第1部 第1_2話 オライオンside ~新入りは何時もパシられる~
今回もお読み頂き誠にありがとうございます。
本編どうぞ。
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私、「尾裂狐 イヅナ」は今夜宴会が行われる居間へと歩を進めている。その間私は先程夢で見たことを思い出していた。見慣れた屋敷の居間、あの謎の男の事、全ての事を。
(本当に、あれは何だったのだろうか。)
疲れからくる悪夢···?それにしては余りにも生々しかった。
(いや、きっと疲れていたんでしょう。そう。あんな夢の事はもう···。)
ッ!?
刹那、 頭が針に刺さる様な痛みに教われる。
[おm···達w···かm···を···]
駄目だ。また出てしまう。
[全t···]
砂嵐の中に[あの男]が見える。
[こr···]
やめてッ!
「ハァッハァッハァッハァッ······。」
夢かと思った矢先にまたこれですかッ!?だが、先程より症状が軽かったのか、まだ立っていられた。
「忘れようとすると、あの夢の続きが見られる?ふざけないで下さいよ···。つまりそういうことですよね。[忘れるな。]ということですか。」
警告。何かに対する警告なのだろうか。
(早く行こう。そうしたら、きっと、御母様が何とかしてくれるはず。)
居間の前に着いて、障子の前で膝を着き、ゆっくりと障子を開けると、
「者共!今宵は宴ぞ!存ッ分に呑むがいいわァッ!」
「「「「「「「「「オオオオオオオオッッッ!!!!!」」」」」」」」」
耳にキーンと来る叫び声が、部屋中···いや、恐らく屋敷中に響き渡る。
「おぉ、こんばんは。イヅナ様。相変わらずお美しい···。」
「イヅナ様。この後御一緒しませんか?」
「あはは···。···後で。」
御母様の家来、マホロバ親衛隊、各役割の部隊隊長が一同に集っていた。ですが、その中にそれらを全て纏める私の御父様、「紅月 蓮」様の姿はありませんでした。
そして私は、この宴会の企画者であり、私達尾獣属の頭領、そして私の御母様、尾裂狐 マホロバ様のいらっしゃる中央へと進んだ。
「おぉイヅナ。今来たのか?私の娘とも有ろうものが。遅刻だぞ?」
御母様は私と御父様にしか見せない、優しい、母親の笑顔を見せた。
「も、申し訳ございません。」
別に謝らなくてもよかったのですが、何故か謝らなざるを得なかった。
「フッ···。何を謝っておる。さぁ、今宵は宴じゃ!お前も呑むがいい。」
そういうと御母様は私にお酒の入った器を私の前に差し出した。
「あ、いや。御母様?私がお酒を呑めないのをお忘れですか?」
「何を言う。こういう時は素直に受け取っとけばいいんじゃよ。」
(全くもう···。)
私は渋々受け取った、酒に映った自分の顔を見た。自分で言うのもなんだが、整った顔立ち、光を受ければ反射してより美しい金髪、赤い狐目。流石は御母様の娘と言った所か。
この時、私はあの[悪夢]について話そうか非常に迷っていた。この宴会の空気をぶち壊すのも嫌だし、もしこれが人間達が私達尾獣属を殺す為に作った[対尾獣術]なら、いくら尾獣属最強の御母様でも即死は免れない。
(ここは、別の話題を···)
「あ、そういえば御母様。御父様は何処に?」
御母様は呆れ顔で答える。
「あぁ、あの馬鹿か?アイツなら特務に出掛けとるが···」
えぇ、そんな。
「マホロバ様、御報告にございます。」
「ん?なんじゃ?申せ。」
使用人が気配を消して出てきた。忍びの才がありそうだ。というかやってました?
「···以上が第13回特務の報告でございます。」
「うむ、分かった。下がれ。」
「御意···。」
使用人は障子を開けてそのまま出ていく。お疲れ様です。
「それで、首尾は···?」
「成功だそうじゃ。じゃが、あの馬鹿は屋敷に帰ってないようじゃ。あやつめ、一体何処をほっつき歩いておる···。」
御母様は少々心配そうな顔で上を見上げる。仲が悪い様でそうではない。やはり、夫婦ですね。
お読み頂き誠にありがとうございました。
次回にご期待下さい。
次回[第1部 第1_3話 オライオンside ~人造人間、「紫電」~




