準騎士の詰所へ連絡することが推奨されています。中には、弱い上に数が多すぎて放置されるモノがいたり、捕獲して使役する方もいますけれど……。
大型だったり 高い攻撃力などで危険な魔物は魔素の濃い場所に棲息しているため、滅多に遭遇しないものではありますが……万が一にも遭遇してしまったら、初等科の皆さんはもちろん、何を置いても全力で逃げてください。
隠れてはダメです。
彼らは魔力の気配に敏いですから、近くにいれば すぐに見つかってしまいます。少しでも速く、遠くに逃げて、戦える大人の人に助けを求めてください。
これは絶対にです。先生との約束ですよ。
ー*ー*ー*ー
普段のふわふわな空気が消えて、とても真剣な顔をしたセリーネ先生の言葉に、教室には張り詰めた空気が流れた。
それでも、ポツポツと返事をする子や頷く子たちが増えて、その一人ひとりを見渡していた先生は、また ふわふわな空気を纏い、優しい微笑みで大量の宿題を残して退室していった。
(一応、私たちが危険なモノを見分けられるように覚えさせるっていう意味の宿題なんだろうね。……にしても、この量は鬼畜だ)
優しいセリーネ先生が束の間に見せた厳しい一面と、Sっ気を漂わせる宿題の量に放心気味なクラスメイトたちに混じって、私も手元のメモを片づけながら ちょっとだけ遠くを見つめた。
「ねえ、蔵書棟で一緒に宿題やらない?」
すぐ隣から、そんな声が掛かるまでは。最近、宿題の多い日とかに ウォルセンからこんな風に声をかけられるけれど、今日はいつもと違う。
「あ、あの……わたくしも……」
蚊の鳴くような……は失礼かな、草陰から恥じらいながら鳴く鈴虫ような(結局虫だからだめ?)小さな澄んだ声で、初めて話しかけてくれた プラチナ髪の貴族令嬢。
(頬を染めて もじもじ しながら俯くとか!んも~可愛いな!! はふ、癒される)
「わたくしも一緒に蔵書棟へ……」
「喜んで!」
なので、言い終わる前に 淀みも迷いも無く即答しておいた。あ。ウォルセンさん、だめ? いいよね。ちょっと溜め息つかないでくださいます? マイエンジェルが怯えてしまうではないですか。さ、行こうね、仲良く蔵書棟に!
“弱い上に数が多すぎて放置されるモノ“……そう、それはアイツ。魅惑の流線形ボディにふるふる震える弾力性、多彩なカラーバリエーション、そう!ゲームに小説にと引っ張りだこな アイツ!!
[無駄にこだわった設定]
《生物学教師》セリーネ・シュタイゼル 明るい茶髪・黄緑目
ふんわり ほわほわ な癒し系お姉さん。結構 良いとこのお嬢様ながら、中身は家族の反対を押しきって様々な種族の国や集落を巡る遊学に出てしまう猛者。遊学の道中で魔物と遭遇し、彼女を逃がすために友人が命を落としたことを切っ掛けに、亡き友人の夢だった教師を目指した。宿題に見え隠れするSっ気は、お家での厳しい教育により“そのくらいが標準”だと思い込んでいるため。
《伯爵令嬢》ティタリア・ブランフォード プラチナ髪・濃い紫目
マイエンジェル(アーシャ談)。可愛くてお淑やかで優しいお嬢様……という、女の子の理想的な要素を詰め込んだ子。しかし、銀髪・紫目という魔族に多い特徴と似た色に生まれついてしまったため、一部の者に心ない扱いをされてしまう。それゆえに極度の人見知り。ホントに真っ白可愛い。どこかの(腹)黒い天使とは違う。




