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主人公が最強能力者とは限らない   作者: 熊華ヶ
第1章
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第1部 第1_2話 オライオンside ~新入りは何時もパシられる~

今回もお読み頂き誠にありがとうございます。

本編どうぞ。

                  ※

 

 私、「尾裂狐オサキ) イヅナ」は今夜宴会が行われる居間へと歩を進めている。その間私は先程夢で見たことを思い出していた。見慣れた屋敷の居間、あの謎の男の事、全ての事を。

(本当に、あれは何だったのだろうか。)

 疲れからくる悪夢···?それにしては余りにも生々しかった。

(いや、きっと疲れていたんでしょう。そう。あんな夢の事はもう···。)

 ッ!?

 刹那、 頭が針に刺さる様な痛みに教われる。

[おm···達w···かm···を···]

 駄目だ。また出てしまう。

[全t···]

 砂嵐の中に[あの男]が見える。

[こr···]

 やめてッ!

「ハァッハァッハァッハァッ······。」

 夢かと思った矢先にまたこれですかッ!?だが、先程より症状が軽かったのか、まだ立っていられた。

「忘れようとすると、あの夢の続きが見られる?ふざけないで下さいよ···。つまりそういうことですよね。[忘れるな。]ということですか。」

 警告。何かに対する警告なのだろうか。

(早く行こう。そうしたら、きっと、御母様が何とかしてくれるはず。)

 居間の前に着いて、障子の前で膝を着き、ゆっくりと障子を開けると、

「者共!今宵は宴ぞ!存ッ分に呑むがいいわァッ!」

「「「「「「「「「オオオオオオオオッッッ!!!!!」」」」」」」」」

 耳にキーンと来る叫び声が、部屋中···いや、恐らく屋敷中に響き渡る。

「おぉ、こんばんは。イヅナ様。相変わらずお美しい···。」

「イヅナ様。この後御一緒しませんか?」

「あはは···。···後で。」

 御母様の家来、マホロバ親衛隊、各役割の部隊隊長が一同に集っていた。ですが、その中にそれらを全て纏める私の御父様、「紅月ベニヅキ レン」様の姿はありませんでした。

 そして私は、この宴会の企画者であり、私達尾獣属の頭領、そして私の御母様、尾裂狐 マホロバ様のいらっしゃる中央へと進んだ。

「おぉイヅナ。今来たのか?私の娘とも有ろうものが。遅刻だぞ?」

 御母様は私と御父様にしか見せない、優しい、母親の笑顔を見せた。

「も、申し訳ございません。」

 別に謝らなくてもよかったのですが、何故か謝らなざるを得なかった。

「フッ···。何を謝っておる。さぁ、今宵は宴じゃ!お前も呑むがいい。」

 そういうと御母様は私にお酒の入った器を私の前に差し出した。

「あ、いや。御母様?私がお酒を呑めないのをお忘れですか?」

「何を言う。こういう時は素直に受け取っとけばいいんじゃよ。」

(全くもう···。)

 私は渋々受け取った、酒に映った自分の顔を見た。自分で言うのもなんだが、整った顔立ち、光を受ければ反射してより美しい金髪、赤い狐目。流石は御母様の娘と言った所か。

 この時、私はあの[悪夢]について話そうか非常に迷っていた。この宴会の空気をぶち壊すのも嫌だし、もしこれが人間達が私達尾獣属を殺す為に作った[対尾獣術]なら、いくら尾獣属最強の御母様でも即死は免れない。

(ここは、別の話題を···)

「あ、そういえば御母様。御父様は何処に?」

 御母様は呆れ顔で答える。

「あぁ、あの馬鹿か?アイツなら特務に出掛けとるが···」

 えぇ、そんな。

「マホロバ様、御報告にございます。」

「ん?なんじゃ?申せ。」

 使用人が気配を消して出てきた。忍びの才がありそうだ。というかやってました?

「···以上が第13回特務の報告でございます。」

「うむ、分かった。下がれ。」

「御意···。」

 使用人は障子を開けてそのまま出ていく。お疲れ様です。

「それで、首尾は···?」

「成功だそうじゃ。じゃが、あの馬鹿は屋敷に帰ってないようじゃ。あやつめ、一体何処をほっつき歩いておる···。」

 御母様は少々心配そうな顔で上を見上げる。仲が悪い様でそうではない。やはり、夫婦ですね。



 


お読み頂き誠にありがとうございました。

次回にご期待下さい。

次回[第1部 第1_3話 オライオンside ~人造人間、「紫電」~

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